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ツール・ド・フランス2019 コース発表

マイヨ・ジョーヌ誕生100年と、メルクス初優勝から50年を祝う来年のツール・ド・フランスは、隣国ベルギーの首都ブリュッセルで開幕する。大会史上前例のない、標高2000m越えの頂上ゴールが3ステージ含まれた過酷な山岳コースが明らかになった。 (©Bettiniphoto) 
 

30カ所の登坂に挑む山岳コース 

(©Bettiniphoto)
(©Bettiniphoto)
 
来年7月に開催されるツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)のコース発表会が、2018年10月25日にフランスの首都パリで開かれた。マイヨ・ジョーヌの誕生100年とツールで5勝しているエディ・メルクスの初優勝から50年を祝う106回大会は、来年7月6日にメルクスの故郷ベルギーの首都ブリュッセルで開幕する。


チャンピオンの中のチャンピオンの偉大な功績を祝う大会は、標高2000m越えの頂上ゴールが3ステージ含まれた厳しい山岳コースになった。スプリンターが活躍できる平坦ステージは7区間で、丘越えステージが5区間、山岳ステージが7区間あり、そのうち5区間が頂上ゴールだ。

タイムトライアルは大会2日目に27kmのチームタイムトライアルが行われたあと、中盤の第13ステージに27kmの個人タイムトライアルが設定されているだけだ。

頂上ゴールの区間は、標高1140mのラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ(第6ステージ)、標高2115mのトゥールマレー(第14ステージ)、標高1205mのフォワ・プラ・ダルビス(第15ステージ)、標高2089mのティニュ(第19ステージ)、標高2365mのバル・トレンス(第20ステージ)。カテゴリー2以上の山岳ポイントは、実に30カ所含まれていて、今年よりも5カ所多い。

来年はフランス全土を一周しない変則コースで、ベルギーからスタートしたあと、ボージュ山脈を経て中央山塊を通過し、北東から南西へと斜めに南下して第2週目の週末にピレネー山脈へ到達する。そこから折り返してアルプスを目指し、最終週の金土に厳しい山岳ステージを競ったあと、首都パリへと飛んで7月28日にシャンゼリゼ大通りにゴールする。全長は3460kmだ。

山岳色の強いレイアウトを実現するために、コースはフランスの右側に偏り、自転車競技が盛んな北西部のブルターニュ地方やノルマンディー地方、今年の開幕地になったペイ・ド・ラ・ロワール地方は通過しない。北フランスの石畳区間も来年のコースには入らなかった。

今年のツールで導入された終盤のボーナス地点は、来年は8カ所の丘の頂上や山頂にかけられ、ボーナスタイムを獲得できるようになる。ボーナス地点が設定されるのは、第3ステージ(コート・ド・ミュティニー)、第6ステージ(コル・デ・シェブレール)、第8ステージ(コート・ド・ラ・ジャイエール)、第9ステージ(コート・ド・サンジュスト)、第12ステージ(ウルケット・ダンチザン)、第15ステージ(ミュール・ド・ペゲール)、第18ステージ(ガリビエ峠)、第19ステージ(イゼラン峠)となる。
 

■クリストファー・フルーム(チームスカイ)のコメント
「間違いなく非常に異なっている。上りと山岳、とりわけ大きな要因となっている2000m超えの山のせいで非常に重たい。前回大会と比較するとタイムトライアルの距離が短いから、全く異なったものだ。今から準備をするのが本当に楽しみなレースで、ツール・ド・フランス5勝目を目指すことに夢中になるだろう」

■トム・ドゥムラン(チームサンウェブ)のコメント
「非常にタフなルートだ。もちろん、個人タイムトライアルの距離数がもっとあったほうがいい。だからボクにとっては、理想的なコースではない。でも、それは今年も同様だった。勝負を決するピレネーとアルプスが後半にあり、標高が高い上り坂がたくさんある」
 
コース発表会に参加したチームスカイのフルーム(左)とトーマス (©Bettiniphoto)
コース発表会に参加したチームスカイのフルーム(左)とトーマス (©Bettiniphoto)

第106回ツール・ド・フランス 全日程

7月6日(土)  第1ステージ  ブリュッセル〜ブリュッセル(ベルギー)  192km
7月7日(日)  第2ステージ  ブリュッセル王宮〜ブリュッセル・アトミウム(ベルギー)  27km(チームTT)
7月8日(月)  第3ステージ  バンシュ(ベルギー)〜エペルネ  214km
7月9日(火)  第4ステージ  ランス〜ナンシー  215km
7月10日(水)  第5ステージ  サン・ディエ・デ・ボージュ〜コルマール  169km
7月11日(木)  第6ステージ  ミュールーズ〜ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ  157km ★
7月12日(金)  第7ステージ  ベルフォール〜シャロン・シュル・ソーヌ  230km
7月13日(土)  第8ステージ  マコン〜サン・テチェンヌ  199km
7月14日(日)  第9ステージ  サン・テチェンヌ〜ブリウド  170km

7月15日(月)  第10ステージ  サン・フルール〜アルビ  218km
7月16日(火)  休養日(アルビ)
7月17日(水)  第11ステージ  アルビ〜トゥールーズ  167km
7月18日(木)  第12ステージ  トゥールーズ〜バニェール・ド・ビゴール  202km
7月19日(金)  第13ステージ  ポー〜ポー  27km
7月20日(土)  第14ステージ  タルブ〜トゥールマレー・バレージュ  117km ★
7月21日(日)  第15ステージ  リムー〜フォワ  185 KM ★

7月22日(月)  休養日(ニーム)
7月23日(火)  第16ステージ  ニーム〜ニーム  177km
7月24日(水)  第17ステージ  ポン・デュ・ガール〜ギャップ  206km
7月25日(木)  第18ステージ  アンブラン〜バロワール  207km
7月26日(金)  第19ステージ  サン・ジャン・ド・モーリエンヌ〜ティニュ  123km ★
7月27日(土)  第20ステージ  アルベールビル〜バル・トランス  131km ★
7月28日(日)  第21ステージ  ランブイエ 〜パリ・シャンゼリゼ  127km
(★…頂上ゴール)
 
ツール公式サイト
 
MAP : ASO
MAP : ASO








ツール・ド・フランス2019 3Dルート映像

ブリュッセル観光もできるグラン・デパール観戦のススメ

ツールで5勝したメルクスは来年74歳になる                                              
ツールで5勝したメルクスは来年74歳になる                                              
第1ステージのコース (MAP : ASO)
第1ステージのコース (MAP : ASO)
第2ステージのコース (MAP : ASO)
第2ステージのコース (MAP : ASO)
グラン・プラスが第1ステージのスタート地になると言われている 
グラン・プラスが第1ステージのスタート地になると言われている 
2019年は、ツール・ド・フランスで5勝しているベルギーのエディ・メルクスが1969年に初優勝してから50年目の節目の年になる。それを祝うため、主催者のアモリー・スポール・オルガニザシオン(ASO)は、開幕地(グラン・デパール)にメルクスの故郷ベルギーの首都ブリュッセルを選んだ。

フランスの隣国ベルギーがツールのグラン・デパールになるのは5回目で、ブリュッセルは1958年に続いて2回目だ。ブリュッセルでは2ステージが行われるが、スタートとゴールは街の中心部の観光名所なので、日本から個人で行っても観戦が可能なのはうれしい。

7月6日(土)の第1ステージは192kmの通常区間で、ブリュッセルをスタートしたあと、オランダ語圏の東フランダース州を訪れ、ヒーラールスベルヘンにあるクラシックレースで有名な石畳の坂ミュールと近郊のボスベルフを通過する。

その後、南下してフランス語圏のワロンも訪れ、ワロン最大の都市シャルルロワとワーテルロー、メルクスが育ったウォルウェ・サン・ピエールを通過し、再びブリュッセルに戻ってゴールする。

第1ステージはブリュッセル首都地域圏、オランダ語圏のフランダース、フランス語圏のワロンの3つの地域を1日で巡り、ベルギーという国を象徴するようなコースになっている。それを示すために、ステージのアルファベット表記は、スタートがBruxellesでフランス語表記、ゴールがBrusselでオランダ語表記になっている。

ベルギーのスポーツTVチャンネル『スポルザ』によれば、第1ステージのスタートは観光地として有名なグラン・プラスで、ゴールはラーケン王宮になるそうだ。前半に石畳の激坂は越えるが平坦区間のため、最初のマイヨ・ジョーヌはスプリンターが獲得することになるだろう。

7月7日(日)の第2ステージは27kmのチームタイムトライアルで、ブリュッセル王宮前をスタートし、ブリュッセルを象徴する建造物である郊外のアトミウム広場でゴールする。2日間のスタートとゴールを観に行けば、ブリュッセルの観光名所をしっかり押さえられることにもなる。
第2ステージでチームタイムトライアルのゴールになるアトミウム。ブリュッセルを象徴するモニュメントだ
第2ステージでチームタイムトライアルのゴールになるアトミウム。ブリュッセルを象徴するモニュメントだ
「自転車競技の街」をアピールするバンシュがツール第3ステージのスタート地の座を射止めた
「自転車競技の街」をアピールするバンシュがツール第3ステージのスタート地の座を射止めた
グラン・プラスとブリュッセル王宮は、ベルギー国鉄のブリュッセル中央駅から徒歩圏内にあり、アトミウム広場もメトロ(地下鉄)で移動可能だ。おそらくチームプレゼンテーションもブリュッセル中心部の観光名所で行われるだろう。ベルギー観光を兼ねて、ツールのグラン・デパール観戦をするのはオススメだ。

ブリュッセルで2ステージを競ったあと、フランスへと越境する7月8日(月)の第3ステージのスタートに選ばれたのは、ワロンの街バンシュだ。ユネスコの無形文化遺産に登録されているカーニバルで有名なバンシュは、フレッシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)のスタート地を2回務めたことがある。

バンシュはベルギー国鉄のブリュッセル南駅から乗換なしの1時間10分で行くことができるので、グラン・デパール観戦の締めくくりは、第3ステージのスタートまでにするのがベストだろう。


ベルギーとブリュッセルの観光最新情報は、オランダ政府観光局とベルギー・フランダース観光局が共同で運営する公式サイト『Holland + Flanders』でチェックできる。
 
 
 
 

グラン・デパールになるブリュッセルを紹介した公式ムービー

ツール・ド・フランス2019公式ガイドブック