英国式遊び心がいっぱい！　ポール・スミスがデザインしたマリア・ローザを大特集

ファッションのメッカ、ミラノで開催されたファッション・ウイークの期間中に、英国出身の世界的デザイナー、ポール・スミス氏がデザインしたジロ・デ・イタリアの４賞ジャージが発表された。会場はミラノのウンブリア通りにある彼のショールームで、世界中から集まったメディア関係者やファッション愛好家が、バラ色のマリア・ローザ、真紅のマリア・ロッサ、紺碧のマリア・アッズーラ、そして純白のマリア・ビアンカの新しいスタイルの目撃者になった。それはまさに、ポール・スミス氏から自転車競技界へのステキな贈り物だった。

ポール・スミス氏のデザインは、一見するととてもシンプルだ。左袖口に入った『お墨付き』のストライプと、襟のシグネチャーがなければ彼の作品とはわからないかもしれない。しかし、じっくり見てみると、ポール・スミス氏お得意の遊び心があちらこちらに散りばめられている。

くるりとひっくり返して背中を見ると、襟からまっすぐに伸びたイタリア国旗のトリコローレがまず目に入る。それは背中に入るチーム名のスペースが考慮された長さだ。マリア・ローザに使われた赤いパイピング（右の袖口と裾口部分）は、今年からスポンサーになった菓子メーカーのバロッコ社のロゴともマッチしている。

背中の裾にパイピングと同じカラーで入ったシグネチャーもオシャレだ。そして各ジャージの右の腰の辺りには、彼自身が描いた自転車選手のシンプルなデザイン画もさりげなく入っている。「長い間自転車競技の熱狂的なファンで、メジャーツアーやクラシックの信奉者だったから、ジロ・デ・イタリアのために４枚のジャージをデザインするように依頼されることは、まったくの名誉だ」と、語るポール・スミス氏は、本当にこの仕事を楽しんだにちがいない。

自転車競技を長年愛しているポール・スミス氏は、マリア・ローザにもう１つの想いを込めた。昨年10月に他界した往年の名選手、故フィオレンゾ・マーニを偲び、彼のシグネチャーと生年（1920-2012）を、襟の内側に入れたのだ。

40年代から50年代にかけて活躍したマーニは、ジロで３回優勝し、昨年ジロ主催者が行った『ベスト・オブ・ジロ・デ・イタリア』アンケートでは、彼の写真が『ジロでもっとも象徴的なイメージ』に選ばれている。この隠されたオマージュは、マリア・ローザを着る選手の守護となるだろう。

今年のジロは５月４日にイタリア南部のナポリで開幕する。初日はナポリ市内のサーキットコースで156kmの平坦区間が競われる。このマリア・ローザに、最初に袖を通すのはスプリンターになるはずだ。

【2013年ジロ・デ・イタリア４賞ジャージ】

●マリア・ローザ（個人総合成績）…スポンサーは菓子メーカーのバロッコ社

●マリア・ロッサ（ポイント賞）…スポンサーは鉄道会社ＮＴＶが運行する高速列車イタロ

●マリア・アッズーラ（山岳賞）…スポンサーはメディオラヌム銀行

●マリア・ビアンカ（新人賞）…スポンサーはフルーツ製造販売のフラテッリ・オルセロ

「私は12歳で自転車競技を始めて、18歳までレースをしていました。ひどい落車で数ヶ月間病院に入らなければならず、その後で私は創造とデザインとファッションの世界を発見し、自分のキャリアを始めました。そして幸運なことに、今日それがこういう発展を遂げたのです。その間、私は常に自転車競技を追いかけ続け、たくさんの主要な選手たちに会う恩恵を受け、ブラッドリー・ウィギンス、マーク・カベンディッシュ、デービッド・ミラーらと親交を深めました。

私は70年代から現在までの膨大なジャージコレクションも持っていて、選手たちのサインも入ってます。そういうわけで、ジロのために４枚のジャージをデザインするように依頼されることは、まったくの名誉であり、私が作ったシンプルなアプローチが、皆さん全員に受け入れてもらえることを望んでいます。マリア・ローザには赤いパイピングを付けて（右の袖口と裾口部分）、出来る限りシンプルに保つためにすべてのジャージをさっぱりとさせて、私自身が描いた小さな自転車選手のイラストを加えました」