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カベンディッシュが区間4勝で総合優勝! ツアー・オブ・カタール総集編
2013.02.09
カベンディッシュが集団スプリント4連勝で総合優勝!
中東のカタールで開催された第12回ツアー・オブ・カタール(アジアツアー2.HC)は、英国のマーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)が、6ステージ中4ステージを制して総合優勝した。 ベルギーのオメガファルマ・クイックステップは、当初このレースで4回総合優勝しているトム・ボーネンがエースで参加する予定だったが、彼はケガでシーズンインが遅れているため、今季チームに加入したカベンディッシュがその役目を担って参加していた。そして彼は、チームメートたちの献身的なサポートに応えてボーネンの代わりを見事に果たし、カタールで初めての総合優勝を成し遂げたのだ。当初、カベンディッシュは風の影響を受けやすいカタールは、小集団でのスプリントもこなせるボーネンのような選手に向いていて、自分のようなスプリンターには向いてないと語っていた。しかし、今年は第3ステージ以降がすべて集団でのゴールスプリントになり、カベンディッシュはきっちりはボーナスタイムを稼ぐことができた。今年のカタールには143選手がスタート。UCIプロチーム12チームを含めた18チームが集ったトップクラスのレースには日本からもナショナルチームが参加し、世界の強豪たちと競った。 ■ツアー・オブ・カタール 個人総合最終成績[2月3日~8日/カタール/アジアツアー2.HC] 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)15時間55分20秒 2 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)+25秒 3 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+26秒 4 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国)+30秒 5 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア)+32秒 6 グレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング/ベルギー)+32秒 7 ミヒャエル・シャール(BMCレーシング/スイス)+35秒 8 エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー)+39秒 9 ルーク・ロウ(スカイ/英国)+40秒 10 ゲラント・トーマス(スカイ/英国)+40秒 76 別府史之(オリカ・グリーンエッジ/日本)+17分13秒 91 西谷泰治(日本ナショナルチーム)+18分25秒 92 盛一大(日本ナショナルチーム)+18分25秒 96 鈴木譲(日本ナショナルチーム)+18分40秒 106 畑中勇介(日本ナショナルチーム)+19分24秒 122 内間康平(日本ナショナルチーム)+21分14秒 ※清水都貴(日本ナショナルチーム)は第5ステージを出走しなかった ※佐野淳哉(日本ナショナルチーム)は第6ステージを途中棄権した [各賞] ■ポイント賞:マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国) ■新人賞:タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国) ■チーム成績:BMCレーシングチーム(米国)
第1ステージはブックウォーターが逃げ切り優勝
今年のツアー・オブ・カタールは、初日からスリリングな展開になった。砂漠の横風でバラバラになった集団が1つになった後の残り11km地点で、集団から逃げ出すことに成功したのはブレント・ブックウォーター(BMCレーシング)、マルティン・エルミーゲル(IAMサイクリング)、グレゴリー・ラスト(レディオシャック・レオパード)だった。ゴールまで残り5kmで3人のタイム差はたった34秒だったが、オメガファルマ・クイックステップとスカイが引く集団は、ゴールラインでも逃げを飲み込むことができなかったのだ。ホームストレートで3人のゴールスプリントを制し、片手を上げたのは米国のブックウォーターだった。「(エルミーゲルとラストは)とても賢くて強かった。でもボクはちょっとだけ先行できて、彼らから逃れられた。勝ちにいくぞと自分自身に言い聞かせていたけど、自分の車輪が最初にラインを通過するのを見た時はショックだった。長い間味わっていなかった感覚で、本当に特別でエキサイティングだったよ」と、28歳のブックウォーターは優勝の喜びを語った。彼はボーナスタイムを10秒獲得し、総合首位の証であるゴールデン・ジャージにソデを通した。 ■第1ステージ[2月3日/カタラ・カルチュラル・ビレッジ~ドゥハーン・ビーチ/145km] 1 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)3時間28分47秒 2 マルティン・エルミーゲル(IAMサイクリング/スイス) 3 グレゴリー・ラスト(レディオシャック・レオパード/スイス) 4 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア) 5 エリア・ビビアーニ(キャノンデール/イタリア) 6 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国) 7 マッティ・ブレシェル(チームサクソ・ティンコフ/デンマーク) 8 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国) 9 ハインリッヒ・ハウスラー(IAMサイクリング/オーストラリア) 10 マテュー・ラダニュー(FDJ/フランス) ■第1ステージまでの総合成績 1 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)3時間28分37秒 2 マルティン・エルミーゲル(IAMサイクリング/スイス)+4秒 3 グレゴリー・ラスト(レディオシャック・レオパード/スイス)+6秒 4 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア)+6秒 5 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+6秒
チームタイムトライアルはBMCが優勝
つづく第2ステージは14kmのチームタイムトライアルだった。ゴールデン・ジャージを着たブックウォーターと、白い新人賞ジャージを着たタイラー・フィニーがいる米国のBMCレーシングチームは最終走者で出走し、英国のスカイに5秒差、ベルギーのオメガファルマ・クイックステップに10秒差を付けて区間優勝した。BMC特急は、砂漠に吹き付ける刃物のような風を跳ね返し、8人中5人が揃ってゴールラインを通過した。中間計測ポイントではスカイが9秒上回っていたが、チームはけっしてパニックにはならなかったとブックウォーターは語っている。「ボクたちはすでに一定のペースを作っていて、用心深くターンした。おそらくそこで2秒は失っただろう。でも、節約したエネルギーが、ゴール近くまで持つ自信があった。フィニーとシャールはゴールでとんでもなく強かったよ」チームタイムトライアルの優勝で、BMCレーシングチームは総合上位を独占した。 ■第2ステージ[2月4日/アル・ルファー・ストリート(チームタイムトライアル)/14km] 1 BMCレーシングチーム(米国)16分7秒 2 スカイプロサイクリング(英国)+5秒 3 オメガファルマ・クイックステップ(ベルギー)+10秒 4 レディオシャック・レオパード(ルクセンブルク)+11秒 5 カチューシャチーム(ロシア)+15秒 6 アスタナプロチーム(カザフスタン)+17秒 7 FDJ(フランス)+23秒 8 オリカ・グリーンエッジ(オーストラリア)+23秒 9 キャノンデール(イタリア)+24秒 10 チームサクソ・ティンコフ(デンマーク)+26秒 18 日本ナショナルチーム +1分48秒 ■第2ステージまでの総合成績 1 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)3時間44分44秒 2 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+6秒 3 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国)+10秒 4 グレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング/ベルギー)+10秒 5 ミヒャエル・シャール(BMCレーシング/スイス)+10秒 11 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)+20秒
マンクス・ミサイルが2連勝で総合首位を逆転!
BMCレーシングチームの前に立ちはだかったのは、世界最速の男だった。1月下旬に南米のアルゼンチンで開催されたツール・ド・サンルイスでシーズンインし、第1ステージで今季1勝目を上げていたマーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ)は、絶好調でカタールに来ていた。彼は第3ステージの集団ゴールスプリントを難なく制し、今大会での通算5度目の区間優勝を上げた。「今日はギヨーム・バンケイスブルックがボクの発射台をするはずだったんだけど、彼は残り2~3kmでスポークが折れて脱落してしまった。だからボクたちは残り1200メートルを、ニキ・テルプストラに働いてもらわなければならなかった。それは1人では到底手に負えない距離だったのに、彼はボクをといもいい位置においてくれた。だからボクは勝つために他のチームの列車を使えたんだ」と、カベンディッシュはこの日のスプリントを説明している。 つづく第4ステージでも、集団ゴールスプリントでカベンディッシュに敵はいなかった。彼は2日間の区間優勝で20秒のボーナスタイムを獲得し、第3ステージの中間スプリントポイントでも2秒獲得していたため、ブックウォーターを抜いて総合首位に立った。 ■第3ステージ[2月5日/アル・ワクラ~メサイエード/143km] 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)3時間05分14秒 2 バリー・マルクス(バカンソレイユ・DCM/オランダ) 3 アイディス・クルオーピス(オリカ・グリーンエッジ/リトアニア) 4 ナセル・ブアニ(FDJ/フランス) 5 ハインリッヒ・ハウスラー(IAMサイクリング/オーストラリア) 6 エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー) 7 ロジャー・クリューゲ(チームネットアップ・エンデューラ/ドイツ) 8 ジョン・デゲンコルプ(チームアルゴス・シマノ/ドイツ) 9 フィリッポ・フォルティン(バルディアーニバルボーレ・CSFイノックス/イタリア) 10 ジョフロワ・スープ(FDJ/フランス) ■第3ステージまでの総合成績 1 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)6時間49分58秒 2 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+6秒 3 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国)+7秒 4 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)+8秒 5 グレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング/ベルギー)+10秒 ■第4ステージ[2月6日/キャメルレーストラック~アル・ホール・コーニッシュ/160km] 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)3時間30分05秒 2 バリー・マルクス(バカンソレイユ・DCM/オランダ) 3 アンドレア・グァルディーニ(アスタナ/イタリア) 4 フィリッポ・フォルティン(バルディアーニバルボーレ・CSFイノックス/イタリア) 5 アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ/ノルウエー) 6 ジョナサン・カントウエル(チームサクソ・ティンコフ/オーストラリア) 7 ナセル・ブアニ(FDJ/フランス) 8 アイディス・クルオーピス(オリカ・グリーンエッジ/リトアニア) 9 エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー) 10 ダビデ・アポッローニオ(AG2R・ラモンディアル/イタリア) ■第4ステージまでの総合成績 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)10時間20分01秒 2 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)+2秒 3 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+8秒 4 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国)+9秒 5 グレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング/ベルギー)+12秒
無敵のゴールド・カベンディッシュがスプリントで4連勝!
総合首位のゴールデン・ジャージを着たあとも、カベンディッシュは無敵だった。彼は残り2ステージも制し、区間4連勝でカタール初総合優勝に花を添えた。最終日にはスタートして15kmで落車し、ヒヤリとさせられる場面もあったが、幸いケガはなかった。「まるで月にいるような気分だ。チームは毎年ほとんどトム・ボーネンの総合優勝を請け負ってここに来ている。しかし彼はケガから回復中だ。それはちょっとプレッシャーになって、ボクはちょっとナーバスだった。でも勝利を得られて本当にうれしいよ。ここで(チームの)みんなは、信じられないくらい働いてくれた。彼らはボクの面倒をよく見てくれて、よくやってくれて、毎日運んでくれた。チームがふたたびこの勝利を持ち帰ることができて、本当に満足しているし、誇りに思っている。ボクたちはツアー・オブ・カタールで6度総合優勝した。区間優勝は何勝になるのは知らないけど、その一部になれてうれしいね」と、カベンディッシュは初の総合優勝の喜びを語っている。 ■第5ステージ[2月7日/アル・ズバラ・フォート~マディナット・アルシャマル/154km] 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)3時間11分11秒 2 ヤウヘニ・フタロビッチ(Ag2R・ラモンディアル/ベラルーシ) 3 アイディス・クルオーピス(オリカ・グリーンエッジ/リトアニア) 4 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国) 5 ルーク・ロウ(スカイ/英国) 6 ジョン・デゲンコルプ(チームアルゴス・シマノ/ドイツ) 7 アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ/ノルウエー) 8 ナセル・ブアニ(FDJ/フランス) 9 ハインリッヒ・ハウスラー(IAMサイクリング/オーストラリア) 10 ロジャー・クリューゲ(チームネットアップ・エンデューラ/ドイツ) ■第5ステージまでの総合成績 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)13時間30分59秒 2 ブレント・ブックウォーター(BMCレーシング/米国)+15秒 3 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国)+20秒 4 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国)+22秒 5 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア)+24秒 ■第6ステージ[2月8日/シーライン・ビーチリゾート~ドーハ・コーニッシュ/116.5km] 1 マーク・カベンディッシュ(オメガファルマ・クイックステップ/英国)2時間24分31秒 2 ヤウヘニ・フタロビッチ(Ag2R・ラモンディアル/ベラルーシ) 3 バリー・マルクス(バカンソレイユ・DCM/オランダ) 4 アダム・ブライス(BMCレーシング/英国) 5 タイラー・フィニー(BMCレーシング/米国) 6 ケニー・ファンフンメル(バカンソレイユ・DCM/オランダ) 7 アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ/ノルウエー) 8 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア) 9 ナセル・ブアニ(FDJ/フランス) 10 ギヨーム・ボワバン(キャノンデール/カナダ)
2月11日からはツアー・オブ・オマーンがスタート
カタール終了後、中東では引き続きツアー・オブ・オマーン(アジアツアー2.HC)が開催される。参加チームはカタールと同じだが、メンバーは一部入れ替わる。カタールで総合優勝したオメガファルマ・クイックステップは、マヨルカでのトレーニングを終えたトム・ボーネンがカベンディッシュと入れ替わりで参加する予定だ。(http://www.letour.fr/indexTOO_us.html) [ツアー・オブ・オマーン 日程(2月11日~16日)] 2月11日(月) 第1ステージ[アル・ムサナ~スルタン・カブース大学/162km] 2月12日(火) 第2ステージ[ファンヤ・イ・ビドビド/146km] 2月13日(水) 第3ステージ[ナハル・フォート~ワディ・ダイカ・ダム/190km] 2月14日(木) 第4ステージ[アル・サルティヤ・イン・サマイル~ジャバル・アル・アフダル(グリーン・マウンテン)▲/152.5km] 2月15日(金) 第5ステージ[アル・アラム・パレス~ミニストリー・オブ・ハウジング・イン・ボシャール/144km] 2月16日(土) 第6ステージ[ハウィット・ナガム・パーク~マトラ・コーニッシュ/144km]