高剛性を追求した個性派モデル!EDDY MERCKX EMX-525
高剛性な設計はエアロホイールとの相性バツグン
60t相当のカーボン素材をもとに作られるこのモデルは、上下異径ヘッドやオーバーサイズBBのPF86などトレンドとなる製造を装備し、フレーム単体で1049gの重量に仕上げられる。 そして、その剛性については、現在市場にあるモデルの平均値と比べるとハンガーまわりで50%、ヘッド部周辺では67%も上回るレベルを実現しているという。
もちろん単に高剛性だけを追求しているのではない。クランク状にデザインされたバックステーは、駆動効率の向上と脚への負担を低減するペダリングのために、左右で異なる形状とすることにより最適な剛性レベルを追求している。さらにヘッドまわりやシートチューブには翼断面形状を配し、エアロダイナミクスへの配慮も行なわれる。また、ワイヤルーティングについては、空力面や最高レベルの相殺性を求めた結果、電動コンポーネントのみに対応するという割り切った設計がされる。
他を圧倒する個性的なフォルムに、優れたライディングパフォーマンスを詰め込んだEMX-525は、数ある2013年モデルのなかでも魅力的な存在だが、それに輪をかけるのがその価格だ。フレームセットで40万円を大幅に下まわる値付けはライバルメーカーのフラッグシップと比べて断然お買い得であり、個性的な一台を求めるライダーのみならず食指を動かされるだろう。
エディメルクス・EM-525
フレームセット価格 37万1000円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエース 9070 Di 2
ホイール:シマノ・WH-9000-C35-CL
タイヤ:ミシュラン・プロ4サービスクルス
ハンドルバー:デダ・M35アロイ
ステム:デダ・トレンタチンクエ
サドル:セライタリア・SLRキット カルボニオ
シートポスト:専用品
試乗車実測重量:7.04kg(52サイズ、ペダルなし)
サイズ:48、50、52、54
カラー:ホワイトカーボンレッド、ブラック
■写真下・左:正面から見るとさらに特徴的なフロントフォーク。ブレードの中間部分から下をクランク状に成型することで路面からの衝撃を緩和し、乗り心地の向上やハンドリングの正確性に貢献する。
■写真下・中:エアロダイナミクスへを意識してノーズ状に成型されたヘッドチューブ。フォーククラウンもダウンチューブと密着するようデザインされ、ヘッドまわりで起こる空気の乱流を低減する。
■写真下・右:バックステーにもクランク状のデザインが与えられ、なおかつその左右で異なる形状を採用。振動吸収性の向上はもちろん、剛性を最適化することで効率的なペダリングを提供する。
■写真下・左:横方向への扁平を協調した2本タイプのシートステーがねじれ剛性を高めパワーロスを軽減する。2本締めタイプのシートクランプはY形にデザインされたオリジナル。独創性の追求は細部に至る。
■写真下・右:トップチューブは横扁平の強い形状。ヘッドに近い側に厚みを与えることで、ヘッド部のねじれ剛性を高める。それ以降は一気に薄くなり、フレーム前三角の剛性バランスと乗り心地の向上に貢献する。
■シートチューブは後端を平らにした、ロード界でトレンドとなる空力形状のカムテールスタイルを採用。さらにホイールとの距離を近づけて、後輪付近で起こる空気の乱流を低減する。
吉本 司の試乗インプレッション
ガンダムチックなデザインは賛否両論の分かれるところだが、個人的には2013年モデルでもっとも魅力的なフォルムを持つ一台で、一時は購入も考えたほどだ。見送った理由は電動コンポしか使えないことと、剛性が強すぎるのではないかと想像されることだった。
乗ってみると大きなボリューム感のルックスならではの高剛性だ。ヘッドからBBまでのパワーラインは塊のような一体感だが、トップチューブとバックステーの作りにより、フレーム全体の剛性バランスはうまくまとめられている。したがって、まったく手に負えない硬さではない。レースに取り組むライダーなら十分扱えるレベルだろう。とくにEMX-525の走りで魅力的なのは高速域だ。入力に対してリニアに加速し、下りやスプリントなどで速度がスムーズに上がる。そして時速30km後半以上の巡航でも、フレーム剛性のわりにはペダリングによる脚への負担も少なく、速度の維持性にも優れている。こうしたEMX-525の性能は、平地やスプリント、TT的な走りを得意とするライダーには絶好だろう。
ハンドリングは軽いながらもバイクの重心は低いため、直進安定性と旋回性のバランスに優れている。下りでの安定感が高くコーナリングもスパッと気持ちよく曲がれるのは、レーサーにとってストレスのない運動性能だ。当然ながらレース向きの一台で、スピードを求めることに快楽を覚えるライダーにオススメしたい。電動コンポのみ対応の制約はあるが、個性的なルックスとそのスパルタンな走りは購入しても後悔はないだろう。