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運動性能に磨きをかけたコンフォートロード!FELT Z1
2013.02.04
Zシリーズが6年ぶりにフルモデルチェンジ!
Zシリーズの処女作が登場したころから今日に至るまで、ロードバイクは急激な進歩を遂げた。カーボン素材とその製法の進化による軽量化、大径BB&上下異径ヘッドの定着、そして電動コンポへの対応など「Z1」はこれらすべての要素を取り入れ進化を果たしている。
ナノテクノロジーを採用したFシリーズと同様の超高弾性カーボンを用いて作られるフレームは、上下でチューブ外径に大きな差のある従来以上にメリハリの効いたシルエットを採用する。これはひと昔前とは異なり、コンフォートロードでも求められるようになった高い重量比剛性を実現するための設計であり、「Z1」は従来に比べてねじれ剛性で25%の向上、50gの軽量化を達成している。
快適性や剛性バランスの追求はおもにアッパー部で行われ、アーチ型のトップチューブとともに特徴的なのがバックステーだ。シートステーは横方向への扁平を強めた加工を施すとともに、それ自体の角度を寝かせて配置することで振動吸収性が高められる。またトップチューブとの接合面積は大きく確保し、これにより振動ロスにつながるバックステーのねじれを抑えることに成功している。一方のチェーンステーは、リヤエンドを上下にオフセットさせた設計によって路面からの入力を緩和して快適性につなげている。こうして進化を続けるロードバイクの運動性能に対応すべく軽さと重量比剛性を磨き上げた「Z1」は、コンフォートロードの最前線に一気に上り詰めるためのスペックを有することになった。
フェルト・ゼットワン
フレーム価格 28万1400円
カンパニョーロ・レコードEPS完成車価格 104万7900円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエース Di 2
ホイール:マヴィック・キシリウムSLR
タイヤ:マヴィック・イクシオン プロ パワーリンク 700×23C
ハンドルバー:3T・エルゴノヴァチーム
ステム:3T・アークスチーム
サドル:プロロゴ・スクラッチプロ 134ナック
シートポスト:3T・ドリコチーム
試乗車実測重量:6.86kg(560サイズ、ペダルなし)
サイズ:510、540、560
カラー:マットカーボン
■写真下・左:ストレートタイプのフロントフォークを装備する。ブレードは左右の張り出しを抑えて空力に配慮するとともに、エンドに近い側に微妙な曲げ加工を施すことで乗り心地を高める。
■写真下・中:下側のベアリングにワンポイントファイブ規格を採用したテーパードヘッドチューブ。シャープなハンドリングと軽快なダンシング性能の演出に大きく貢献している。
■写真下・右:リヤエンドを上側にオフセットして設計することで乗り心地を高める。同時にエンド部には十分なボリュームが与えられ、リヤホイールのねじれを抑えて駆動ロスを低減する。
■写真下・左:トップチューブは乗り心地の向上と全体の剛性をバランスする役目を持つ。後方に向かって五角形から四角形へと断面が変化して細くなり、ごくわずかなアーチシェイプを描く。
■写真下・右:乗り心地を高めるため接合位置を下げ、トップチューブから延長するように成型したシートステー。ドイツのキャニオンも同様の手法をとるなど、流行を見せるシート部の形状だ。
■ハンガーシェルはBB30規格を採用。接合されるチューブはBBシェルの高さと幅一杯に広げられた断面積を持つ。パワーをロスしないペダリングを支える源になっている。
吉本 司のインプレッション
2007年当時に試乗したもののうち、今も残っているバイクの1つがZシリーズだ。当時のコンフォートロードは、加速感にやぼったさを覚えるモデルも多かった。そんななかでもZ1の走りの軽さは傑出していたように思う。
新作のZ1もその美点は貫かれている。ボリュームアップしたフレームと軽量化された恩恵によって、出足の軽さだけなら最新のレーシングバイクに肩を並べるか、モデルによってはそれ以上だ。バイク自体の振りもじつに軽く、ダンシングもキビキビと走る。
レースモデルとの違いはトルクをかけた高速からの反応だろう。快適性を重視した設計のアッパーラインが作用するため、Fシリーズなどと比べるとやや穏やかな性能となる。とはいえ、このバイクが照準を合わせるグランフォンディスタたちが不満を覚えることもない。それよりも加速性を重視して快適性を失うほうが、このバイクにとっては致命的。バックステーの柔軟性が生かされた乗り心地のレベルは、全体の剛性を考えればじつに優秀だ。
従来モデルはロングホイールベースによる直進安定性と軽めのハンドリングのバランスは見事だったが、新型ではヘッドまわりの剛性が向上してさらに軽さが際立った感がある。さらに試乗車には軽量化のためか21mm幅のタイヤが装備されており、そのせいかハンドリングがややピーキーな印象で下りコーナーでは少々の慣れが必要と感じた。このハンドリングの軽さと直進性をうまくバランスさせるには23~25Cのタイヤを装備して、フロント側の接地感を高めるほうがいいだろう。
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