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ミシュランの自転車ブランド「ヴェロ・ミシュラン」誕生

ミシュランは自転車やクルマのタイヤメーカー、近年ではミシュランガイドの名でご存知の人も多いだろう。同社は「人とモノの動くことの悦び、モビリティに貢献すること」を基本理念とし、それに基づく製品、ライセンス商品を展開してきた。そこに”自転車”があらたに加わる。ミシュランが考える自転車とはどんなものなのか。
text&photoナカジ

移動する楽しみを提供したい!

タイヤメーカーとして高い信頼と知名度を誇るミシュランから、自転車ブランドが誕生した。「ヴェロ・ミシュラン」と名付けられたシリーズの第一弾として発表されたのがこの「バリ・ブレスト」である。ちょっとコアな自転車好きならこの名前にピンと来たことだろう。そうブルベの最高峰「パリ~ブレスト~パリ」の元になった自転車レースの名前に由来しているのだ。

自転車用タイヤでスタートしたミシュランタイヤ

1889年に創業したミシュランは、農機具やゴム製品を製造販売する会社であった。1891年に画期的な自転車用空気入りタイヤを作ったことが大きな転機となった。当時すでに空気入りタイヤはあったが、パンク修理に数時間を要するという難題をかかえていた。そこでミシュランはわずか15分でパンク修理ができるタイヤとリムを開発。このタイヤを世に広めようと参加したレースこそがパリ~ブレスト~パリだったのだ。ミシュランタイヤをつけたシャルル・テロン選手は2位に8時間もの大差を付けて優勝し、その性能を世に知らしめた。(写真左が販売を担う日直商会代表取締役日向八郎氏、右は日本ミシュランタイヤ代表取締役ベルナール・デルマス氏

製作は日本の匠が支える

そんなミシュランゆかりの名前を与えられたシティサイクルは、作りにももちろんこだわりがある。設計を担当したのは著名なフレームビルダー松田志行氏。「レベル」の名で知られる彼のフレームは、競輪用はもちろん、シティーサイクルもラインナップされ評価が高い。パリ・ブレストには軽い走り、長時間の走行でも快適に楽しんでサイクリングができることを目指したジオメトリが与えられ、レース用バイク同様、”芯”がしっかりと出ていることにこだわって作られる。フレーム素材にはレイノルズのクロモリチューブ「520」をこのバイクのために用意されたオリジナルセットを使用する。トップチューブを太く、フロント側が楕円、リヤに向かって真円へと変形している。ダウンチューブは細いチューブを双胴に配されており、ダウンチューブ、チェーンステーには本来フォーク用のチューブを使っている。 タイヤはもちろんミシュラン。パイロットスポーツというシティ用のモデルで、プロテックHDというパンク防止層を持つ。サイズは700×28Cなので、軽快な走行感を演出してくれる。コンポーネントにはシマノのネクサス内装5段変速を採用した。

その走りはいかに?

実際に試乗してみると、その乗り心地はいたって普通である。これは悪い意味ではなく、普段ロードバイクを乗り慣れている身であっても、満足の乗り味を持っているということだ。歩道との段差をわざと超えてみたり、ハンドルを素早く切り返してみたりしても、しっかりバイクがついてきてくれる。また、自転車を押して移動するときにハンドルではなくサドルだけを持っていても、ハンドルがどちらかに切れてしまうというようなこともなかった。 「ちゃんと質のいいバイクを手に入れれば、乗ること自体がラクに楽しくなる。そうすれば、サイクリングを趣味として長く続けてもらえるんです。と、言葉で説明するよりも、実際に乗ってもらえばすぐにわかってもらえると思います。」そう語る設計者の松田氏どおり、ちょっとしたツーリングであれば対応できるし、すでにロードバイクをもっている人が、セカンドバイクとして選んでも不満のない仕上がりとなっている。
ダウンチューブは細身のパイプを2本ならべて配置する。その間にワイヤを通しているので、見た目にもスマートだ
レイノルズ520のギャランティーシールには「SPECIAL FOR VELO MICHELIN」の文字が
ヘッドバッジは金属製。細かい部分ではあるが、所有欲を満たしてくれる上で重要だ
価格●9万9750円 サイズ●S/M420mm(適応身長154~175cm)、M/L480mm(適応身長167~185cm) 発売時期●2013年3月 限定200台 問・日直商会