トピックス

極寒で短縮されたクラシックでサガンが初優勝! ヘント~ウェヴェルヘム2013

気温0度Cという極寒の影響で距離が短縮されてしまった今年のヘント~ウェヴェルヘムは、サガンの独走という予想外の結末で終わった
Photo: Graham Watson / cyclesports.jp

怪童サガンがついに北のクラシックを制した!


75回目という節目を迎えたベルギーのクラシックレース、ヘント~ウェヴェルヘム(UCIワールドツアー)は、今までに経験したことがないような寒さに見舞われ、大会史上初めて距離を190kmに短縮して開催された。ヘント~ウェヴェルヘムは、長年4月のパリ~ルーベ直前の水曜日に開催されていたレースではあるが、これまでに悪天候で競技開始が1時間遅れたことは1度、4日後に延期されたことも1度あったが、距離が短縮されたのは初めてだった。しかし競技が短縮された分、レースはスタートから激しく動く展開になった。レース後半、最初のケメルベルフを越えた後に、集団から先行したグループが逃げていた選手をとらえ、11人の先頭グループを形成した。ここに入っていたのが、優勝候補の1人だったスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)だった。先頭グループは、後続に1分半の差を付けてゴールを目指した。最後はこのグループでゴールスプリントが競われるだろうと思われていたが、ゴールまで残り4kmからのロングアタックを仕掛けたのはサガンだった。1週間前に行われた雪のミラノ~サンレモで2位になっていたサガンは、予想外のスタイルで、ついに北のクラシックを制したのだ。

極寒でレースは短縮し、ヒステルからスタート


今年のヘント~ウェヴェルヘムは、低温と降雪の予報が出ていたため、主催者が前日にコース短縮を決定した。幸い終日雨も雪も降らなかったが、前夜に降った雪が残るヘント郊外のデインズは気温0度Cという寒さで、選手たちは壇上で出走サインだけ行い、チームバスで48km北上したヒステルへと向かった。ヨハン・ミュセーウの出身地であり、自転車選手のシルベル・マースが始めたカフェとして有名な『カフェ・ツールマレー』があるヒステルが、今年のヘント~ウェヴェルヘムの公式スタート地になった。極寒レースにもかかわらず、スタートからスピードは上がり、集団がいくつにも分断する場面もあった。 105km地点で集団から最初にアタックしたのはフアンアントニオ・フレチャ(バカンソレイユ・DCM)だった。マテュー・ラダニュース(FDJ)とアッサン・バザイエ(アスタナ)が合流し、3人で先頭を逃げ続けた。120km地点の補給所でファビア・カンチェッラーラ(レディオシャック・レオパード)がレースを棄権した直後、集団ではトム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ)が落車するアクシデントが発生。彼は一度レースに復帰したが、最初のケメルベルフを越えた後に自転車を降りてしまった。

ゴールまで残り64km、最初のケメルベルフ越えで逃げる3人と集団のタイム差は1分17秒だった。ケメルベルフを越えた後、集団からハインリッヒ・ハウスラー(IAMサイクリング)がアタック。サガン、マチエイ・ボドナル(キャノンデール)、ステイン・バンデンベルフ(オメガファルマ・クイックステップ)、ベルンハルト・アイゼル(スカイ)、イェンス・デブシェール(ロット・ベリソル)、グレッグ・バンアーベルマート(BMCサイクリング)、アンドレイ・アマドール(モビスターチーム)、ボルット・ボズィッチ(アスタナ)、ヤロスラフ・ポポビッチ(レディオシャック・レオパード)が合流し、残り51kmで3人を捉えた。2度目のケメルベルフ越えでバザイエフが脱落し、残り40kmではデブシェールがパンクで遅れてしまった。先頭グループは11人になったが、サガンのアシストであるボドナルが引き、1分半のタイム差を守って先行を続けた。集団はマーク・カベンディッシュのオメガファルマ・クイックステップやアンドレ・グライペルのロット・ベリソルが引いたが、タイム差は一向に縮まらなかった。 先頭グループからゴールまで残り4kmで、最初に仕掛けたのはオムロープ・ヘットニュースブラッドで2位になったバンデンベルフだった。しかしすぐにフレチャが反応し、その後ろのサガンが食らいついた。そしてバンデンベルフが攻撃を緩めた瞬間に、サガンがカウンターでアタック。フレチャが追いすがろうとしたが、サガンのスピードには付いていけなかった。残り1kmで後続との差は17秒に開いていた。サガンはそのまま独走を決めてゴールへと飛び込み、最後はウイリーのパフォーマンスを見せるゆとりすらあった。後続は2位争いでアマドールがアタックしたが、ゴール目前で捕まってしまった。集団は40秒遅れでゴールし、スプリントでアンドレ・グライペルが先頭だった。 ■優勝したサガンのコメント「サンレモやロンドのような重要なレースではないけれど、この勝利はとてもうれしいよ。やっと壁を打ち破ることができた。チームの働きには感謝している。とくに先頭グループにいて働いてくれたボドナルにね。こんな天気だったけれど、それはみんな同じ条件だった。レースはスタートしてすぐに動いたから、寒さを感じている暇なんてなかった。最後はクイックステップの選手(バンデンベルフ)のアタックがいいタイミングで、うまく利用することができた。他の選手は疲れていたからね」

第75回ヘント~ウェヴェルヘム結果

1 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)4時間29分10秒 2 ボルット・ボズィッチ(アスタナ/スロベニア)+23秒 3 グレッグ・バンアーベルマート(BMCサイクリング/ベルギー)+23秒 4 ハインリッヒ・ハウスラー(IAMサイクリング/ドイツ)+23秒 5 フアンアントニオ・フレチャ(バカンソレイユ・DCM/スペイン)+23秒 6 マテュー・ラダニュース(FDJ/フランス)+23秒 7 ベルンハルト・アイゼル(スカイ/オーストリア)+24秒 8 ステイン・バンデンベルフ(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー)+24秒 9 ヤロスラフ・ポポビッチ(レディオシャック・レオパード/ウクライナ)+24秒 10 アンドレイ・アマドール(モビスターチーム/コスタリカ)+24秒

問い合わせ先