コスタが最終日のTTで逆転優勝! ツール・ド・スイス2013 ハイライト
手に汗握った最終日の個人TT
フランスのクリテリウム・デュ・ドーフィネと並んでツール・ド・フランスの最終調整レースとなる第77回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)は、最終日に行われた山岳個人タイムトライアルでの逆転劇で幕を閉じた。この日、黄色いリーダージャージを着て最後の闘いに臨んだのは地元スイスのマティアス・フランク(BMCレーシング)だったが、ディフェンディングチャンピオンのルイ・コスタ(モビスターチーム)は、たった13秒差で総合2位に付けていた。26.8kmの個人TTコースは、前半の16.5kmが平坦で、後半の10.3kmが上り坂というレイアウトだった。コスタは第1計測ポイントがあった16.5km地点を18分53秒で通過して最速タイムを更新したが、フランクはすでにここでコスタよりも13秒遅れていた。上り坂に入る前にフランクは自転車を交換したが、その効果はなく、21.9km地点の第2計測ポイントでは、コスタとのタイム差はさらに開いていた。フランクは地元の大声援に応えられず、最後の上り坂で失速し、区間優勝して総合優勝も手中に収めたコスタよりも2分近く遅れてゴール。総合5位まで陥落し、表彰台でコスタの横に立つこともできなかった。
地元スイスのフランクが活躍!
しかし26歳のフランクは、今年のツール・ド・スイスを大いに盛り上げてくれた選手の1人だった。彼はクラン・モンタナ山頂にゴールした第2ステージで区間2位になり、総合成績は首位のキャメロン・マイアー(オリカ・グリーンエッジ)にたった5秒差で迫っていた。そこで雨天に見舞われた第3ステージでは、ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシング)がフランクのアシストとなり、最後の峠で集団を引き続けた。この働きで集団は15人ほどに絞りこまれ、リーダージャージのマイアーも脱落した。この日、区間優勝はスロバキアのペーテル・サガン(キャノンデール)が獲得したが、フランクは先頭グループでゴールして総合首位になり、地元の大歓声を受けて表彰台でリーダージャージに袖を通したのだ。フランクは終盤にカテゴリー超級のアルブラパス峠を越えた最難関の第7ステージでも、区間優勝したコスタとのタイム差を最小限に抑えることに成功し、最終日の個人TTまで黄色いリーダージャージを守り続けたのだが、その日は地元最大のレースを手中に収める奇跡は起こらなかった。「上へ上るにつれて、自分自身がどんどん遅くなっていくのを感じていた。自分が望むようにはできないと思い知らされたとても厳しい瞬間だった。そのとき、ボクはちょっと精神的にダメになってしまった。でも、全力を尽くしたよ。ボクは全体を考えなければいけない。ボクは素晴らしいツール・ド・スイスをしたと思う。得るものがたくさんあったし、自信を持ち始めた。こういう状況にはあまりなったことがなかったし、まだ学ぶ過程なのさ」と、最後の個人TT終了後に語ったフランクは、このレースでの経験で大きく成長するだろう。
昨年はチームのエースであるアレハンドロ・バルベルデのアシストを受けて総合優勝したコスタだったが、今年は個人TTを制し、自らの力で連覇をもぎ取った。「最後のTTステージがレースを決するにちがいないと我々は知っていた。だからボクは先週ここを下見に来て、それがとても自分には厳しいと思っていた。監督もスタート前にコースを下見した。上りは30分以上かかる長いものだったから、それが始まる前に自転車を交換する必要があるという結論に達していた。ボクはとても集中して走り、ワットに気を配り続けた。上りではふもとからトップまで自分自身のリズムをキープすることが重要だとわかっていたが、コンスタントなペースを守り続けた。もっともキツい斜面で、ボクはすでに区間優勝と同じく総合優勝もとても近づいているとわかった。だからタイム差を広げるためにエンジン全開で行った。すべてがパーフェクトだった。スーパーハッピーだよ」コスタはこの後、ツール・ド・フランスに参加する予定だ。
第77回ツール・ド・スイス 個人総合最終成績
1 ルイ・コスタ(モビスターチーム/ポルトガル)31時間08分11秒
2 バウケ・モレマ(ブランコプロ/オランダ)+1分02秒
3 ロマン・クロイツィーゲル(チームサクソティンコフ/チェコ)+1分10秒
4 ティボー・ピノ(FDJ/フランス)+1分26秒
5 マティアス・フランク(BMCレーシング/スイス)+1分43秒
6 タネル・カンゲルト(アスタナ/エストニア)+1分51秒
7 ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシング/米国)+2分23秒
8 ダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ/アイルランド)+2分42秒
9 シモン・スピラク(ランプレ・メリダ/スロベニア)+2分42秒
10 キャメロン・マイアー(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)+3分44秒
[各ステージの優勝者]
■第1ステージ:キャメロン・マイヤー(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)
■第2ステージ:バウケ・モレマ(ブランコプロ/オランダ)
■第3ステージ:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■第4ステージ:アルノー・デマール(FDJ/フランス)
■第5ステージ:アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ/ノルウエー)
■第6ステージ:グレゴリー・ラスト(レディオシャック・レオパード/スイス)
■第7ステージ:ルイ・コスタ(モビスターチーム/ポルトガル)
■第8ステージ:ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)
■第9ステージ:ルイ・コスタ(モビスターチーム/ポルトガル)