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ツールの調整レースでフルームが優勝! ドーフィネ2013 ハイライト

昨年の覇者ウィギンスが欠場した今年のドーフィネを制したのは、彼の栄光の足跡を追うフルームだった

 

Photo: Graham Watson

ツール開幕前にコンタドールとフルームが直接対決!?


ツール・ド・フランスの調整レースである第65回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)は、英国のクリストファー・フルーム(スカイ)が総合優勝して幕を閉じた。今年のドーフィネはツールで総合を争うことになる2人のビッグネーム、アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ)とフルームの直接対決が注目されていたが、コンタドールは開幕前の記者会見ですでに「ここには総合成績での勝利を考えて来てはいない」と宣言し、ツールの調整のために参加していると語っていた。「ドーフィネでの主な目標は、100%の状態でツールに臨めるようにコンディションをつかむことさ」

 

2人の直接対決がツールまで見られないことは、第4ステージの個人TTではっきりした。コンタドールは区間優勝したTT世界チャンピオンのトニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ)よりも3分37秒遅れでレースを終え、総合でフルームとのタイム差は2分45秒も開いてしまった。一方のフルームは、個人TTで世界チャンピオンのマルティンに勝てなかっただけでなく、オーストラリアのローハン・デニス(ガーミン・シャープ)にも5秒差で負けて区間3位に終わったが、23歳のデニスが総合争いの敵ではないことはよく理解していた。フルームは翌日に行われた中級山岳ステージで、終盤にアタックして区間優勝し、あっさりデニスからリーダージャージのマイヨ・ジョーヌを奪い取ってしまった。



ひとたびマイヨ・ジョーヌを獲得してしまえば、チームスカイは無敵だった。フルーム自身はまだトップコンディションに達していないと感じていたが、彼の総合首位の座を脅かす存在は、ドーフィネの集団にはいなかった。総合2位は彼のチームメートであるリッチー・ポートだった。コンタドールは総合上位にとどまっていたチームメートのマイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ)を山岳でアシストしながら、みずからの調子を上げていく道を選択していた。第7ステージではオルノン峠で集団を引き、そのペースに付いていけずにデニスが脱落。その働きのおかげで、ロジャースは総合4位から3位へと浮上した。コンタドールがドーフィネの山岳で、日に日に調子を上げていくのは目に見えてわかった。雨と寒さに見舞われた最終日の最後の上り坂では、コンタドールはトニ・ガロパン(レディオシャック・レオパード)のアタックに反応して付いていったが、この動きにロジャースがついて行けず、メイン集団から脱落。それを知ったコンタドールは脚を止め、ロジャースを待って助けることを選択した。結局ロジャースはコンタドールともに2分近く遅れてゴールし、総合3位の座を失って表彰台には上がれなかったが、それでも総合6位に留まることができた。ロジャースはこの恩をツールで返すことになるだろう。コンタドールはドーフィネで手に入れたコンディションに満足し、ツールではトップコンディションになるだろうと確信している。

 


昨年のブラッドリー・ウィギンス(スカイ)と同じようにクリテリウム・デュ・ドーフィネを制したフルームは「理想のシナリオだった」と自らの調整レースを評している。「ドーフィネは鍛え上げるためのレースだった。親友の1人であるチームメートのリッチー・ポートの総合2位をプラスするために、ボクはこれ以上を求められなかった。もちろんこのレースは、ツールのための最終テストでもあった。ボクはツールで勝つためにやるべきことがすべてできるとわかった。チームが自信を持ついい理由もあったよ。けれど自転車競技というものには、絶対の保障はないものだ。総合で2人の選手が上位を狙えるというのは、ものすごく有利な状況だ。今夜はこの勝利を祝うためにチームメートとワインを1杯飲むだろう。そして仕事に戻って、いくつかの山岳ステージの下見に行くよ」フルームはツールで総合を争うライバルにコンタドール、アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)、カデル・エヴァンス(BMCレーシング)、ティージェイ・バンガルデレン(BMCレーシング)、ナイロ・キンタナ(モビスター)の名前を上げている。

 

第65回クリテリウム・デュ・ドーフィネ 個人総合最終成績

1 クリストファー・フルーム(スカイ/英国)29時間28分46秒

2 リッチー・ポート(スカイ/オーストラリア)+58秒

3 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+2分12秒

4 ヤコブ・フグルサング(アスタナ/デンマーク)+2分18秒

5 ダニエル・ナバロ(コフィディス/スペイン)+2分20秒

6 マイケル・ロジャース(チームサクソ・ティンコフ/オーストラリア)+3分08秒

7 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)+3分12秒

8 ローハン・デニス(ガーミン・シャープ/オーストラリア)+3分24秒

9 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+4分25秒

10 アルベルト・コンタドール(チームサクソ・ティンコフ/スペイン)+4分27秒

[各ステージの優勝者]

■第1ステージ:ダビー・ベイユー(ヨーロッパカー/カナダ)

■第2ステージ:エリア・ビビアーニ(キャノンデール/イタリア)

■第3ステージ:エドワルド・ボアソンハーゲン(スカイ/ノルウエー)

■第4ステージ:トニー・マルティン(オメガファルマ・クイックステップ/ドイツ)

■第5ステージ:クリストファー・フルーム(スカイ/英国)

■第6ステージ:トマ・ヴォクレール(ヨーロッパカー/フランス)

■第7ステージ:サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)

■第8ステージ:アレッサンドロ・デマルキ(キャノンデール/イタリア)