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トレック・ドマーネの真価を試す!
2012.11.30
ビッグブランドが放つ意欲作
自動車メーカーと同じように、もし自転車メーカーにもビッグ3があったなら、間違いなくそのひとつに入るバイクブランド「トレック」。同社2013年の目玉のひとつとなるモデルがこの「ドマーネ」だ。ラテン語で「王冠」と名付けられたこのバイクは、石畳などの荒れた路面のレース。例えばツール・デ・フランドルやパリ~ルーベといった、コースにいくつもの石畳区間が登場する過酷な北のクラシックでも闘える走行性能を備えるように開発が進められた。開発のテストライダーとして迎えられたのは、先に紹介したクラシックレースでの優勝経験もあるファビアン・カンチェッラーラ。彼からもたらされた、レースで勝つためのバイクに必要な要素を実現すべく開発されたのだ。キーワードは「レス・イン・モア・アウト」。少ないエネルギーでより大きな推進力を生むということだ。
独創的な構造「IsoSpeed」
山あり谷あり、悪路あり! ”俺チャレ”でインプレッション!
ドマーネは今年の俺チャレのようにいくつもの峠を超え、旧道や舗装林道を走り続けるルートにはもってこいのバイクだ。カンチェッラーラとレベルはだいぶ違えど、ドマーネの恩恵を十分受けられるはず。
どこを走ったかというと諏訪湖を中心に120km。諏訪湖ヨットハーバーをスタートして国道20号で塩尻峠を越え、高ボッチ高原へ。クルマ約1台分の道を上っていく。その後諏訪湖に下ってきて今度は和田峠へ。ここの旧道は特に路面がわるく、そのうえ木漏れ日で状況判断が難しいところ。その先の三峰山展望台で折り返してまたまた諏訪湖に。最後はとどめの霧ヶ峰高原への上り、しっかりとした舗装路で道幅も広いのだが、長くておまけに斜度がきつい。霧ヶ峰高原から折り返して諏訪湖にゴールするというコース。その獲得標高は3000m!
アイソスピードディカップラーという、他のバイクにはない独特の構造をもっているわけだが、それゆえに違和感がありはしないかと走る前は考えていた。が、乗ってみるとそれが余計な心配だったことに気づく。走っている最中はこの機能が気になったことはなかったのだ。それは役に立っていないということではなく、違和感なく仕事をしているということ。あとになって「そういえば荒れた路面でも尻がはねなかったな」とありがたみを認識したのだ。
逆にフォークは明らかにわかる。個人的にとても好みのフィーリングだ。特に和田峠の下りでは、どんなクルマも慎重に走らなければならないほど、舗装は穴だらけで道は波打っていた。そこを安定したハンドリングには非常に助けられたのだ。上れば必ず下りがあるわけで、行程も後半になり疲れた状態で峠の下りを走っても、レース向けにクイックさを追求した設計のフォークと違って、落ち着いたハンドリングは誰もが恩恵を受けることができるだろう。