トピックス
本誌岩崎も参戦! 野辺山シクロクロス2012
2012.11.20
苦しいけど楽しい! 野辺山シクロクロスは今年も大盛況
今年で3年目を迎えた野辺山シクロクロスが、11月17日、18日に長野県南佐久郡野辺山高原の滝沢牧場で開催された。標高1400メートルの野辺山高原にはひと足早い冬が訪れていて、八ヶ岳の山並みはすでに雪を抱いていた。キッズレースやシングルスピード選手権が行われた初日は冷たい雨に見舞われ、コースはすでに泥地獄。2日目も暖かい日差しに恵まれたのは午前中だけで、午後には曇天が厳しい冷え込みをもたらし、日中の気温は4度Cを下回っていた。しかし、カテゴリー3からUCIレースまでの10カテゴリーに分けられたレースが次々にスタート。凍てつく寒さも忘れさせるような熱戦が繰り広げられ、滝沢牧場の特設コースには選手を勇気づけるカウベルの音と熱い声援が絶えまなく鳴り響いていた。今年はビギナー男子のためのカテゴリー3には200人以上のエントリーがあり、A、B、Cの3組に分けられて行われた。最初にスタートしたA組には、本誌岩崎も参戦。前日の雨で絶好の(?)コンディションになった泥と格闘した30分間のレースを終え、ヘロヘロになってゴールしたのに何故か笑顔。苦しいけど楽しい、シクロクロスならではの光景だった。その模様はサイクルスポーツ2月号(12月20日発売)で詳しくお伝えするので、お楽しみに!
■シクロクロスの応援グッズとして大人気のカウベルは青、黒、ブロンズの3色が販売されていた。この音がコース中に鳴り響かなければレースは盛り上がらない!
■カテゴリー3に出場した本誌岩崎も無事完走。ご声援ありがとうございました!
ひと回り成長した日本チャンピオンの竹之内が2連覇!
2日間のイベントの最後を飾ったのは、昨年UCIレース(クラス2)に昇格した男子エリートカテゴリー。このレースで昨年優勝した日本チャンピオンの竹之内悠(チームユーラシア)は、ゼッケン1を付けてスタート。今シーズンはベルギーでBポストバンク杯シリーズのレースにも参戦し、ヨーロッパのトップ選手たちと競っている竹之内は1周目から先行し、そのまま独走体制に入るかと思われたが、すぐにベテランの小坂正則(スワコレーシングチーム)と丸山厚(チームマッサ・アンデックス)に追いつかれ、3人で先頭グループを形成した。しかし、シクロクロスの本場ベルギーで走り、ひと回り大きく成長したチャンピオンは落ち着いていた。竹之内は残り3周でアタックすると、小坂の追撃を寄せ付けず、30秒以上の差を付けてゴールに飛び込んだ。その視野は、すでに4週間後の全日本選手権を見据えていた。
■昨年につづいて2連覇を果たした竹之内。昨年優勝して大勢の人たちに応援してもらったから、今年もまた勝ちたかったと語っていた
■来季はベルギーのUCIコンチネンタルチーム、コルバ・スーペラーノハムで走る竹之内。ロードでの活躍にも期待したい
C2はメッセンジャーのホースがシングルスピード車で優勝!
カテゴリー2を圧倒的な強さで制したのは、米国から参戦したメッセンジャーのオースティン・ホース(キングコグ/ロスコ)。今年8月にシカゴで開催されたメッセンジャー世界選手権で4位に入った実力者のホースは、11月23日に東京・竹芝で開催される日本初上陸のRed Bull Mini Dromeに参戦するために来日し、野辺山シクロクロスにもやってきた。しかし彼はUCIライセンスを持っていなかったため、カテゴリー2での出走となった。ホースは前日に行われたシングルスピード選手権にも出場して2位になったが、その時使用したのと同じシングルスピード車でカテゴリー2のレースにも参加し、後続に1分以上の差を付けて優勝してしまった。昨年はシクロクロスの大会にはシクロクロス車で参加していたが、今年はずっとシングルスピード車を使っているという。「シングルスピードは単純でいいのさ!」と、ホースは力説していた。
今年もコスプレ大会と化したシングルスピード選手権!
そもそもシングルスピード選手権って何だっけ? と、一瞬考えさせられてしまうコスプレ・レースは、すっかり野辺山シクロクロスの名物イベントとして定着している。知らないヒトが見たら、シングルスピード選手権はコスプレ大会なんだと勘違いしそうだが、元々は1速しかギアがないシングルスピード車で競われるレースで、真剣に優勝を狙っている選手たちもモチロン参加している。そんな選手に「オーマイガーッ」と呆れられてしまうほど凝りに凝ったコスプレ組が、今年もレースを盛り上げてくれた。スーパーマリオ、ドラゴンボール、ドラえもん、牛、カエル、馬、パンダ、人体標本…そして昨年大人気だったスク水(スクール水着)クンは今年も参戦。とにかく目立つことだけを考えた、まさに命知らずな(?)猛者たちが、みぞれまじりの雨の中をスタートした。シングルスピード選手権を真面目に競って優勝したのは、米国から参戦したブレナン・ウォットリ(オールアクセスレーシング)。そしてベストドレッサー賞に輝いたのはスク水クンだった! 野辺山シクロクロスを協賛しているRaphaのCEO、サイモン・モットラム氏は、先日紹介したサイクルスポーツ.jpのインタビューで、米国や英国で行われているシクロクロスの魅力を熱く語ってくれたが、野辺山シクロクロスのシングルスピード選手権は、その魅力を日本的にアレンジしたものだと言えるだろう。レースを楽しむことに国境はないのだ。
■シングルスピード選手権の“主役”の座をすっかり奪っているコスプレ組。ゴール後には表彰台で記念撮影!
■会場のあちらこちらには暖を取れる焚き火があり、スタッフが火を絶やさないようにしてくれている。何ともありがたい心遣いだ(とくにこのカレには…)
目指すはアジア初のUCIクラス1
Rapha Japanの代表であり、野辺山シクロクロスの主催者でもある矢野大介氏は、閉会の挨拶で大会の運営に協力してくれた滝沢牧場や南牧村の人たちと、裏方として働いてくれたスタッフへの感謝を忘れなかった。そして彼は、次はアジア初のUCIレース・クラス1への昇格を目指すと宣言した。大勢のシクロクロスファンに支持され、3年で立派に成長した野辺山シクロクロスには、まだまだ夢のつづきがある。