9070系デュラエースロングタームレポート、テストバイク リドレー・ヘリウムをインプレ!
カーボンのグレードが見直され、より使いやすくなった
リドレーの軽量モデルラインナップであるヘリウム。2012年モデルでは50t、40t、30tグレードのカーボンをフレーム各部に使い分けていたが、2013年モデルでは30t、24tの2種類を適材適所に使い分けている。チューブの形状は2012年モデルを踏襲している。反応のよさを維持しつつ、快適性を追求しているのだ。フレーム重量は1100gに仕上がっている。もちろん、開発段階でパヴェ(石畳のコース)でのテストが行われているので、堅実な作りであることが保証されている。
最も特徴的なのはシートステー。横に広く縦に薄いステーは、リヤからの振動を吸収するとともに、路面への追従性アップに寄与している。腕の筋肉のように盛り上がった形状をもつチェーンステーをあわせて、ペダリングパワーを確実に路面に伝えることができる。
ヘッドのベアリング径は上ワン1-1/8インチ、下ワンが1-1/2インチの上下異径となり、剛性が確保されている。BBはスレッドタイプだ。
写真左:フォークはゆるくベントし、オフセットは45mmだ
写真中央:ヘッドチューブは上下異径のシンプルな形状だ
写真右:シートポストはISPを採用している。フレームサイズはXSだ。最大で60mmまでカットすることができる。自分はシートトップまでの高さが695mmなので、30mmほどカットした。ポスト部分はこれくらい残っている
写真上:華奢なシートステー。トップチューブとの差を見ると、その薄さがよくわかる
写真中:BBはJISのスレッドタイプだ。
写真下:Di2内蔵対応フレームなので、ケーブル類はすべてフレーム内へ。フロントディレーラーのケーブルを出す穴に、バッテリーからのケーブルも通してみた。9070系になってから、ケーブルが細くなったのでできる芸当。
写真左:小さいフレームサイズだと、前三角の中にボトルケージ2つとバッテリーを取り付けなければならないので、お互いがぶつかってしまうフレームもあるが、ヘリウムは見ての通り問題なかった。
写真右:シートステーとは対照的なチェーンステー。センターが盛り上がり、パワーをしっかり受け止める。シートステー、エンドからチェーンステーまではフルカーボンで一体成形されている。
レース&ロングライドでテスト!
ロングタームレポートの長所はなんといっても、思う存分バイクを乗り倒せることだ。日常のサイクリングから、レース、ロングライドまで様々なシーンで使ってみた。今回は430kmほど走ってみてのインプレッションをお伝えする。
●ロングライド編 東京~宇都宮、輪行、郡山~仙台
下北沢にある自転車カフェ、カフェ・サコッシュのイベント「サンライズライド3rd」に参加。東京を22時に出発し、約360km離れた仙台を目指すというもの。途中、宇都宮から郡山までは、予想以上の低温により輪行。実際の走行距離は約256kmとなった。
自身初めてのオーバーナイト走行となったのだが、トラブルもなく走破することができた。真夜中に国道16号新大宮バイパスや国道4号を走ったわけだが、暗さ故にどうしても路肩の段差、突然登場するアスファルトがはがれた路面などへ、敏感にならなければならないので、常に緊張と集中力を求められる。軽量が魅力のバイクではあるが、段差によって跳ねてしまう不安定感はなかった。また、FFWDのF6Rとの組み合わせもあり、平地での巡航は快適。路面追従性の高さも影響しているだろう。
2012年モデルのヘリウムとくらべるとややマイルドな乗り味になったように思うが、それはもたつく感じがするということではない。シートステーだけで集中して振動を制御していたのが、フレーム全体に分散されるイメージが強くなった。
宮城県内に入り、阿武隈川沿いのゆるく長い下りでも、9070系の引きが軽いブレーキとあいまって、フルカーボンホイールながら、ブレーキングにも不安はなかった。
余談だが、軽いバイクは輪行もかなり楽だったことを書き加えておく。
●レース編 JCRC第3戦 群馬CSC
仙台へ走った翌週末にJCRCのCクラスにエントリー。狭いコース幅、緩やかなアップダウンと、さまざまなアールのカーブがつづくコース群馬CSCを5周回する30kmで争われたこのレース。
スタート直後から雪がちらつくという寒さだったが、久しぶりのレースにヒートアップ。クルマのサーキットとして使用されることもあり、ところどころアスファルトがはがれているこのコースだが、バックが暴れることもなく集団内でおちついて周回をこなすことができた。
集団が中切れを起こしそうなときでも、落ち着いて2、3踏みすれば、すーっとバイクがのびて、問題なく脚を温存することができる。下りでの伸びもよく、まわりが脚を回していても自分は止めていられた。
最終周回でなにかしてやろうと思い、心臓破りの手前で思い切って飛び出してはみたものの、自分の脚がすぐ売り切れて撃沈。だが、少ない脚力でも何かできるんじゃないか?と思わせてくれるバイクだ。
編集長・ナカジ
7800系機械式、7900系Di2と乗り継いできた。都内でメッセンジャーの経験もあり。そのときの市街地での使用から、俺チャレのような超ロングライド、JCRCのレースまで幅広いシーンでデュラエースシリーズを使用してきた。
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