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9070系デュラエースロングタームレポート第3弾! 操作系の使い心地をレポート!

注目の電動コンポーネント9070系デュラエース。興味がある人も多いであろうこのコンポーネントを半年に渡って使用し、その使用感をレポートするこの企画。第3回はブレーキ&シフトの操作性をレポートお送りする。


text●ナカジ photo●永田まさお

シフトスイッチの操作感はややソフトに

7970系に比べて、9070系のシフトスイッチは、少しではあるが少ない力で操作できるようになったと感じている。スイッチのストロークはほぼ同じだ。


スイッチのサイズが大きくなり、ブラケットを握った位置からの操作性が向上したのは歓迎出来るポイント。しかし、7970系の時から気になっていた、フルフィンガーのグローブをしているときにミスシフトしてしまうことがある。という点については解決されているとは言いがたい。

逆にシフトスイッチが隣り合っているので、上りでギヤを重くしすぎてしまった、軽くしすぎてしまったなどのシーンでも、すぐに操作しやすいという点もある。ブラケットサイズもコンパクトなので、手の小さい人でもスイッチに指が届きやすい。

 

実はこのロングタームレポート期間中に、たびたび9000系(機械式のデュラエース)が装着された試乗車に乗る機会があった。

9070系は確かに操作のストロークは小さく。少ない力で操作することが出来るし、ハンドルのドロップ部を握っているときの操作性は9000系に比べて、手首の動きがはるかに少ないので、圧倒的にいい。

しかし、操作する楽しみという点においては9000系は決して9070系に負けていない。人によっては勝っていると感じる人もいると思う。ブラケットポジションからの、絶妙なクリック感とストローク。指先の動きに沿うようなレバーのカーブはすばらしい。

 

とはいえ、さまざまなポジションととることができるドロップハンドルを使っている以上、ロードバイクのコンポーネントには、ブラケットポジション以外からも含めた、総合的な操作性が求められる。スプリンタースイッチやクライマースイッチ。さらにはTT用のシフトスイッチなど、トータルで考えた場合はその拡張性の高さは、機械式では真似できない芸当だ。

機械式のフィーリングとDi2の操作性が融合。なんていう妄想をしてしまう。

ワイヤとキャリパーが織り成す絶妙なブレーキフィール

7970系でシフト操作の省力化は大きく達成された。レバーが担うもうひとつの操作がブレーキであるが、9070系ではそこについても省力化が大きく進んだことは周知の事実だろう。7970系から9070系へ変えたときは、まあ確かに引きが軽いなー、と感じていたわけだが、その後に、あらためて7970系を操作してみるとその差がより実感できる。ブラケットポジションからでも指一本で操作し、十分な制動力を発揮することが可能だ。それゆえ、制動力のコントロールもしやすい。


これは、新しいブレーキケーブルによるところが大きいと思い、試しに7970系のブレーキキャリパーに9070系のワイヤを組み合わせてみた(シマノとしては不可能な組み合わせとなっているので、絶対真似しないように)。確かに、多少引きは軽くはなったのだが、9070系と同じ!ということにはならなかった。3ピポッドブレーキと組み合わせてはじめてその性能を最大限発揮できることがよくわかった。


また、ブレーキワイヤ内装フレームと外装フレームとで使い比べてみたが、内装フレームについては、9070系のワイヤをもってしても、前後ブレーキのタッチをまったく同じにすることは難しかった。もっと組みつけのコツを発見できれば、この状況を打破できるのかもしれない。
ロングライドの後半、ブレーキを握る力さえなくなってきたなんていう経験をした人もいることだろう。そんな苛酷な状況においては強い味方となってくれる。また、握力が少ない女性には非常におすすめだ。

 

操作性には直接関係ない部分だが、個人的に気になっているのは、ステムの下にセットされるジャンクションAだ。7970系ではブレーキのアウターワイヤにタイラップで固定するか、フライトデッキの台座に組み込まれていたが、9070系になって、ステムの下になった。

ここは、バイクを持って移動するときに握る部分なので、気になる。もちろん、ジャンクションごと握ったからといって、コードが抜けることはないが、まだ慣れない。

また、写真のステムは110mmだが、もっと短いステムの場合はスピードメーターなどをステムに取り付けている場合、別の場所に移設しなければならないだろう。

ソフトになった変速ショックは上りで大きな武器になる

フッ素コートされた新型チェーンは、非常になめらかな変速をもたらす。その変化は特に上りで体感することが出来ている。7970系の登場で、どんな状況からでもモーターの力による強力な変速性能を発揮していたが、そこになめらかさが加わった。9070系の登場した今では、7970系では変速するが、”無理やり感”があったことは否めない。それほど9070系フィールは向上したのだ。

疲れてきたときにはそのショックすらわずらわしいと感じるものなので、ありがたい。

さすがに、一気変速を使用したときは、ガコガコガコ!っと脚にショックが伝わってくるが、それでも変速してしまうところはさすがだ。コーナー入り口でブレーキングしながらシフト操作したいとき、シフトスイッチをスイッチを連打しなくていいのは便利。右レバーでフロントブレーキを操作している人にはなおさらだろう。