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オランダのテルプストラが初優勝! パリ~ルーベ2014

今年の北のクラシックでは、つねにレースを支配しながら勝ち星のなかったオメガファルマ・クイックステップが、やっと成功を収めた!

 

Photo: Graham Watson

テルプストラが初のビッグタイトル獲得!

クラシックの女王と呼ばれる北フランスのクラシックレース、パリ~ルーベで、オランダのニキ・テルプストラ(オメガファルマ・クイックステップ)が初優勝を果たした。

 

終盤にセレクトされた先頭の11人に、ベルギーのオメガファルマ・クイックステップの選手は3人いた。4度目の優勝を目指し、この日はアグレッシブな走りでレースを作ったトム・ボーネンと、ズデネク・シュティバル、そしてテルプストラ。

 

オメガファルマ・クイックステップが、今年のルーベでチームの要になるだろうと選んだ3人が、その期待に応えてレース終盤まできっちり生き残っていたのだ。

 

先頭グループにはディフェンディングチャンピオンで、先週ロンド・バン・ブラーンデレン(ツール・デ・フランドル)で優勝したスイスのファビアン・カンチェッラーラ(トレック)、スロバキアチャンピオンのペーテル・サガン(キャノンデール)、セプ・バンマルク(ベルキン)、ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ)、そしてブラッドリー・ウィギンス(スカイ)も入っていた。

 

残り6kmで先頭グループからテルプストラがアタックしたとき、他のチームの選手たちはためらった。追走してテルプストラを捕らえても、ベロドロームのゴールスプリントでボーネンが圧倒的に有利になってしまう。オメガファルマ・クイックステップには、シュティバルというジョーカーも残っていた。

 

独走でベロドロームに到着したとき、テルプストラは後続に20秒のタイム差を付けていた。「疲れたよ!」と、記者会見で開口一番に彼は言ったが、終始満足気な笑顔だった。「パンクは一度もしなかった。…そういえばこんなこと、パリ~ルーベでは初めてだったかも。落車もなかったし、今日はボクのラッキーデーだったね」

 

29歳のテルプストラは今季絶好調で、2月に開催されたツアー・オブ・カタール(アジアツアー2.HC)では、初日に逃げ勝ってリーダージャージを獲得し、それを6日間守って総合優勝していた。彼にとってルーベでの優勝は、12年の競技キャリアで初めて獲得したビッグタイトルだった。

 

王者の走りを見せたボーネン

第112回パリ~ルーベは、曇り空のコンピエーニュから199選手がスタートした。開催前の北フランスは好天が続いていたため、石畳では砂埃が立ち上がり、高速レースになるだろうと予想されていたが、そのとおりの1日になった。23km地点で例年通りの逃げが決まり、8人が最大で9分差を付けて逃げ続けた。

 

97.5km地点から石畳セクションが開始し、今年もパンクと落車が選手たちの明暗を分けた。ミラノ~サンレモで優勝したアレクサンダー・クリストフ(カチューシャ)は、2度のパンクと落車に見舞われてレースを途中棄権した。

 

この日、早い段階から積極的な走りを見せたのはボーネンだった。前半には機材故障で遅れる場面もあったが、彼は64kmの石畳セクションで集団からアタックし、ゲラント・トーマス(スカイ)らとともに逃げていた選手をとらえた。

 

その後、ノルウエーチャンピオンのトール・フースホフト(BMC)とブラム・タンキンク(ベルキン)が追いつき、先頭は6人になって後続に50秒差を付けて先行した。

 

ボーネンはライバルたちとの差をさらに広げようと試みたが、他の選手たちから望むような協力体制を得られなかった。残り22kmでボーネンたちの先頭グループにはサガンが合流。残り15kmではカンチェッラーラたちに捕まってしまった。

 

11人に絞りこまれた先頭グループから、残り6.2kmでテルプストラがアタック。この賭けが見事に当たり、タイム差はじわじわと広がっていった。そして大歓声に迎えられたベロドロームで、彼は2001年に優勝したセルバイス・クナーブン以来、13年ぶりでパリ~ルーベを制したオランダ人になった。

 

20秒遅れでゴールした後続グループはゴールスプリントを競い、デゲンコルプが競り勝って2位になった。3位に終わったディフェンディングチャンピオンのカンチェッラーラは、義務付けられていた記者会見を拒否し、1000スイスフラン(約12万円)の罰金を食らってしまった。

 

北のクラシックはパリ~ルーベで前半戦を終了し、ベルギーのオメガファルマ・クイックステップはやっと勝利を得られた。しかし、ベルギー人選手は今年も表彰台の真ん中に上れていない。

 

■優勝したテルプストラのコメント「前にいて、どれくらいのタイム差があるのかわからなかった。ボクはただ最後まで、全力で走り続けたんだ。人生で最高の1日ではなかったけれど、おそらく競技キャリアでは最高の1日だった」

 

第112回パリ~ルーベ結果

1 ニキ・テルプストラ(オメガファルマ・クイックステップ/オランダ)6時間09分01秒

2 ジョン・デゲンコルプ(ジャイアント・シマノ/ドイツ)+20秒

3 ファビアン・カンチェッラーラ(トレック/スイス)+20秒

4 セプ・バンマルク(ベルキン/ベルギー)+20秒

5 ズデネク・シュティバル(オメガファルマ・クイックステップ/チェコ)+20秒

6 ペーテル・サガン(キャノンデール/スロバキア)+20秒

7 ゲラント・トーマス(スカイ/英国)+20秒

8 セバスティアン・ラングベルト(ガーミン・シャープ/オランダ)+20秒

9 ブラッドリー・ウィギンス(スカイ/英国)+20秒

10 トム・ボーネン(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー)+20秒