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入門ロードバイク●PINARELLO ROKH
2012.05.25
ピナレロが本気で作ったグランドツアラー
特徴は、ピナレロならではの左右非対称設計をフレーム全体に取り入れていること。ドライブトレインがあるフレーム右側を強化し、左右の剛性バランスを整えるという独自の設計技術である。ミドルグレードながら7種類ものフレームサイズが展開されることも、他メーカーにはない強みだ。フレームのサイズ数を減らせばコストダウンできるが、体型にピタリと合ったフレームを選びにくくなる。ロクは150cm台の女性でも乗ることができるスモールサイズから大きなサイズまで細かく用意されるため、誰もが自分の体にジャストフィットしたフレームに乗ることができる。ビギナーだからといってないがしろにしない、というピナレロの哲学だろう。エントリーモデルに比べ少々値が張ると感じるかもしれないが、その内容を考えれば1台目にこれほどふさわしいモデルはない。
■写真下・左:ヘッドチューブの下側を1.5インチに拡大した上下異径ヘッドを採用。大きな負荷がかかる高速ダウンヒルでも不安のないヘッド剛性を確保している。複雑なヘッドチューブ形状はピナレロの特徴でもある。
■写真下・中:ピナレロの技術力を世に知らしめることになったオンダフォーク。ブレードを湾曲させることで、高い振動減衰性と正確なハンドリングを両立させた名作だ。その性能は「ピナレロ・ハンドリング」と称されている。
■写真下・右:ヘッドチューブやトップチューブ、ダウンチューブはフレームを強化するためのリブが設けられている。BBやシートポストにはスタンダードな規格が採用されており、汎用性が高い。ビギナーにも安心な作りといえる。
【安井行生のインプレッション】
このバイクには何度か試乗しているが、乗るたびに総合力の高さと巧みな味付けに感心させられる。適度な落ち着きがあり、爽快な軽快感もあり、いい具合に肩の力が抜けている。スポーティであってほしいところはしっかりとスポーティで、快適であってほしいところはちゃんと快適。コンセプトは快適性一辺倒のクルージングバイクを想像するが、一般的なユーザーのレベルでは十分すぎるほどの速さを持っている。しかしそれは別世界のものではなく、フレームの実力をキッチリと使いきれそうな「気持ちいい速さ」である。ダッシュやクライムにはしっかりと応えてくれるのに、ロードバイクの扱いに多少不慣れであってもライダーを振り回すような素振りは見せない。剛性感の煮詰め方が絶妙なのだ。シリアスレース以外のすべての用途に適する性格だ。デザインや塗装のクオリティはハイエンドに引けをとらないほどレベルが高く、見た目の品質のよさもクラス随一。
ピナレロ・ロク
完成車価格 29万8000円(シマノ・105仕様)、36万8000円(シマノ・アルテグラ仕様)
フレーム●カーボン(30HM 12K)
フォーク●オンダ Kカーボン(30HM 12K)
コンポーネント●シマノ・105
ホイール●シマノ・WH-R501
タイヤ●MOst・EWIVA A.F. 700×23C
サドル●MOst・Ocelot
ハンドルバー●MOst・Xylon アルミコンパクト
ステム●MOst・Tiger Ultra ALカーボン
シートポスト●Most・TAIL C-ALU
サイズ●45SL、48SL、51SL、54SL、55.5SL、57SL、59SL
試乗車実測重量●8.49kg(45SLサイズ、ペダルなし)
カラー●ホワイト・レッド561、BOBマット559
※アルテグラ仕様はモビスター556、SKY 557
ピナレロ・ブランドヒストリー
1953年に創業したイタリアの名門。パリ、プリンス、ドグマなど数々の名車を生み出し、揺るぎない地位を築いた。カーボンバック、インテグラルヘッド、オンダフォーク、アシンメトリーデザインという最先端の設計技術を発信し、つねにロード界をリードしている。華やかな雰囲気も魅力のひとつ。プロへの機材供給も欠かさない。