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入門ロードバイクcannondale CAAD8 6
2012.07.08
アルミのネガを消し長所を伸ばした秀逸な走行性能
シート&チェーンステーに「SAVE(セーブ)」形状を新採用。その左右中央部に設けられた4カ所の扁平形状は、荷重に対して効果的にしなり、マイクロサスペンションとしてアルミフレーム最高レベルの乗り心地を発揮する。そして、BB側で横方向に楕円加工を施したデルタシートチューブを搭載。キャード8はその扁平度合いを控え、BB部のねじれ剛性は入門者の脚力に配慮して抑えめに設計される。
ジオメトリーの基本はレーシング設計を踏襲するものの、購買層の使い勝手を考えヘッドチューブを15mmほど伸ばし、アップライトなポジションが確保されている。キャード8は快適性の向上だけでなく、アルミ素材の長所である機敏な走りを伸ばすためにダウンチューブとヘッドチューブの接合面をオーバーサイズ化。そこにキャノンデールが提唱するBB30構造を組み合わせることで、いっそう鋭い反応性も期待できる。
キャード8 6ティアグラは、クラスを上まわるすばらしい出来のフレームにシマノ・ティアグラのコンポをフル装備。足まわりもシマノ製というなら、ネガティブな部分を探すほうが難しい。価格も15万円を大きく下まわる。アルミバイク入門機でこのモデルに対抗できる存在を探すのは難しい。
■写真下・左:キャノンデールのかつてのアルミ技術の象徴であるアワーグラスシートステーをSAVEステーに変更。同社のコンフォートモデルのシナプスから誕生したこの構造は、アルミの既成概念を超える高い振動吸収性を発揮する。
■写真下・中:前作ではエンド側に付けられた泥よけ用のダボは、シートステーの内側へと移動した。この変更でエンド部がレースモデルのようにすっきりと美しくなった。街乗りやツーリングで重宝する泥よけをスマートに装備できる。
■写真下・右:トップチューブは横扁平を加えることで、直線でありながらアーチシェイプデザインと同様に、路面からの突き上げを和らげる。シートチューブの直径によりも広くつぶされ、シートステーがそこを支える形で溶接される。
【吉本 司のインプレッション】
入門機のアルミバイクは硬さが目立ちやすく、体力の消耗と過敏な操作性を生みやすい面もある。しかしキャード8は違う。まず抜群の安定性を備える。トレール値をキャード9よりも大きくして安定感を得ているのもそうだが、SAVEステーとカーボンフォークによって、前後の突き上げ感が少ないのもその大きな理由といえる。また、タイヤ、サドルとの好マッチングも乗り心地を高めるのにひと役買っている。こうして入門者の操作性に強い安心感を与えつつも、アルミ素材の魅力である乾いたペダリングフィールによって軽快な走りもしっかりと演出される。低速ではシャキッと軽く進み、トルクをかけても剛性が高すぎないので脚への負担が少ない。結果としてペダリングの持続性に優れ、効率のいい走りは、このクラスのアルミモデルでは傑出している。そして、カーボンに比べて高いアルミフレームの堅牢性は入門者に大きな利点であり、じつに費用対効果の高いパッケージといえる。
キャノンデール・ブランドヒストリー
1971年、アメリカ・コネチカット州で創業。バイクの製造開始時からオーバーサイズの溶接アルミにこだわり、MTBでの成功により世界的なブランドとなる。90年代後半から欧州ロードレースに挑み、数々のビッグレースを制して、今に続くアメリカンブランド躍進の礎を築いた。BB30の提唱をはじめ、独創的な製品作りに魅せられるファンも多い。
キャノンデール・キャード8 6
完成車価格●13万9000円(シマノ・ティアグラ仕様)
フレーム●アルミニウム
フォーク●カーボン
コンポーネント●シマノ・ティアグラ
ホイール●シマノ・WH-R501
タイヤ●シュワルベ・ルガノ 700×23C
サドル●キャノンデール・ステージエルゴW
ハンドルバー●キャノンデール・C4コンパクト
ステム●キャノンデール・C4
シートポスト●キャノンデール・C4
試乗車実測重量●9.07kg(56サイズ、ペダルなし)
サイズ●44、48、51、54、56
カラー●マグネシウムホワイト(グロス)、ジェットブラック(マット)
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