トピックス
入門ロードバイク●Panasonic ORC 05
2012.06.01
スチールの魅力を最大限に引き出したモデル
スチールは熱劣化の比較的少ない素材だが、それも程度の問題。いたずらに加熱を続ければ素材本来の性能を損なう。そこで、パナソニックは融点が650度Cという超低温銀ロウを使用。ロウ付け時の熱劣化を最小限に抑え、チューブ性能を余すことなく引き出す。
そしてORC05もうひとつのこだわりが、ユーザーの体格や好みに合わせたパーソナライズだ。フレームサイズは10mm刻み、トップチューブはフレームサイズに対して+5mm、+15mmを設定できる。さらにはハンドリング特性を3種類から選べるなど、その仕様はオーダーメイドさながらだ。また、カラーも全32色と数種類のデザインパターンが選べる。
もちろんパーツについてもハンドルやステムのサイズ、ギヤ比も選べる至れり尽くせりの仕様。とくに入門者は最初のサイズ選びが重要なだけに、店で相談しながら最適な1台を選びやすいだろう。ここまで完成されたバイクが20万円ほどで手に入るのは、もはやパナソニック以外では考えられない。しかも発注すれば2週間で手に入るのは、国産のマスプロダクトならではのメリットだ。まさにメイド・イン・ジャパンの良心がぎっしり詰まった1台だ。
■写真下・左:ラグは昔からのイタリアンラグとは一線を画す専用品。有限要素法によるコンピュータ解析により形状、肉厚を最適化した「3Dリッジラグ」は、高い精度と強さを持ち、ORC05の実力を引き出すのに大きく貢献する。
■写真下・中:チューブが肉薄なので、ボトル台座にも補強が施される。しかしアルミやカーボンなどのリベット式とは異なり、ロウ付けでていねいに固定。今やヨーロッパでさえ忘れ去られつつあるロードバイクの美がここに。
■写真下・右:ライディングフィールを決める重要なフロントまわり。美しいアールを描くフロントフォークと、スタンダード、ミドル、マスターからハンドリングを選べるフロントアライメントと相まって、ライダーに合わせた走りを生む。
【吉本 司の試乗インプレッション】
カーボンやアルミバイクと比べて重量は少々かさむものの、それをまったく感じさせない走りのよさがある。走り出した途端、ペダリングの軽さを感じ、とにかく脚がよく回るので、ムダな力を使わず滑らかにバイクが前へと出る。ダンシングや重めのギヤで踏むと、ペダリングの5時過ぎぐらいの位置でいいバネ感が生まれ、引き脚が自然に使え効率的な走りとなる。上りのダンシングもそのバネ感を生かして軽快そのもの。フレームの残留応力がきわめて少ないので、素材のバネ感を最大限ポジティブな方向で生かせるのだろう。近年乗ったスチールバイクのなかでも、この雑味のないバネ感はお世辞抜きでトップクラス。そして、フロントフォークの出来も秀逸。ベンド部分でしなやかに振動を吸収しながら、フォーク全体の剛性バランスも優れるので、下りも不安がない。ホイールを上級モデルにすればレースにも十分対応できる。まさによくできたスチールフレームのお手本ともいえる1台だ。
パナソニック・ブランドヒストリー
1990年~92年にオランダのパナソニックチームにバイクを供給し、ツールの区間優勝をはじめ数々のビッグタイトルを獲得。本場のレースシーンからフィールドバックされたノウハウに、日本製ならではの高精度の製品作りを融合する。現在はスチールとチタン製フレームを中心に展開し、マニアックなライダーにも人気が高い。
パナソニック・ORC 05
完成車価格:21万円(シマノ・105仕様)、19万5000円(シマノ・ティアグラ仕様)
※105仕様のみ、トリプルクランク仕様が+4000円、コンパクトプラス仕様が+8000円、ペダルなしでー8000円。
※ティアグラ仕様のみ、ペダルなしでー5000円
フレームセット価格:12万円
フレーム:クロモリ
フォーク:クロモリ
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:シマノ・WH-R501
タイヤ:パナレーサー・レース タイプL 700C×23C
サドル:ヴェロ・VL-1133
ハンドルバー:日東・ニート Mod.185
ステム:日東・ダイナミック(NTC-A)
シートポスト:パナソニック
試乗車実測重量:9.23g(550サイズ、ペダルなし)
サイズ:460 ~ 630 (10mm刻み)
カラー:全32色、5デザインより選択可能
******************************************