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入門ロードバイク●Panasonic ORC 05

スチールならではの繊細なフォルムが際立つORC 05には、マニアをうならせる作りが展開される。チューブはスチールの名作と称されるタンゲ・プレステージだが、パナソニックがこれまでのバイク作りの経験を反映させた別注品。ラグもまたロストワックス製による3D構造のオリジナルモデルだ。
text●吉本 司 phoro●山内潤也

スチールの魅力を最大限に引き出したモデル

スチールは熱劣化の比較的少ない素材だが、それも程度の問題。いたずらに加熱を続ければ素材本来の性能を損なう。そこで、パナソニックは融点が650度Cという超低温銀ロウを使用。ロウ付け時の熱劣化を最小限に抑え、チューブ性能を余すことなく引き出す。 そしてORC05もうひとつのこだわりが、ユーザーの体格や好みに合わせたパーソナライズだ。フレームサイズは10mm刻み、トップチューブはフレームサイズに対して+5mm、+15mmを設定できる。さらにはハンドリング特性を3種類から選べるなど、その仕様はオーダーメイドさながらだ。また、カラーも全32色と数種類のデザインパターンが選べる。 もちろんパーツについてもハンドルやステムのサイズ、ギヤ比も選べる至れり尽くせりの仕様。とくに入門者は最初のサイズ選びが重要なだけに、店で相談しながら最適な1台を選びやすいだろう。ここまで完成されたバイクが20万円ほどで手に入るのは、もはやパナソニック以外では考えられない。しかも発注すれば2週間で手に入るのは、国産のマスプロダクトならではのメリットだ。まさにメイド・イン・ジャパンの良心がぎっしり詰まった1台だ。
■写真下・左:ラグは昔からのイタリアンラグとは一線を画す専用品。有限要素法によるコンピュータ解析により形状、肉厚を最適化した「3Dリッジラグ」は、高い精度と強さを持ち、ORC05の実力を引き出すのに大きく貢献する。 ■写真下・中:チューブが肉薄なので、ボトル台座にも補強が施される。しかしアルミやカーボンなどのリベット式とは異なり、ロウ付けでていねいに固定。今やヨーロッパでさえ忘れ去られつつあるロードバイクの美がここに。 ■写真下・右:ライディングフィールを決める重要なフロントまわり。美しいアールを描くフロントフォークと、スタンダード、ミドル、マスターからハンドリングを選べるフロントアライメントと相まって、ライダーに合わせた走りを生む。
■シートピンと一体化されているシンプルな集合ステー。ブレーキブリッジを短くでき、バック剛性を高められるメリットもある。ORC 05はトップチューブとの交点をオフセットさせており、衝撃吸収性の向上も狙う。 ■いまでは珍しいロードエンド。しかし、幅広い調整幅を持つこのエンドは実戦的な機構である。クイックはロックナットが食い込むほどきっちり締め込まなければならないので、当たり面の保護のためにメッキ処理がされる。
【吉本 司の試乗インプレッション】 カーボンやアルミバイクと比べて重量は少々かさむものの、それをまったく感じさせない走りのよさがある。走り出した途端、ペダリングの軽さを感じ、とにかく脚がよく回るので、ムダな力を使わず滑らかにバイクが前へと出る。ダンシングや重めのギヤで踏むと、ペダリングの5時過ぎぐらいの位置でいいバネ感が生まれ、引き脚が自然に使え効率的な走りとなる。上りのダンシングもそのバネ感を生かして軽快そのもの。フレームの残留応力がきわめて少ないので、素材のバネ感を最大限ポジティブな方向で生かせるのだろう。近年乗ったスチールバイクのなかでも、この雑味のないバネ感はお世辞抜きでトップクラス。そして、フロントフォークの出来も秀逸。ベンド部分でしなやかに振動を吸収しながら、フォーク全体の剛性バランスも優れるので、下りも不安がない。ホイールを上級モデルにすればレースにも十分対応できる。まさによくできたスチールフレームのお手本ともいえる1台だ。

パナソニック・ブランドヒストリー

1990年~92年にオランダのパナソニックチームにバイクを供給し、ツールの区間優勝をはじめ数々のビッグタイトルを獲得。本場のレースシーンからフィールドバックされたノウハウに、日本製ならではの高精度の製品作りを融合する。現在はスチールとチタン製フレームを中心に展開し、マニアックなライダーにも人気が高い。

パナソニック・ORC 05

完成車価格:21万円(シマノ・105仕様)、19万5000円(シマノ・ティアグラ仕様) ※105仕様のみ、トリプルクランク仕様が+4000円、コンパクトプラス仕様が+8000円、ペダルなしでー8000円。 ※ティアグラ仕様のみ、ペダルなしでー5000円 フレームセット価格:12万円 フレーム:クロモリ フォーク:クロモリ コンポーネント:シマノ・105 ホイール:シマノ・WH-R501 タイヤ:パナレーサー・レース タイプL 700C×23C サドル:ヴェロ・VL-1133 ハンドルバー:日東・ニート Mod.185 ステム:日東・ダイナミック(NTC-A) シートポスト:パナソニック 試乗車実測重量:9.23g(550サイズ、ペダルなし) サイズ:460 ~ 630 (10mm刻み) カラー:全32色、5デザインより選択可能 ******************************************

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