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山岳区間に突入し、マリア・ローザ争いが激化! ジロ2012中盤戦ハイライト

第95回ジロ・デ・イタリアは北部アルプスに到達し、山岳区間がスタート。中盤戦はロドリゲスとヘシェダールがマリア・ローザを争う展開になった

アッシジの激坂ゴールでロドリゲスがマリア・ローザ奪取!

デンマークで開幕した第95回ジロ・デ・イタリアは、本土に渡ってから行われたチームタイムトライアルで優勝したガーミン・バラクーダのライダー・ヘシェダールが、総合成績で一歩リードして序盤戦を終えた。そのランキングが動いたのは、サン・フランチェスコ聖堂があるアッシジの丘でゴールした第10ステージだった。残り1kmの激坂で最初にアタックしたのは地元イタリアのパオロ・ティラロンゴ(アスタナ)で、トムイェルテ・スラフテル(ラボバンク)が反応して先頭に立ったが、残り250メートルでアタックしたスペインのホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が抜け出し、単独でゴールしてジロ区間初優勝を果たした。ロドリゲスのカチューシャチームは、チームタイムトライアルで優勝したガーミン・バラクーダにたった5秒遅れの区間2位だったため、彼はマリア・ローザのヘシェダールよりも9秒遅れでアッシジ区間をスタートしていた。アッシジの激坂でヘシェダールも善戦し、6秒遅れでゴールに飛び込んだが、区間優勝のボーナスタイムでロドリゲスが逆転。へシェダールに17秒差を付けて首位の座に立った。

アルプス山岳ステージでヘシェダールとロドリゲスが激突

スペインのロドリゲスがマリア・ローザを着て迎えた今年最初の山岳区間は、後半に標高1640メートルのジュー峠を越えたあと、標高2001メートルのチェルビニア峠にゴールする第14ステージ。この過酷なステージを60km地点から逃げ切って優勝したのは、コスタリカ出身のアンドレイ・アマドール(モビスター)だった。そしてこのステージで、マリア・ローザのロドリゲスに攻撃を仕掛けたのは、第10ステージで総合首位の座から降ろされたカナダのへシェダールだった。彼は残り3kmでアタックしたミケル・ニエベ(エウスカルテル・エウスカディ)を追ってメイン集団から飛び出し、ロドリゲスに26秒差をつけてゴール。総合で9秒差を付けてマリア・ローザを奪還した。しかし、ロドリゲスも黙ってはいなかった。翌日の山岳ステージでは、彼がピアン・デイ・レズィネッリ峠のゴールまで残り1kmでアタックし、へシェダールに39秒差を付けて区間2位でゴール。たった1日で、マリア・ローザを奪い返してしまった。 ジロは2週目を終えて、ロドリゲスが総合首位、ヘシェダールが30秒差で総合2位という展開になったが、もちろん終盤戦では他の優勝候補たちも黙ってはいないだろう。ここまでのレースで、集団を支配しているのはイバン・バッソのリクィガス・キャノンデールだ。イタリア最強軍団は、すでにジロのリーダーであるかのように山岳で先頭を引き、レースをコントロールしている。バッソとロドリゲスのタイム差は1分22秒、ロマン・クロイツィーゲル(アスタナ)は1分27秒差、そしてディフェンディングチャンピオンのミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・ISD)も1分36秒差。マリア・ローザ争いは、アルペ・ディ・パンペアーゴ峠にゴールする第19ステージと、ステルビオ峠にゴールする第20ステージまで目が離せない展開になるだろう。

マリア・ロッサのカベンディッシュ、もう一つの闘い

第13ステージで今大会3勝目を上げ、ジロ通算10勝目を記録した世界チャンピオンのマーク・カベンディッシュ(スカイ)は、ポイント賞のマリア・ロッサを着て山岳ステージに臨んでいる。彼が闘う相手は“時間”だ。今年のジロは、終盤には平坦ステージがたった1日しかないため、スプリンターの多くは第14ステージから始まった山岳ステージの前にレースを去ったが、カベンディッシュは「ボクはミラノまで行くのだと100%決意を固めてジロに来た」と、宣言し、毎ステージを制限時間内でゴールする闘いを続けているのだ。カベンディッシュの望みはミラノまでマリア・ロッサを着続けることだが、山岳ステージの区間順位にもポイントが配分されるジロでは、それは難しそうだ。今年の平坦ステージはゴール前の落車が多く、区間3勝しかできなかったカベンディッシュが獲得したポイントは第15ステージまでで110ポイント。2位には84ポイントでホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が控えていて、終盤につづく山岳区間で逆転されてしまう可能性は高いだろう。

新しい風が吹き続けるジロ2012

21歳のタイラー・フィニー(BMCレーシング)が初区間優勝し、最初のマリア・ローザにソデを通して開幕した今年のジロは、初区間優勝を量産する大会になっている。15ステージまでですでに半数以上の8ステージを新しい勝者が獲得している。マリア・ローザを獲得した5人も、全員が今年初めて着た選手ばかりだ。終盤戦は中級山岳ステージと過酷な山岳ステージがつづき、日曜日にはミラノで最後の個人タイムトライアルが行われる。ドゥオーモ広場でマリア・ローザを着て表彰台の中央に立つ選手も、ジロ初優勝の選手になるかもしれない。 ■第15ステージまでの総合成績(マリア・ローザ) 1 ホアキン・ロドリゲス(カチューシャ/スペイン)65時間11分07秒 2 ライダー・ヘシェダール(ガーミン・バラクーダ/カナダ)+30秒 3 イバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール/イタリア)+1分22秒 4 パオロ・ティラロンゴ(アスタナ/イタリア)+1分26秒 5 ロマン・クロイツィーゲル(アスタナ/チェコ)+1分27秒 6 ミケーレ・スカルポーニ(ランプレ・ISD/イタリア)+1分36秒 7 ベニャト・インチャウスティ(モビスター/スペイン)+1分42秒 8 セルジョルイス・エナオ(スカイ/コロンビア)+1分55秒 9 ダリオ・カタルド(オメガファルマ・クイックステップ/イタリア)+2分12秒 10 サンディ・カザー(FDJ・ビッグマット/フランス)+2分13秒