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初開催!シクロクロス東京2012

東京屈指の観光スポット、お台場で初開催されたシクロクロス東京 。この大会を待ちに待っていたファンも、たまたまお台場に来て立ち寄った観光客も、ビルと海に囲まれた大都会のオアシスで世界の走りを目撃した!

ケタ違いの走りで観衆を圧倒したベルギーの王者ビッグ・ベン!


近年日本でブームになっているシクロクロスが、ついに東京のお台場に上陸! これは自転車競技界には黒船来航並の出来事だ。家族やカップルに人気の観光スポット、お台場へと向かうゆりかもめに乗っていると、車窓から見えるお台場海浜公園の砂浜に大勢の観客が集まり、そしてなんと自転車で砂浜を疾走する選手の姿が見えてくるのだから、シクロクロスなんて聞いたこともない一般の人たちに、これ以上の宣伝はないだろう。現にシクロクロス東京には、普段田舎の牧場や河川敷で行われている大会とは比べものにならないほどの観客が集まり、海外のレースのような盛り上がりだった。 第1回大会の今年は、UCI(国際自転車競技連合)非公認レースではあったが、男子エリート部門にはヨーロッパと米国から5人のトップ選手が招待された。なかでもシクロクロス王国ベルギーから来日したベン・ベルデン(オプスエール・ストンパー)は、36歳のベテラン選手ではあるが、1月に世界選手権が行われた“砂地獄”で有名なコクセイドのコースで何度も優勝したことがある実力者で、スタート前からシクロクロスを知るファンの間では最有力優勝候補だった。その熱い期待に応えるべく、“ビッグ・ベン”はまさにケタ違いの走りを魅せたくれた。1周目は日本チャンピオンの竹之内悠(チームユーラシア・フォンドリエストバイクス)が先頭をリードして観客を喜ばせてくれたが、ベルデンはすぐに彼を抜き、2周目以降はトップを走り続け、他の海外招待選手すら寄せ付けずに単独でゴールした。トッププロでさえ手こずらされたお台場の砂浜を、“ビッグ・ベン”はものともせずに駆け抜け、そのスピードに観衆は、ただただ息を呑むばかりだった。

シクロクロス東京の初代王者ベルデンにインタビュー

今季ベルデンは、サイクルジャージのカスタムオーダーを手がけるチャンピオンシステム社のサポートを受けていて、シーズン前半は米国のシクロクロスに参戦。29戦を走り、C1クラスのボルダーカップを含めた5勝を上げる活躍を見せた。シクロクロス東京は、そのチャンピオンシステム社が中心となって誕生したイベントだったため、ベルデンの来日も実現したというわけだ。 「日本が初めてどころか、アジアに来るのも初めてだったんだ。いいチャンスだったよ。チャンピオンシステムは素晴らしいホテルも用意してくれたし、明日は東京観光にも連れて行ってくれるんだ」と、レース後にインタビューしたベルデンは上機嫌だった。彼はこのレースで25万円の賞金も手に入れている。レースについての感想を聞くと、ベルデンは開口一番に竹之内を話題にした。「日本チャンピオンが1周目でとても速くて、とにかく驚いたよ。彼は砂浜でもとてもよく走れていたね。コースは短くて砂のエリアが多くて、とてもいいロケーションだった。砂はコクセイドと変わらなかったよ。コクセイドのコースはアップダウンがあるから、それがお台場とのちがいかな」と、教えてくれたベルデン。彼にとってお台場の砂浜は、何の苦にもならなかったということだ。 今シーズン、シクロクロス東京は44レース目だったベルデン。「長いシーズンだよね」と笑いながら、帰国後もまだオランダのファルケンブルク(2/18)、ベルギーのオーストマル(2/19)、そしてハッセルト(2/22)のシクロクロスに参加するのだと言っていた。「ボクはもう36歳だから普通なら引退を考える年齢だ。でも、今年はとてもいいシーズンを過ごせたから、もう1年続けるよ。秋にまた米国へ行って、12月と1月はベルギーで走って、そしてまた来年も東京で走りたいね!」
 
世界クラスの走りを魅せてくれたエリート男子の表彰台。左から3位のクリスティアン・ホイレ(キャノンデール・p/bシクロクロスワールドドットコム)、優勝したベン・ベルデン(オプスエール・ストンパー)、2位のティム・ジョンソン(キャノンデール・p/bシクロクロスワールドドットコム)。来年はココに日本選手にも上がって欲しい!

お台場の浜辺にシクロクロスファンが集結!


「日本でこんな大勢の観客の前で走るのは初めてだったから、とにかく気持ちよかった!」という声が飛び交ったシクロクロス東京。日本でシクロクロスを走る選手たちにとっても、こういった大会が励みになり、さらに頂点を目指す原動力になるにちがいない。大勢の観客がアメリカンスタイルでカウベルを打ち鳴らし、応援する選手の名前を叫び、お台場の砂浜はまさに興奮の渦と化していた。初めてシクロクロスを観た人も多く、シケインで見ていた女性ファンは「自転車の障害物競争なのね」なんて話していたが、そんな運動会レベルのスポーツではないことは、1日通してトップカテゴリーのレースも見ていればわかってもらえただろう。とにかく自分の目で見て、感じてみなければ楽しさがわからないのがシクロクロス。お台場では世界の走りを間近で見て、ハートをグッと掴まれてしまったヒトも多いはず。ブームがさらに本格化しそうな予感?

キッズレースからエンデューロまで、1日楽しめるイベント


第1回シクロクロス東京は、トッププロが競う男子エリート部門だけでなく、ビギナー、スポーツ、エキスパートなどにカテゴリー分けされた部門もあり、それぞれの経験やスキルにあわせて参加もできるイベントだった。通常はお台場海浜公園内の緑地のオフロードと砂浜から構成された1.5kmの特設コースを使用するが、子供たちのためにショートカットコースが用意されてキッズレースも行われ、大人から子供まで参加が可能だった。そして、人気のエンデューロで締めくくられたシクロクロス東京は、都会のど真ん中にいながら、朝から日没までまるまる一日楽しめるゴキゲンなイベントだった。帰りの運転を心配せずにビールを飲めるのも、お台場ならではの趣向だろう。メーカーブースには特別協賛だったチャンピオンシステムを筆頭に、スペシャライズド、キャノンデール、東京サンエス(テスタッチ)などのテントが並び、普段はなかなか見られないシクロクロス用の自転車も展示されていた。観るもよし、参加するもよし。お台場の砂浜がシクロクロスの聖地になる日は近いかも?

問い合わせ先

大会リザルトはシクロクロス東京 公式サイトで!
http://www.cyclocrosstokyo.com/