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すべてOCLVカーボンに進化 TREK 2012

ハイエンドの優位性はそのままにミドルグレードの性能を底上げする、という基礎体力の強化ともいえる進化を遂げた2012年のトレックロード。今までTCTカーボンだった3、4、5シリーズがすべてOCLVカーボンに進化した。
text●安井行生 photo●小見哲彦

新OCLVファミリーの全貌

初期はOCLV110、OCLV120など1平方メートル当たりの重量で、2008年からはグレードによってOCLVレッド、OCLVブラックなどの名前で呼ばれていたが、2012シーズンからは5段階にランク分けされる。SSLに使用される最高の素材(HEX SLと呼ばれる軍事・航空用素材)がOCLV700、トップグレードである6シリーズの素材であるOCLV600、以下5シリーズにOCLV500、4シリーズにOCLV400、3シリーズにOCLV300という使い分けがなされる。OCLVの基準である「フレーム素材内の空隙率が1%以下」というクォリティを3シリーズから旗艦モデルのSSLまですべてのカーボンフレームが獲得したことになる。

マドン4 シリーズ

昨年のTCTカーボンから素材を変更し、OCLV400となった新型4シリーズ。上位モデルとは異なり、シートマストではなくノーマルポストを採用するが、フレーム形状は6シリーズの流れをくむものに一新された。上位機種と同等のBB90や下ワンが1.5インチとなるE2フォークなどを採用し、旧モデル比で剛性は20%向上、重量は150gの減少となっている。アルテグラベースの4.7、105で組まれる4.5のほか、女性用モデルとなる4.5WSDの3モデルをラインナップ。
■6シリーズと同じBB90を採用。ハンガー幅を90mmに広げたことにより、ダウンチューブの設計自由度が向上。形状面でも性能アップを図る。 ■センサーをチェーンステーに内蔵するデュオトラップセンサーも手に入れ、スマートな外見を獲得。ANT+ワイヤレスコンピューターに対応する。 ■素材をTCTからOCLV400にグレードアップした4.7。フレーム重量は約1100g。 【安井行生のインプレッション】 正直言って旧4シリーズはさほど印象に残るバイクではなかったが、新しい4.7はあまりに良くなっていて驚いた。一言で表現すると「脚当たりが滑らかなのに反応がいいフレーム」。従来はトップグレードでしか感じられなかった「トレックらしさ」が4シリーズにも色濃く宿っている。ゼロ加速は旧モデルに比べて格段に向上。中速域から高速へダンシングで加速させたときの反応スピードはトップレーシングバイク並といっても褒めすぎではない。高いトルクではさすがにソフトさが顔を出すが、高速での伸びも良好だ。ハンドリングは軽い(サイズ50に限っていえば、ビギナーには軽すぎるかも)。ヒルクライムもOKで、どんな走り方にも対応する。ホイールを軽量なものに交換すれば、一級のレーシングバイクになるのではないか。快適性もトップレベルで欠点なしの超俊足優等生。OCLVの名を抱くにふさわしい高性能バイクであった。
MADONE 4 シリーズ(完成車価格)29万9000円(4.7)22万9000円(4.5、4.5WSD) フレーム●400シリーズOCLVカーボン フォーク●ボントレガー・レースライトアルミ×カーボン コンポーネント●シマノ・アルテグラ ホイール●ボントレガー・レース タイヤ●ボントレガー・R1 サドル●ボントレガー・アフィニティ2 ハンドルバー●ボントレガー・レースブレードVR-C ステム●ボントレガー・レースライト シートポスト●ボントレガー・カーボン サイズ●50~62cm(2cm刻み) カラー●ホワイト×ブラック×レッド ※スペックは試乗した4.7のものとなります

マドン5 シリーズ

昨年、TCTカーボンとなりファンをガッカリさせた(性能はOCLV時代のレベルをなんとか維持していた)5シリーズだが、2012モデルからは再びOCLV500を使う。フレームの形状は大きく変化していないが、アルミだったフォークコラムがカーボンとなり、軽量化と振動吸収性が向上した。5シリーズ以下はアジアメイドとなるが、クォリティはOCLVの基準を満たしている。5シリーズからはフレーム販売が設定されるようになる。
■このBB90をはじめ、ネットモールディング製法やE2ヘッドチューブ、シートマストなど基本的な作りは6シリーズと同じ。 ■5シリーズ以上はケーブルをフレームに内蔵する。ワイヤ交換時のメンテナンス性はしっかり確保されている。 ■もちろんデュオトラップセンサーも装備。すっきりとしたルックスだけでなく、空気抵抗の低減にも寄与しているという。 【安井行生のインプレッション】 どこまでもマイルドな乗り味、軽いペダリング、軽快なハンドリング、スムーズで明確な新しさを感じさせる走行感。近年のマドンには一貫した「らしさ」があり、ストイックでレースユースオンリーなSSLと、完全ロングライド向けである3シリーズという一番上と下を除けば、全車非常ににた乗り味を持っている。基本的には4、5、6と数字が大きくなるにつれて鋭さと軽快さが増すという作り分けがなされている。しかし2012年モデルにおいては4シリーズの完成度があまりに高いため、おもなパーツを共有する4.7と5.2の差はさほど大きくないように思われた。少々印象が薄いものの、瞬間的な鋭さは5.2に軍配が上がるし、大トルクにも対応するためレースシーンでは5シリーズが有利だろう。昨年モデルのTCTもかなり良かったが、2012モデルの5シリーズの完成度もあきれるほど高い。
MADONE 5 シリーズ(完成車価格)52万円(5.9)38万円(5.2) フレームセット価格 24万円(5.9) フレーム●500シリーズOCLVカーボン フォーク●ボントレガー・レースXライトアルミ×カーボン コンポーネント●シマノ・アルテグラ ホイール●ボントレガー・レース タイヤ●ボントレガー・R3 サドル●ボントレガー・アフィニティ3 ハンドルバー●ボントレガー・レースブレードVR-C ステム●ボントレガー・レースXライト シートポスト●ボントレガー・ライドチューンドカーボンシートマスト サイズ●50~64cm(2cm刻み) カラー●グロスカーボン×マットカーボン ※スペックは試乗した5.2のものとなります

問い合わせ先

トレック・ジャパン
http://www.trekbikes.co.jp