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cannondale SUPER SIX EVO TEAM
2012.03.23
軽さと剛性バランスのベストアンサー
素材はウルトラハイモジュラスカーボンと耐衝撃性に優れた樹脂を採用。アルミフレームの名作として知られるキャノンデールのキャード9を上回る強度を持つというから驚きだ。各チューブを見れば、オーソドックスな丸断面を過剰なオーバーサイズ化することなく用いている。重量こそ飛び抜けているが、全体を見渡すと細かなリファインの積み重ねであることがわかる。
フロントフォークが近ごろでは珍しいベンドタイプであることや、トップチューブが限りなくホリゾンタルに近いことも軽さと快適性のキーポイントとなっている。テーパードヘッドチューブは、下側のヘッドベアリングをダウンサイジングした1・1/4インチとすることで剛性を保ちながら軽量化。これは前面投影面積の縮小にもつながり、ダウンチューブの直径を20%、フォークブレードの幅を15%削減し、さらにケーブルの内装化とともに空力性能の向上にも貢献する。また、キャノンデールが提唱し続けるBB30も採用。大径BBがもたらす高い伝達効率は健在だ。
今回試乗したモデルは、リクイガス・キャノンデールチームに供給されるバイクとほぼ同じに再現し、スペック面でも盤石といえる。バイク性能を重量だけで推し量ることはできない。しかし695gというフレーム重量は特筆に値する。ロードバイクの命題である軽さと剛性に対する現時点での最高レベルの回答といえるだろう。
■写真下・左:スピードセーブ・マイクロサスペンションテクノロジーに加えて、キャード10で採用されたオフセット・ドロップアウトエンドにより、高い路面追従性を実現したフロントフォーク。
■写真下・中:装着されるスラム・レッドのコンポは、リクイガス・キャノンデールチームにも供給されるグリーンカラーの別注品。FSAのパーツ類も同色にコーディネートされ完全なプロ仕様に仕立てられる。
■写真下・右:BB30の提唱者であるキャノンデール。ハンガー部はもちろんこの規格。独自のアルミ製クランクホログラムSLを装備して、駆動システム全体で軽量化と高剛性を両立している。
【吉本 司のインプレッション】
前作のハイモッドシリーズから安定感についての定評はあるが、さらに軽量化されたこのエヴォもまた、そのフレーム重量を感じさせないレベルだ。ホイールにコスミックカーボンSLRを装備することも影響するが、それを差し引いても軽量車に見られるような腰高感はなく安定性に不足は感じない。フレーム剛性も重量比剛性の高さを感じることができる。絶対値で言えば「超」がつくほどではないが、よほどの脚力の持ち主でなければ不足を感じることはないだろう。
ハイモッドに比べるとわずかながら肉薄・硬質なチューブのパリッと感はあるが、その割にはパワーをかけてもハンガー部の粘り感もある。トルクをかけ続けるような場面もペダリングはしやすく高速巡航性に不足はない。また、速度の上げ下げにも対応しやすい。フォークブレードをはじめ、スピードセーブ・マイクロサスペンションテクノロジーの効果によってか、乗り心地も良好なレベル。ただ大きなギャップでは車重の軽さゆえにバタつき感が出る傾向もあるが、それも慣れの範囲だろう。基本的にハンドリングも素直で扱いやすい。
軽量モデルながらトータルパフォーマンスに優れ、ロードレースからヒルクライムまで高いレベルで走れる性能を持っている。カラーコーディネートされたコンポ、オリジナルのホログラムクランクを装備するなど、性能、ルックスともに完成車としてのパッケージは非常によくできている。コンポの好みはあるかもしれないが、完成車として購入してみたい1台だ。
スラム・レッド完成車価格 99万9000円
フレーム価格 39万9000円
フレーム●カーボン
フォーク●カーボン
コンポーネント●スラム・レッド
ホイール●マヴィック・コスミックカーボンSLR
タイヤ●マヴィック・グリップリンク&パワーリンク 700×23C
サドル●フィジーク・アンタレスブレイデッド
ハンドルバー●FSA・Kフォーカスカーボンナノ
ステム●FSA・Kフォーカスカーボン
サイズ●48、50、52、54、56、58
試乗車実測重量●6.5kg(サイズ:56、ペダルなし)
カラー●リクイガスチームレプリカ
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