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ハイパフォーマンス!CARRERA NITRO SL
2012.01.20
加速性、快適性、重量までもが高レベル
価格的にはエントリークラスのカーボンフレームと同等だが、上下異径ヘッドなど最新のすべてのメソッドを装備して、その加速性や快適性、重量までもが高レベルに達している。フレームはソリッドカーボン技術を駆使し、局部にストレスが集中することのない構造にし、高圧オートクレーブ製法でそれぞれ性格や特性の異なるカーボン繊維を組み合わせて、より振動吸収性を高めたバックステーを採用した、軽量でありながらも剛性の高いフレームとなっている。
オートクレーブとは、F1マシンのカーボンシャシーにも用いられるが、内部を高圧力にすることが可能な耐圧性の装置や容器を用いて行なう処理のこと。カーボン製品をオートクレーブ内で高温・高圧で仕上げるということは、エポキシ樹脂がまんべんなく含浸したプリプレグから、不要なエポキシ樹脂を極限まで絞り出すことができる。その結果できるオートクレーブ製法で成型されたカーボンフレームは、高い強度を得られる。
ワイヤは内蔵となり、ヘッドセットは上ワン1-1/8、下ワン1-1/2サイズ。フロントディレーラー台座は直付け、比較的低価格帯なので、さまざまなポジションに対応しなければならないことが予想されるため、インテグレーテッドシートポストは不採用としている。ポジションの微妙な調整をこまめにする人にとっても、これは都合がいい。ミドルグレードのフルカーボンモデルにおいて、突出したコストパフォーマンスを誇っているといえる。
■写真下・左:ストレートのカーボンフォークは、低価格帯を感じさせないしっかりとした剛性感を持ち、コントロール性、ブレーキング性能など、ハイレベルにまとめている。とくにスピード変化には抜群の追従性が光る。
■写真下・中:上下異径のテーパードヘッドチューブは、ボリュームあるフォーククラウンとヘッド下ワンがきれいにつながり、剛性をしっかり出している。表面の仕上げも低価格帯を感じさせない高級感がある、
■写真下・右:モノステーではなく、ブリッジを持った2本ステーがトップチューブとシートチューブの交点につながる。路面からのショックはかなりうまく逃がしているようで、ショックは伝わりにくい。
【小林徹夫のインプレッション】
カーボンバイクの場合、各ブランドの個性もあるが、それよりもブランド内での価格差によって同じブランドでも個性の違いが出てくることが多い。カレラの場合も、上級モデルではかなりしっかりとした剛性感と軽さを両立させていたり、しなやかさを強調しているモデルなど、それぞれに個性的なモデルをラインナップしている。
このカレラ・ニトロSLの場合は、最初に手にするロードバイク入門用といった価格設定のバイクだが、昨年比で約半額という驚きのプライスパフォーマンスで再デビューしたヴェレーノ同様に、価格以上の性能を持っている。それもかなりハイパフォーマンスであるといっていい。比較的低価格帯にありがちなファンライド向けというよりも、むしろリアルレーシングにこそ使ってほしいレベルのバイクだ。
切れの良さからくるシビアなコントロール性といったものはない。初心者でも気軽に扱える安定性を持たせながら、ライダーの意思に機敏に反応する走行性の良さがある。とくに巡航スピードから一気にトップレンジまでスピードを上げる場合や上り勾配でのアタックなど、スピード変化に対する反応の良さはリアルレーシングとしてまったく問題ないどころか、むしろ積極的にオススメしたいくらいの高性能だ。
こうしたレーシングバイクに極度の振動吸収性を求める人は少ないと思われるが、その点でも高いレベルで満足させてくれる。荒れた路面、ギャップでもガツンとくるようなショックは感じることなく、振動のピークをなだらかにしてくれる感じだ。
フレーム価格13万6500円
フレーム●カーボン(T700SC、HM・M30J、HS60T)
フォーク●カーボン(T-700SCSHM)UD
コンポーネント●シマノ・アルテグラ
ホイール●カンパニョーロ・ボーラウルトラツー
タイヤ●ハッチンソン・カーボンコンブ
サドル●サンマルコ・アスピデレーシングアローヘッド
ハンドルバー●FSA・チームイシュー
ステム●FSA・チームイシュー
シートポスト●FSA・チームイシュー
サイズ●XS、S、M、L、XL
試乗車実測重量●7.13kg(サイズ:M、ペダルなし)
カラー●R170(写真上)、R171
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