ボーネン圧勝！ ツール・デ・フランドル2012

第96回ツール・デ・フランドル（ＵＣＩワールドツアー）が４月１日にベルギーで行われ、地元のトム・ボーネン（オメガファルマ・クイックステップ）が、フィリッポ・ポッザート（ファルネーゼビーニ・セッレイタリア）、アレッサンドロ・バッラン（ＢＭＣレーシング）をゴールスプリントで下して３度目の優勝を果たした。彼は３月23日のＥ３プレイス、25日のヘント～ウェヴェルヘムでも優勝していて、10日間でワールドツアーを３連覇し、ランキングでもトップに立っている。 今年のフランドルは心配されていた天気も回復し、快晴のブルージュを１９９選手がスタート。12km地点で15人の選手が逃げ出して先行する展開になった。今大会は今年からコースが一新し、ゴールがオウデナールドになったため、後半はオウド・クワルモントとパーテルベルフを３度通過するレイアウトになった。ゴールまで74km、最初のパーテルベルフを通過したとき、今大会で２度優勝しているステイン・デボルデル（バカンソレイユ・ＤＣＭ）が落車に巻き込まれてしまった。大した怪我はなかったが、彼のフランドルはここで終わってしまった。そして残り61kmの補給所で最悪の事態が発生した。優勝候補の一角だったファビアン・カンチェッラーラ（レディオシャック・ニッサン）が落車。鎖骨骨折で病院へ搬送され、２度目のフランドル制覇の夢はついえてしまった。今年のフランドルは落車が多く、残り41kmではオウド・クワルモントへと向かう大通りで、歩道を通過しようとしたセバスティアン・ラングベルト（グリーンエッジ）が観客と接触して転倒。彼も鎖骨骨折でレースを棄権している。 15人の先頭集団は全員が２度目のオウド・クワルモント通過前に吸収され、いよいよトップ選手たちの闘いが本格化した。残り35km、２度目のパーテルベルフの上り口で、ヨハン・バンスンメレン（ガーミン・バラクーダ）が落車し、これに巻き込まれなかった11人のトップ選手が一時先頭集団になったが、残り21kmでふたたび集団に吸収された。そして残り18km、オウド・クワルモントの最後の通過でバッランがアタック。集団はピーテル・サガン（リクィガス・キャノンデール）を先頭にしばらくは様子見をしていたが、ポッザートが追撃に出ると、ボーネンもそれに付き従い、すぐにバッランに追いついて３人の先頭グループになった。後方ではルーカ・パオリーニ（カチューシャ）が集団を引いて追撃したが、結局最後までに先頭の３人に追いつくことはできなかった。 ボーネンとポッザートが相手では、ゴールスプリントになっては部が悪いバッランは、残り4kmから何度もアタックをかけ続けたが成功しなかった。トラック競技のスプリントのような牽制が続いたが、残り100メートルでスパートしたボーネンが、最後はポッザートとの一騎打ちのスプリントを競って勝利をもぎ取った。その瞬間、オウデナールドのゴールは母国の英雄の勝利を祝した、歓喜の大歓声が響きわたっていた。しかし、ツアー・オブ・カタールの落車で鎖骨を骨折したポッザートが、52日後にフランドルでゴール勝負を演じたのは脱帽だった。 フランドルの96回の歴史で、これまでに３勝しているのはアヒエル・ブイス（ベルギー／1940、1941、1943）、フィオレンゾ・マーニ(イタリア／1949、1950、1951）、エリック・レーマン(ベルギー／1970、1972、1973）、ヨハン・ミュセーウ(ベルギー／1993、1995、1998）の４人。ボーネンは今年、この偉大な選手たちの仲間入りを果たしたわけだが、彼はまだ31歳。来年は前人未到のフランドル４勝目を目指すことになるだろう。

今は幸せだよ。でも（ゴール後は）とても忙しかった。多分シャワーを浴びたら少し気持ちにゆとりができて、それを実感できるだろうね。こういうレースはいつでも難しい。とくに向かい風の時は。いいスプリントができたよ。ポッザートは強かったと思う。おそらくオウド・クワルモントでは、彼はボクよりも強かった。けれどスプリントでは、彼には同じチャンスがなかった。上りで前に出て、みんなを振り落とすことはボクにはそんなに重要ではない。おそらくそれでは勝てない。チャンスを待たなければならず、スプリントになるのを当てにしなければならないんだ。レースの前にみんなが新しいコースがいかによりキツいかを論じていたけど、ボクはそんなに難しくはないと言っていた。まったく別物だ。（新しいコースは）終盤にもっと上りがある。これは別のレースで、新しいコースになって最初の回に勝ててうれしいよ。

１　トム・ボーネン（オメガファルマ・クイックステップ／ベルギー）6時間04分20秒 ２　フィリッポ・ポッザート（ファルネーゼビーニ・セッレイタリア／イタリア） ３　アレッサンドロ・バッラン（ＢＭＣレーシング／イタリア）+1秒 ４　グレッグ・バンアーベルマート（ＢＭＣレーシング／ベルギー）+38秒 ５　ピーテル・サガン（リクィガス・キャノンデール／スロバキア）+38秒 ６　ニキ・テルプストラ（オメガファルマ・クイックステップ／オランダ）+38秒 ７　ルーカ・パオリーニ（カチューシャ／イタリア）+38秒 ８　トーマ・ボークレール（ヨーロッパカー／フランス）+38秒 ９　マッティ・ブレシェル（ラボバンク／デンマーク）+38秒 10　シルバン・シャバネル（オメガファルマ・クイックステップ／フランス）+38秒