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オーラを放つ個性派 Cipollini RB1000

ケタ違いのスプリント力とファッショナブルな出で立ちから「スーパーマリオ」の愛称で親しまれたマリオ・チポッリーニ。その彼がプロデュースするバイクが待望の日本上陸を果たした。試乗してみると、アクの強い見た目とは裏腹に扱いやすいバイクという結論。
text●吉本 司 photo●岡 拓

その存在が所有者をワクワクさせる

フラッグシップとなる「RB1000」は、2011年に宮澤崇史が所属したファルネーゼヴィーニで使用されたモデルでもある。ひと目でそれとわかるエアロダイナミクスを強調したフレームは、高弾性レベルのT1000とM46Jなど3種類のカーボン素材を適材適所に使い、モノコック構造で成型される。 その構造には余分なレジンの除去率を高め、さらにプリプレグ同士の密着度を増して軽量化しながら強度と剛性を維持しやすいオートクレーブ方式を採用する。BB30のハンガーシェル、テーパードヘッドチューブといった構造を備えたフレームは筋肉質な外観を形成するが、それでも重量はMサイズで970g(塗装なし)に仕上げられ、ボリューム感のわりにはかなり軽量な印象だ。ワイヤ類はフル内蔵されるが、シフト用は機械式と電動式の兼用。ブレーキワイヤのシート側の内蔵位置はトップチューブの真上に位置して脚の当たりを防ぐ。また、カーボン製のリヤエンドに装備されるディレーラーハンガーは、落車に備えて肉厚な設計を施すなど実戦を追求した仕様だ。 さらに特徴的なのがジオメトリーだ。昨今はレースモデルでもヘッドチューブが長い傾向にあるが、RB1000は近似値のサイズとなるレースモデルと比べて短めだ。このあたりの設計はハンドル位置を下げたいプロ選手に応じたものであり、最速スプリンターであったチポッリーニが手がけたバイクらしい。ブランドが持つバックボーン、その特徴的なスタイリングなど価格は張るもののRB1000は所有者をワクワクさせる1台だ。
■写真下・左:下ワンを1.5径に設計したテーパードヘッドチューブ。空力をイメージさせる突起がアクセント。フォークを含めたヘッドまわりの一体感のあるデザインも美しい。 ■写真下・中:インテグレーテッドシートポストのヘッド部分もカーボンで成型される。丸みを帯びたスマートなデザインに加え、シートチューブとの一体感もあり、美しいフォルムを作り出す。 ■写真下・右:エアロフィンを装備したシートステー。細かなギミックがその気にさせる。シートチューブに対して、目いっぱいの幅で接合され、圧倒的なシートまわりのボリュームによりバック剛性を高める。
■フロントディレーラーの直付け台座はアルミ製の交換式。トラブルに対応しやすい実戦仕様だ。フレームへの取り付け部を丸形にするなど、細部にもデザインのこだわりが見られる。 ■ハンガーシェルはBB30。その横幅目いっぱいに設計された豪快な太さの角形ダウンチューブを接合し、プロ選手の強烈なペダリングも受け止めるハンガー剛性を追求。 ■チェーンステーとシートステーの一体感を高めたフルカーボンのリヤエンド。エンド部の剛性を高めることによって、リヤセクションのねじれを抑え、加速性能の向上に貢献する。
<吉本 司のインプレッション> 派手なフレームワークだが、なぜか嫌味がなく、むしろオーラを感じる。チポッリーニを好きなせいか、RB1000を見ると心が高揚する。筋肉質な外観は現役時代に圧倒的な存在感を放っていたチポッリーニを思わせ、見た目は猛烈なフレーム剛性を思わせるが、その予想はいい意味で裏切られた。 圧倒的なボリュームのパワーラインを持つので、基本となるフレーム剛性は高い。しかし、チューブ肉厚がさほど厚くないためか脚が上がるようなペダリングフィールはない。硬すぎないので無理に踏まなくても進み、回転で速度の変化に対応できる柔軟さも持つので、剛性感としなやかさのバランスはフレームのボリューム感からすると上手にまとめられている。 平坦路でギヤをかけて速さを求めても、スムーズに速度が上がっていく印象。上りでもペダリングの軽さを体感できる。その形状から平地でガンガン走るイメージだが、ロードレースであれば平地も上りも高レベルでこなせる。乗り心地もレースバイクとして優れている。剛性バランス、乗り心地ともフレームのアッパーラインで上手に調整されるので、長距離レースでも快適だろう。 動的性能からすると脚力レベルによってはレース以外も対応できそうだが、ヘッドチューブが短いのでアップライトなポジションを求めるとコラムスペーサーの量が増えてヘッド剛性が落ちるので、その寸法を考えるとやはりロードレースをある程度走り込んだ上級者向けの機材だろう。フォルムは個性的だが、きわめて自然に乗れる高性能が反映されるので、ポジションさえマッチすれば見た目で買っても楽しめる。

チポッリーニ・RB1000

フレームセット価格59万9000円 フレーム●カーボン(T1000、M46Jほか) フォーク●カーボン(T-1000) コンポーネント●シマノ・デュラエースDi 2 ホイール●シマノ・デュラエース WH-7900-C50-CL タイヤ●ミシュラン・プロ4 サービスクルス 700×23C サドル●プロ・ターニックス カーボン ハンドルバー●プロ・バイブ7S アナトミック ステム●プロ・バイブ7S アナトミック シートポスト●専用品 サイズ●XXS、XS、S、M、L、XL、XXL 試乗車実測重量●7.51kg(サイズ:S、ペダルなし) カラー●シルバーカーボン、ネイキッドシルバー(シャイニー)、ホワイト×ブルー、ホワイト×レッド、チームエディション、ワールドチャンピオン、イタリアンチャンピオン ********************************************

問い合わせ先

ワイ・インターナショナル
http://www.cipollini.jp