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ゲランズが初優勝! 100回記念リエージュ~バストーニュ~リエージュ

100回記念大会は最後のスプリント勝負にまでもつれ込み、オーストラリアのゲランズが圧勝した
 
 
Photo: Graham Watson

初のオーストラリア人勝者誕生!

現存する自転車レースのなかでもっとも古い歴史を持つリエージュ~バストーニュ~リエージュの、100回の節目となった記念大会を制したのはサイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ)だった。彼はリエージュの122年の歴史に、初めて勝者として名前を刻んだオーストラリア人になった。
 
ゴールまで1.5kmつづいた最後の坂で、勝負は振り出しに戻った。コース上に10ヶ所あった丘越えの、最後の丘だったサンニコラから逃げていたジャンパオロ・カルーゾ(カチューシャ)とドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル)を、追走集団から抜け出したダニエル・マーティン(ガーミン・シャープ)がゴール手前200メートルのカーブの手前でとらえた。
 
ところがカルーゾの後方に付けたマーティンは、最後のカーブで転倒し、2連覇の夢はあっけなく消えてしまった。残り200メートルのスプリント勝負はゲランズが抜け出し、カルーゾを抜き去って先頭でフィニッシュラインを通過した。
 
「リエージュ~バストーニュ~リエージュで勝ったなんて、信じられない! 夢がかなったよ」と、ゲランズは喜びを語った。彼は2012年にミラノ~サンレモで優勝していて、この日、“モニュメント”と呼ばれる5大クラシックで2つ目のタイトルを獲得したのだ。

ベルギー国王が100回記念のスターター

100回目の記念大会となった今年のリエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)は、例年とはちがって朝から物々しい雰囲気だった。なんと、この日はベルギーのフィリップ国王が来場し、スターターを務めたのだ。
 
国王がスタートの旗を振り下ろし、197選手がスタート。参加が予定されていた英国のクリストファー・フルーム(スカイ)は、前日のチームプレゼンテーションに姿を現さなかったが、結局胸部の感染症を理由にスタートしなかった。
 
今年のパリ~ニース(UCIワールドツアー)で総合優勝したコロンビアのカルロス・ベタンクール(AG2R・ラモンディアル)は、扁桃炎で急遽参加できなくなってしまった。
 
13km地点から6人がアタック。メンバーは地元ベルギーのピーテル・ヤコブス(トップスポルトブラーンデレン)、マッテーオ・ボーノ(ランプレ・メリダ)、ヤコ・ベンター(MTN・クベカ)、マルコ・ミナール(ワンティ・グループゴベール)、ピルミン・ラング(IAM)、ミヒェル・コッホ(キャノンデール)だった。6人は最大で16分近い差を付けて逃げ続けた。
 
折り返し地点のバストーニュを通過し、123km地点に設定された2つ目の丘のサン・ロックでは6人のタイム差はまだ13分以上あったが、残り100kmを切って本格的な丘越えが始まると、その差は縮まっていった。
 
残り84kmのオート・ルベーの丘では、加速した集団からホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が脱落してしまった。その後、彼はレースを途中リタイアした。ロドリゲスはアムステル・ゴールド・レースの落車で負ったケガのせいで、結局今年の春のクラシックではまったく活躍できなかった。
 
残り76kmでは、アルカンシエルのルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)が落車。幸い骨折はなかったが、彼もレースを棄権した。この落車に巻き込まれたミハウ・ゴワシュ(オメガファルマ・クイックステップ)は、左手の舟状骨を圧迫骨折してしまった。
 
ゴールまで44.5kmに通過する有名なラ・ルドゥトの丘は、優勝候補の1人だったフィリップ・ジルベール(BMC)の家族がふもとに住み、2kmつづく上り坂は熱心なファンが書いた“PHiL”の文字で埋め尽くされている。ここで先頭のボーノとベンターは、集団にまだ1分36秒差を付けていた。
 
集団からはラ・ルドゥトでワレン・バルギル(ジャイアント・シマノ)が抜け出し、ヤン・バークランツ(オメガファルマ・クイックステップ)とフリアン・アレドンド(トレック)が合流したが、先頭に追い付くことはできずに吸収された。
 
最後まで逃げ続けていたボーノは、残り21kmのラ・ロッシュ・オー・フォコンで集団に捕まった。この丘でアレドンドとポッゾビーボがアタックして先行したが、優勝候補たちはこの逃げを許さず、残り11kmで2人をとらえた。
 
最後のサン・ニコラでは、シュテファン・デニフル(IAM)が飛び出したが、すぐにカルーゾとポッゾビーボが追い抜いて先頭に立った。2人のイタリア人は後続に10秒差を付けて最後の坂を上り始めたが、最後の200メートルまではまっすぐ続く上り坂で、優勝候補たちは見る見るうちにその差を縮めていった。
 
残り1kmのフラムルージュを過ぎてから、集団からマーティンがアタックして先頭の2人に追いついた。ライバルたちを上手く出しぬいたマーティンの2連覇を誰もが確信した瞬間に、彼は最後のカーブで転倒。
 
その混乱に慌てることなく、フィニッシュラインを目指してスパートしたゲランズには、水曜日にフレッシュ・ワロンヌを制したスペインのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)も追いつくことはできなかった。
 
■優勝したゲランズのコメント「ゴールまでずっと、本当にものすごく過酷なレースだった。チームには本当に感謝しなければならない。実際、残り30kmで脚の調子が良いとは感じてなかったが、チームのみんなは頑張ってくれた。フィニッシュラインまでボクは全力を尽くした。いい位置取りができて、マーティンの落車もうまく避けることができた。バルベルデやジルベールのような選手をスプリントで打ち負かせる自信はあったが、250kmも走った後だと、何が起きるかわからないものさ」
 

第100回リエージュ~バストーニュ~リエージュ結果

1 サイモン・ゲランズ(オリカ・グリーンエッジ/オーストラリア)6時間37分43秒
2 アレハンドロ・バルベルデ(モビスター/スペイン)
3 ミハウ・クウィアトコウスキー(オメガファルマ・クイックステップ/ポーランド)
4 ジャンパオロ・カルーゾ(カチューシャ/イタリア)
5 ドメニコ・ポッゾビーボ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+3秒
6 トムイェルテ・スラフテル(ガーミン・シャープ/オランダ)+3秒
7 ロマン・クロイツィーゲル(ティンコフ・サクソ/チェコ)+3秒
8 フィリップ・ジルベール(BMC/ベルギー)+3秒
9 ダニエル・モレノ(カチューシャ/スペイン)+5秒
10 ロマン・バルデ(AG2R・ラモンディアル/フランス)+6秒