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空気抵抗12%軽減! ピナレロ・ドグマ2
2011.08.26
唯一無二の存在、ドグマが早くも進化を遂げた
基本的なシルエットやジオメトリー、製造方法、フレーム素材などは前作を引き継いでいるが、細部が大きく変化したドグマ2。フォーククラウン部はダウンチューブへと滑らかにつながるフィンが付けられ、空気抵抗を低減。ドグマの特徴であったリブの高さも抑えられ、シフトワイヤ内蔵化とともに空力性能向上にひと役かっている。これらの地道な努力により、空気抵抗が前作比で12%軽減(ヘッド&フォーク部で10%減、ワイヤ内蔵で2%減)されているという。各社が次々とエアロロードを発表するなか、ピナレロはドグマに手を加え、数少ない弱点であった空力性能を改善したのである。
またフレーム全体の剛性バランスを煮詰めた結果、ダウンチューブまで左右非対称になるなど左右の剛性バランスがより理想に近いものになった。さらにフォーク強度が19%、BB周辺の横剛性が14%アップするなど、基本性能も強化されている。
aero Technology
最もわかりやすい変化は、フロントフォークのクラウン部分をフィン形状にすることでダウンチューブとの隙間を埋めたこと。ここで起こりやすい乱流を整えるのが目的だ。この形状変化は流体力学シミュレーションを用いて数値的に解析した結果だが、制動時の剛性アップにもつながっているという。
また、ヘッドチューブサイドにあったリブの張り出しも少なくなっており、ヘッドチューブ下ワンのベアリングを1.5インチに大径化したことで前面投影面積は6%増加しているが、トータルの空気抵抗は10%減少している。ピナレロはこの改良によって「時速47kmで40km走行した場合、7秒タイムをセーブできる」と説明している。
4. クラウン部のボリュームがアップしたことで耐制動性が14%も向上したという新型フォークは「オンダ2」という名称に。ブレード部のリブも若干ではあるが低くなっており、ここでもエアロ効果を向上させている。(写真下・左)
5. ヘッド下ワンは1-1/4インチからさらに大径化され、1-1/2インチへ。ヘッドチューブ脇のリブは空気抵抗削減のため控えめになった。(写真下・右)
【安井行生のインプレッション】
メーカーがうたう宣伝文句はとりあえず疑ってかかるタチである。事実、ニューモデルが掲げるキャッチコピーと実際の走行フィールはリンクしないことのほうが多い。このドグマ2、横剛性14%アップだそうである。ドグマ60.1だって踏み切れないほど硬かったのに・・・、と恐る恐る踏み込むと、やはり「14%アップ」に反してかなり乗りやすく仕上げられていることがわかる。
ハンドリングにしても加速の仕方や制動力の立ち上がり方にしても、フレーム各部のリブのエッジが丸くなったことと連携するかのように角を丸め、ピーキーさが薄まっていると感じる。ピナレロの旗艦モデルは、プリンスカーボン、ドグマ60.1、ドグマ2の順にだんだん乗りやすく進化している印象。しかし芯がガッチリと硬いことに変わりはなく、あり余るトラクションは健在で、ピナレロハイエンドの持ち味である背中を容赦なく蹴り上げる力強い加速感と高速域の伸びは薄れていない。空力特性改善の効果を実走行で実感することは難しいが、ドグマの魅力にますます磨きがかかったのは間違いない。
ピナレロ・ドグマ2(フレーム価格)57万8000円
フレーム:トレカ60HM1Kナノアロイ
フォーク:オンダ 2 60HM1K
コンポーネント:カンパニョーロ・スーパーレコード
ホイール:カンパニョーロ・シャマルウルトラ
タイヤ:チャレンジ・クリテリウム320 700×23C
サドル:フィジーク・アンタレスキウム
ハンドルバー:モスト・ジャガー XA アルミニウム
ステム:モスト・タイガーウルトラ
シートポスト:専用品
試乗車実測重量:6.9kg(50サイズ、ペダルなし)
サイズ:42SL、44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62
カラー:カーボンシルバーレッド、モビブルー、スカイ、カーボンホワイトレッド、BOB(+3万5000円)ほか