トピックス

ツール・ド・フランス開幕!

待ちに待ったツールがいよいよスタート。王者コンタドールがダブルツールを達成するのか、はたまたアンディ・シュレクがルクセンブルクにマイヨ・ジョーヌを持ち帰るのか? 眠れない3週間が幕を開ける!
Foto: RCS Sport, Graham Watson/Slipstream Sports, ASO

コンタドール VS シュレク! 注目のマイヨ・ジョーヌ争い

第98回大会となる今年のツール・ド・フランスは、フランス西部のヴァンデー地方で開幕。北西部のブルターニュ地方を走った後、反時計回りで南下して、中央山塊、ピレネー山脈、アルプス山脈を回るコースレイアウトだ。総距離は3430.5kmで、平坦ステージは10、中級山岳ステージが3、そして山岳ステージが4。今年はツールのコースにガリビエ峠が登場してからちょうど100年目ということで、この伝説の峠は第18、19ステージの2日間にわたって登場し、注目ステージになるのは間違いない。第18ステージは標高2744mで今大会最高峰のアニェル峠、標高2360mのイゾアール峠を越えたあと、標高2654mのガリビエ峠セッレ・シュバリエにゴール。第19ステージはガリビエ峠の標高2556m地点を通過したあと、最後はラルプ・デュエズに挑む過酷なレイアウトだ。 さらに今年は第2ステージで復活するチームTTも、総合争いには欠かせないキーポイントになるだろう。個人TTは1ステージで、例年通り最終日前日に行われる。 もちろん総合優勝のマイヨ・ジョーヌ最有力候補は、昨年の覇者アルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)だ。5月に開催されたジロ・デ・イタリアでは圧倒的な強さを見せつけ、第9ステージのエトナ火山ゴールで獲得したマリア・ローザを難なくミラノのゴールまで守り切っている。もしもコンタドールがツールでも優勝すれば、彼は1998年のマルコ・パンターニ以来、13年ぶりのダブルツール優勝者になる。 コンタドールのライバルとして名乗りを上げるのは、昨年総合2位のアンディ・シュレク(レオパード・トレック)。昨年まで所属していたサクソバンクを出て、母国ルクセンブルクで彼ら兄弟のために創立した新チームでツール初優勝を目指す。シュレクも1958年のシャーリー・ガウル以来の総合優勝を、ルクセンブルクにもたらすことが注目されている。今年は観光局がツールの広告キャラバンに参加するほど、母国では自転車熱が高まっている。 しかし、今年注目すべきは圧倒的なチーム力を誇る米国のチームレディオシャックだ。ベテランのリーバイ・ライプハイマー、クリストファー・ホーナー、アンドレアス・クレーデンに加えて、27歳のヤネシュ・ブライコビッチが参加。誰が総合争いに絡んでもおかしくない実力者が揃っている。39歳のホーナーは5月にツアー・オブ・カリフォルニアを制し、ライプハイマーはツール・ド・スイスで総合優勝。マイヨ・ジョーヌ争いを混迷させるキーパーソンは、レディオシャックから出る可能性が高いだろう。 この他のマイヨ・ジョーヌ候補はイタリアのイバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール)やダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD)、オーストラリアのカデル・エバンズ(BMCレーシング)、オランダのロベルト・ヘーシンク(ラボバンク)。今季いっぱいでの引退を表明している37歳のアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)も、マイヨ・ジョーヌ獲得を目指しているが、最終的な目標はパリの表彰台に上がることだ。開催国フランスでは、今季ムルシア一周でデニス・メンショフ(ジェオックス・TCM)につぐ総合2位に入ったジェローム・コッペル(ソール・ソジャスン)の活躍が期待されている。 昨年のトップ10でスタートラインに並ばないのは、総合3位のメンショフと総合8位のホアキン・ロドリゲス(カチューシャチーム)。メンショフは所属チームがツールの招待を受けられずに欠場。ロドリゲスはチームの方針で、今年はツールへの参加メンバーがすべてロシア人で固められたため、マイヨ・ジョーヌ争いに加わることはできなかった。
■ツール・ド・フランス2010 個人総合最終成績 1 アルベルト・コンタドール(スペイン)91時間58分48秒 2 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)+39秒 3 デニス・メンショフ(ロシア)+2分01秒 4 サムエル・サンチェス(スペイン)+3分40秒 5 ユルフン・バンデンブルック(ベルギー)+6分54秒 6 ロベルト・ヘーシンク(オランダ)+9分31秒 7 ライダー・ヘシェダール(カナダ)+10分15秒  8 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)+11分37秒 9 ロマン・クロイツィーゲル(チェコ)+11分54秒 10 クリストファー・ホーナー(米国)+12分02秒 ■マイヨ・ジョーヌ:アルベルト・コンタドール(スペイン) ■マイヨ・ベール :アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア) ■マイヨ・アポワ :アントニ・シャルトー(フランス) ■マイヨ・ブラン :アンディ・シュレク(ルクセンブルク) ■チーム成績   :チームレディオシャック(米国)

マイヨ・ベール争いに世界チャンピオン参戦!

今年もスプリンターたちは熱い闘いを繰り広げ、ポイント賞のマイヨ・ベール争いも混迷するだろう。世界最速スプリンターと言えば、英国のマーク・カベンディッシュ(HTC・ハイロード)だが、マイヨ・ベールはまだ未獲得だ。昨年のマイヨ・ベール覇者で、今年のジロ・デ・イタリアでもカベンディッシュとゴールスプリントで火花を散らしたアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ISD)はもちろん参戦。そして一昨年の覇者であるトール・フースホフト(チームガーミン・サーヴェロ)は、世界チャンピオンの証しであるアルカンシエルを着てマイヨ・ベール獲得を目指す。もちろん、2007年の覇者トム・ボーネン(クイックステップ)も忘れるわけにはいかない。2008年にマイヨ・ベールを獲得したオスカル・フレイレ(ラボバンク)は参加していない。ツールデビューが期待されていたピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール)も、残念ながら不参加だ。 今年のツールでも、集団ゴールスプリントを制する回数が多いのはカベンディッシュになるだろうが、区間優勝だけでは手に入れられないのがマイヨ・ベール。ボーナスタイムは今年も導入されないが、中間スプリントポイントは1ヶ所になり、1位通過で20ポイントが与えられ、15位までポイントが配分される。このルール改正が、今年のマイヨ・ベール争いにどう影響するかが楽しみだ。

最初の1週間はジルベール祭り?!

今季春のクラシックで圧倒的な強さを見せたベルギーのフィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット)は、その後も調子を落とすことなく快進撃を続け、ロンド・バン・ベルギーで総合優勝し、念願のベルギーチャンピオンジャージも獲得した。ジルベールの次なる目標は、ツールでの区間優勝とマイヨ・ジョーヌにソデを通すこと。第4ステージのゴール、ミュール・ド・ブルターニュは『ブルターニュのラルプ・デュエズ』と呼ばれるアップヒルで、ピュアなスプリンターよりジルベールのような選手に向いていると言われている。しかし、今年のジルベールの、迷いがない力強い走りを見ていると、第1ステージを制してマイヨ・ジョーヌを獲得するのも夢ではないかもしれない。ベルギーのTV解説者は、彼が今年のツールの最初の1週間で区間3勝できるだろうと予想している。しかし、今年初めてツールに参戦するバカンソレイユ・DMCが、ジルベールの快進撃を阻む可能性もある。ビッグレースでの成績はまだあまり残せてはいないが、常にアタックする果敢な選手たちが揃ったバカンソレイユは、今年のツールを通して要チェックだ。
ツール・ド・フランス2011公式プログラム(日本版) ・インタビュー 実行委員長 C・プリュドム ・選手紹介 ・全22チームガイド ・全21ステージガイド ・ツールの周辺/ルール ・ツールの歴史 ・特別付録:全ステージのルートが載った大判フランス地図(858×788mm) ・A4ワイド版/オールカラー192ページ ・発売:6月20日(月) ・定価1,575円(本体1,500円) ・発行所 (株)八重洲出版 TEL03-3552-8431(平日9:30~17:30)

問い合わせ先

ゼッケンNO.付きスタートリスト
http://www.cyclesports.jp/depot/detail.php?id=2658