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サドル選び実践講座
2011.01.20
目指せベストフィット!
「サドル選びの第1歩は、自分が今使っているサドルを具体的に知ることです」と語る喜田さん。具体的に、とは数値や感覚でサドルを分析することだ。1.サドルの幅(前方、中間、最大幅、そのほか自分が気になる部分)、2.アール(ヒモなどをサドル表面に沿わせてヒモが描くアールの具合を覚えておく)、3.ベースの反り、4.ベースを押したときのたわみ量(3、4とも金尺などを使って計測)、5.スポンジの硬さ(手で押したときの感覚)という具合だ。
それと同時に、自分が使っているサドルの問題点と新しいサドルへの要求点を洗い出す。たとえば、後方のサポート感が欲しい、坐骨の圧迫感を解消したい、ノーズが内腿に当たる、といったように。この2つの要素を押さえることで、現状のサドルで問題となっている部分がわかり、それを解決するためのサドル選びが見た目だけでなく数値と照らし合わせることで、より絞り込みやすくなる。
サドルのキャラクターを左右するポイントとしては、1.ベースの反り(大、小)、2.肩の形状(なで肩、いかり肩)、3.パッド(厚い、薄い、高反発、低反発)、4.サイドシルエット(立ち上がりが早い、遅い)、5.先端形状(細い、太い)、6.最大幅(狭い、広い)という6つがあるという。これはアティークでオーダーを受け付ける場合も同様にこの順番でチェックする。
この6つの中で最も大切なのが「反り」と「肩の形状」。サドルはこの2つの組み合わせによってバリエーションが作られているといっても過言ではない。サドルに座ったときに痛みの発生源となりやすい坐骨と恥骨を支える位置(坐骨を支える幅、恥骨の高低差)が決定され、この部分にかかるサポート感が変わってくる。一般的に坐骨の痛みを取るほうが難しく、恥骨はサドルの反りや取り付け角度で解消されることも多いそうだ。
また、ベースのしなりも快適性に大きくかかわる部分である。カーボン製のベースはしなりが少なく、ショックを吸収させるにはナイロン製のほうが適しているそう。ショック吸収と着座面の緩和を目的とするパッドは2種類がおもに使用されており、軽量で薄型のモデルには軽くて変形しやすい熱可塑性スポンジが採用される。一方、パッドに厚みを持たせたタイプは、発砲ウレタン系のものが使用され、高い反発性の持続が狙われている。
というように、サドル選びにはチェックする場所が数多いことがわかるだろう。上級者のサドル選びに失敗が少ないのは、使ってきた製品の多さにもよるが、自分が重視する性能とサドル各部の形状を照らし合わせることができるから。サドル選びの近道のために、まずは自分のサドルを分析してみよう。
サドルマエストロ・喜田順二が教える購入前チェック7カ条!
各メーカーが提唱するサドル理論とは?
骨盤の幅や体の柔軟性といったものを指針にサドル選びを提案するメーカーも増えている。たとえば、スペシャライズドやボントレガー、セラバッサーノといったメーカーでは、骨盤の幅に応じて同じモデルでもサドル幅(座面)の異なるタイプを用意している。もっとも理想的な位置で坐骨と恥骨をサポートすることで、痛みを解消するのはもちろん、サドル本来の設計を最大限発揮するための工夫だ。
一方、フィジークでは体の柔軟性を指標に最適なモデルを提案している。これはライディングの前傾姿勢を確保したときの坐骨と恥骨の高低差の個人差に基づいて判断されている。こうした坐骨の幅や柔軟性によるサドル選びはひとつの指針にはなる。しかし、それ以外の体型やライディングスタイルに応じて最適なサドルは変わってくるので、全体の形状を吟味したうえで自分に合ったモデルを選ぶことが大切だと喜田さんは語る。
あこがれのオーダーサドルってどんなもの?
究極のフィッティングを目指すなら、オーダーサドルも試す価値がある。アティークでは注文者の着座時の尻型を造形用粘土で写し取り、座り方のクセまでも注文サドルに反映される。ベースの形、パッドの厚さや硬さも喜田さんとの相談によって自由自在。実際に作られたサドルを手にとってみたが、座り方のクセを反映して左右で微妙に形状が異なるなど、かなり細かな点までフィッティングを追求できる。ベースもレースもカーボン製で、軽量はもちろん、より高いフィッティングと乗り心地を実現している。
オーダーサドル以外にも、パッドや表皮の交換、ベース部分の形状調整といったカスタムにも対応している。数々のサドルを試したが合うモデルがない、お気に入りのサドルを使い続けたいサイクリストには絶好のサービスといえるだろう。
オーダーサドル 8万5000円~
表皮張り替え 3000円~
表皮&パッド張り替え 6000円
擦れキズ補修 1500円~