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セルフマッサージの基本テクニックを学ぼう!
2011.02.07
セルフマッサージの必要性
ツール・ド・フランスなどの過酷なステージレースを走り抜くプロサイクリストたちにとって、マッサージはなくてはならないもの。レース中は最低でも毎日1時間、プロマッサージャーの施術を受けさせるチームもあるという。
一方で、ホビーサイクリストたちは自分の体をどのように管理しているのだろう。走ることに気を取られるあまり、体のケアは放っておきっぱなしという人も案外多いのではないだろうか。
「ホビーサイクリストは、普段は仕事をしながら休日にトレーニングを積んでいるわけですよね。いわば疲労のダブルパンチです。せっかくのトレーニングを有効なものにするためにも、そして体を作る前段階でコンディションを整えるという意味でも、マッサージで筋肉疲労を取ることはとても大切です」と教えてくれたのは、いくつもの海外プロチームで日本人プロマッサージャーとして活躍してきた中野喜文さんだ。
「リラクゼーション、つまり筋肉から疲労物質である乳酸を除去するという意味において、セルフマッサージは有効です。ただし、体のどこかに違和感を覚えた場合はすみやかに専門家に見せること。プロのマッサージとセルフマッサージはまったく別物なのです」
ロングライドではどこに疲労や痛みが起きやすい?
障害が起こりにくいという意味で、中野氏は頸椎から腰椎までのS字カーブが自然な形で湾曲し、どこにもムリな力がかかっていない状態でライディングすることが重要だと指摘する。それでも長時間乗っていると体の各部位に痛みが起こる。
首:前傾姿勢のまま前方を見すえる必要があるので、首は最も負担がかかる部位のひとつ。ただ乗っているだけでも疲労がたまりやすい箇所だ。また、後方確認の際、首と連動して僧帽筋、つまり肩も痛めるケースがある。
腕:ダンシングやシフトチェンジなどで強い疲労が残る。また、自転車は基本的に前傾姿勢を取り、脇を締めて乗るので、上腕二頭筋や三頭筋にも疲労がたまる。
腰:とくに平坦路の強度の高い走行後には、腰にも負担が。ただし、腰はマッサージが非常に難しい部位。セルフではなくプロに任せよう。
太腿:両脚の表(大腿四頭筋)と裏(ハムストリングス)を均等に使えていれば、どちらかに強い痛みを感じることはあまりないが、サイクリングでいちばん使うのが、この太腿だ。
ふくらはぎ:かかとが落ちるアンクリングというペダリングをするサイクリストに多い、ふくらはぎの障害。ここを傷めると、アキレス腱に影響が出ることも。ヒルクライムでは注意が必要。
足:特殊で硬い素材のビンディングシューズを長時間履くことによる疲れが原因。足の裏は体の各部位につながる末梢神経が集中する反射区であり、健康のバロメーター。適切なケアは障害の除去にもつながる。
筋肉が十分に温まらないうちにハードな乗り方をすると、どうなるのだろう?
中野さんは「アキレス腱やヒザなど、自転車選手特有の障害が出ることが多いですね」と話す。
外気温が10度以下、あるいは雨が降っていたら走行前マッサージで筋温を上げてから走り始めよう。
セルフマッサージの基本テクニック
マッサージオイルの効果的な使い方
プロのマッサージとセルフマッサージでは、何が違うのだろう?
「ひと言で言うと、プロの施術は手技療法を用いた治療ですが、セルフマッサージは治療ではありません。つまり、セルフでは障害の除去は不可能。あくまでリラクセーション行為なのです。テカール・ジャパンでは、イタリアで普及している物理療法で、テカールという高周波機器を用い、テカールセラピーを行なっています。これは手技と組み合わせて初めて、飛躍的な効果が可能となる、非常に特別なものです」と中野さん。こうした特殊なセラピーは医療行為である特権のひとつだ。