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ベルギーのジルベールが独走で優勝! リンブルフ世界選ロードレース
2012.09.25
誰もついて行けなかったカウベルフでのアタック
その瞬間は誰もが予期していた。最後のカウベルフで、ベルギーのフィリップ・ジルベールはまちがいなくアタックすると。そして彼はその期待に応えた。ゴールまではまだ2.2kmの平坦な道程があったが、カウベルフでのアタックはあまりにも圧倒的で、ライバルたちは誰も彼を捕まえられなかった。追い風に後押しされたジルベールは後方をふり返って勝利を確信すると、観客の大歓声に応えながらガッツポーズでゴールラインを通過した。 オランダ南部のリンブルフ州で行われた今年の世界選手権ロードレースは、毎年春にアムステル・ゴールド・レースが開催されるエリアが舞台だった。エリート男子のロードレースは、リンブルフ州の州都であるマーストリヒト市街からスタートし、9ヶ所の丘を越える106kmの外周を走った後、1周16.1kmでベメレルベルフとカウベルフの2つの丘があるファルケンブルフのサーキットコースに入った。レースは序盤からアタックがつづいたあと、20km地点でガティス・スムクリス(ラトビア)とビタリー・ブッツ(ウクライナ)が抜け出し、50km地点でパブロ・ラストラス(スペイン)、ダリオ・カタルド(イタリア)、ティモシー・ダッガンとアレックス・ハウス(米国)、ジェローム・コッペル(フランス)、ウイネル・アナコナ(コロンビア)、ルカ・メズジェク(スロベニア)、ウラジミール・イサイチェフ(ロシア)、ファブリシオ・フェラーリ(ウルグアイ)が合流し、11人で先頭集団を作った。10周するサーキットコースに入ったとき、英国チームがコントロールする集団と11人のタイム差は5分だった。 集団が動いたのは残り8周回のカウベルフだった。スペインのフアンアントニオ・フレチャがアタックし、ジャンニ・ミールスマン(ベルギー)、ミヒャエル・シャール(スイス)、スティーブン・カミングス(英国)、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア)、マクシム・ブエ(フランス)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク)、マイケル・マシューズ(オーストラリア)、別府史之(日本)が加わり、9人で前を行く11人を追走した。さらに残り6周回のカウベルフでは、アルベルト・コンタドール(スペイン)が集団からアタック。ロベルト・ヘーシンク(オランダ)、ミカエル・アルバズィーニ(スイス)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア)、トーマ・ボークレール(フランス)、ビヨルン・ルークマンス(ベルギー)、ジョナサン・ティアナンロック(英国)とともに先行していたグループに合流。先頭グループは30人近くになったが、集団とのタイム差はたった1分だった。 残り26kmでメイン集団は先行していたグループを捕まえ、優勝候補が顔を揃えた70人ほどで残り2周回に突入した。そしてアンドリュー・タランスキー(米国)やビンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)のアタックが空振りに終わった後、最終周回を迎えた。最後のカウベルフでまず先頭に立ったのはニーバリだったが、そのすぐ後ろはベルギー勢が固めていた。そして勾配のもっともキツい場所で、満を持してジルベールがアタック。カウベルフの山頂を先頭で通過したときには、すでに後続を大きく引き離していた。ゴール前の平坦な直線でアレクサンドル・コロブネフ(ロシア)、エドワルド・ボアソンハーゲン(ノルウエー)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)が先頭のジルベールを追ったが、3人は協力し合えず、追いつくことはできなかった。 ベルギーが世界選手権で優勝したのはこれで26回目だが、ワロン出身の選手が世界チャンピオンになったのは1937年のエロワ・ムールンベール、1984年のクロード・クリケリオンにつづいて3人目だった。主催者発表によれば、この日の観客動員数は約20万人。集団がファルケンブルフのサーキットコースに入る前には、すでにカウベルフの坂には観客があふれかえり、入場規制がかかるほどだった。ベルギーのフランダース地方で世界選を生中継したスポルザは、この日の視聴率が75%を超えていたと発表している。 世界チャンピオンになったフィリップ・ジルベールのコメント「チーム全員が本当にいい仕事をしてくれた。ボクはカウベルフのふもとでいい位置にいた。すぐに大差をつけられないとは思っていたけれど、アムステル・ゴールド・レースで勝ったことがあったから、いい感覚を持っていた。追い風だったのもよかったよ。ゴールには家族や友達が待っていると知っていたから、素晴らしかった。世界チャンピオンになった現実味はまだないよ。次に走るジロ・デル・ピエモンテで、初めてアルカンシエルを着たときだろうね」
リンブルフ世界選 エリート男子ロードレース結果
1 フィリップ・ジルベール(ベルギー)6時間10分41秒
2 エドワルド・ボアソンハーゲン(ノルウエー)+4秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)+5秒
4 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)+5秒
5 ラルス・ボーム(オランダ)+5秒
6 アラン・デービス(オーストラリア)+5秒
7 トーマ・ボークレール(フランス)+5秒
8 ラムナス・ナバルドースカス(リトアニア)+5秒
9 セルヒオルイス・エナオ(コロンビア)+5秒
10 オスカル・フレイレ(スペイン)+5秒