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ガスパロット初優勝! アムステルゴールドレース2012
2012.04.17
カウベルフのスプリント勝負を頭脳で制したガスパロット
第47回アムステルゴールドレース(UCIワールドツアー)が4月15日にオランダで行われ、イタリアのエンリーコ・ガスパロット(アスタナ)が、上り坂のゴール勝負を制して初優勝した。2位はイェル・バネンデルト(オメガファルマ・クイックステップ)、3位はピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール)だった。
終盤、先頭グループは、30~40人に絞りこまれていた。そこから最初にアタックしたのは、4日前のブラバンツペイルで2位に入って絶好調のオスカル・フレイレ(カチューシャ)だった。彼はゴールまで残り7km地点で飛び出すと、ニキ・テルプストラ(オメガファルマ・クイックステップ)の追走も寄せ付けず、頂上にゴールがあるカウベルフのふもとに最初にたどりついた。ここでグレッグ・バンアーベルマート(BMCレーシング)が引く集団とフレイレの差は、まだ30秒あった。
平均勾配5.8%、最大12%のカウベルフの、たった800メートルの登り坂で勝負は決した。集団はディフェンディングチャンピオンのフィリップ・ジルベール(BMCレーシング)が先頭に立ってフレイレを追走した。その途中、集団の中盤でダミアーノ・クネゴ(ランプレ・ISD)がラルスペテル・ノルドハウ(スカイ)を巻き込んで転倒する事故が発生。この混沌で、後方の選手にも優勝のチャンスがなくなってしまった。
ゴールまで残り200メートルを切り、力尽きたベルギーチャンピオンのジルベールを追い越したのはサガンだった。彼はゴール目前でフレイレも追い越したが、最後はバネンデルトとガスパロットに両側から刺されてしまった。そして最初にゴールラインを通過したのは、ベテランのガスパロットだった。彼は2年前に今大会で3位になったが、その時はゴールスプリントで失敗したと後悔していた。その敗北の経験が今回の勝利の鍵になっていた。一方、昨年までジルベールのスーパーアシストだったバネンデルトは、今年初めてチームのエースとしてレースに臨んだが、ビッグタイトルを目前で失い、ハンドルを叩いて悔しがっていた。
アムステルゴールドレースでドラマを生むカウベルフは、今年9月に開催されるリンブルフ世界選のコースにも含まれる。世界選のときのゴールは、カウベルフを登り切った後の平坦区間になるが、ここでよく走れることは、世界選代表に選ばれる条件になるだろう。今年のアムステルには、世界選の視察を兼ねてイタリア代表監督のパオロ・ベッティーニも来ていた。ガスパロットの優勝は、監督への熱いメッセージになったにちがいない。
初優勝したガスパロットのコメント
カウベルフでみんなは53(のギア)を使っていた。けれどボクは、2年前に3位だった時の経験から、一番キツいところで39を使った。そして最後の200メートルで平坦になってから53を使った。それが今日の鍵になったのさ。サガンは最初から最後まで53を使ったから、最後の数十メートルで脚がなくなってしまった。ボクの脚には彼のような大きな筋肉はないから、その分、頭を使ったんだ。ジルベールがフレイレを捕まえるために早くから仕掛けるのはわかっていた。だからそれに付いて行った。ジルベールは偉大なチャンピオンで、責任もあった。でもボクはただのエンリーコ・ガスパロットで、偉大な選手ではないし、自分が走りたいように走ることができた。その状況をうまく利用したのさ。ボクは30歳になって、もう年寄りのグループだ。けれどサガンのような若くて強い選手ではなくても、トレーニングして努力すれば勝てることが証明できたよ。それはとても重要なことだ。
第47回アムステルゴールドレース結果
1 エンリーコ・ガスパロット(アスタナ/イタリア)6時間32分35秒
2 イェル・バネンデルト(オメガファルマ・クイックステップ/ベルギー)
3 ピーテル・サガン(リクィガス・キャノンデール/スロバキア)+2秒
4 オスカル・フレイレ(カチューシャ/スペイン)+2秒
5 トーマ・ボークレール(チームヨーロッパカー/フランス)+2秒
6 フィリップ・ジルベール(BMCレーシング/ベルギー)+2秒
7 サムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ/スペイン)+2秒
8 ファビアン・ウェグマン(ガーミン・バラクーダ/ドイツ)+4秒
9 リナルド・ノチェンティーニ(AG2R・ラモンディアル/イタリア)+4秒
10 バウケ・モレマ(ラボバンク/オランダ)+4秒