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長距離をラクに走りきれる!WILIER TRIESTINA ZERO7
2012.03.02
今までの軽量バイクにはない乗り味
Mサイズのフレーム重量は750gに仕上がっている。実際に試乗車を持ち上げると、その軽さに「おー」っと声がもれてしまう。だが、このバイクの魅力は重量だけではない。まずは、フレーム素材だ。トップレンジモデルでは、もはやおなじみとなった東レの60Tカーボンを使用しているのだが、それに加えて「SEIフィルム」という素材を積層するという独自の設計を持つ。SEIフィルムの詳細は極秘とのことだが、これを積層に加えることで60Tカーボンの弱点である破断強度と振動減衰特性の低さを補い、適度なしなりを持ち、かつ軽量なフレームに仕上げることができたのだという。
もうひとつは、新規格BBのBB386だ。クランクシャフトの径はBB30と同じ30mmだが、BB自体の幅が86.5mm(BB30は68mm)と広くなっている。これは30mm径のクランクシャフトがもたらす剛性と、フレーム剛性のベストバランスを考えた結果だという。完成車にはFSA製のBB386対応クランクが装備されるが、フレーム販売ではシマノ、カンパニョーロ、スラムそれぞれのBBアダプターが用意される。
レースシーンでは、今シーズンはランプレ・ISDのD・クネゴ、M・スカルポーニがゼロセッテを使用することが決まっており、専用カラーのバイクが用意される。
■写真下・左:ヘッドパーツの下ワンに1-1/2インチを採用するバイクが多いなか、剛性が上がりすぎないよう1-1/4インチを採用。ベンドフォークと相まって、快適性と回頭性のバランスがいい。
■写真下・中:二股に分かれたシートステー。チェントウノSLでは、形状が似ていてもこの穴は空いていなかった。路面からの突き上げを緩和するために、このデザインに変更されたのだろう。
■写真下・右:チェーンステーは縦方向にボリュームがある角段面。反チェーン側を太くする左右非対称設計で、非常に肉薄。BBの幅が広いので前三角との接合面はしっかりしている。
【中島丈博のインプレッション】
超軽量バイクといって、どんな乗り味を想像するだろうか?非常にパリッとして、ロードインフォメーションやハンドリング、加速など、すべてがつぶさに伝わってくる。よくも悪くもシビア。自分はそんなイメージだ。ゼロセッテに試乗する前もそういうイメージで走り始めたわけだが、しばらく走っていると、どうにも不思議な感覚に陥った。まるで軽量バイクっぽくないバイクだなと。いたって「普通」のバイクなのだ。路面の細かい凹凸はキレイにいなされて体に伝わってくるし、平地の巡航もヒラヒラせず気を遣う必要を感じない。さらに加速するときも、加速が鈍るまでの時間が長い。装着するカンパニョーロ・ボーラと相まって、まるで吸い込まれるようにバイクが進んでくれる。
だが、ひとたびハンドルを切れば、車体の軽さが生きてくる。コーナリングや走行ラインの細かいチェンジなどは素早い。直線を巡航しているときと、ハンドリングが必要なときの挙動の違いに最初は戸惑ったが、走り込んでいるうちに慣れてしまった。フレームがいい具合にしなってくれるので、乗っているほうにも余裕を与えてくれる。「長距離をラクに走りきれるバイク」という開発コンセプトにもうなずける。選手が使用していることからもわかるように、レースに対応したフレームであるのはもちろんだが、ロングライドをより速く、快適に走りたいと思っているサイクリストには究極の選択肢のひとつになると思う。
ウィリエール・トリエスティーナ・ゼロセッテ
カンパニョーロ・スーパーレコード完成車価格 117万6000円
フレーム価格 58万8000円
フレーム●東レ・60Tグレードカーボン
フォーク●ウルトラハイモジュラスカーボン
コンポーネント●カンパニョーロ・スーパーレコード
ホイール●カンパニョーロ・ボーラ ゼロセッテ仕様
タイヤ●ヴィットリア・コルサ エヴォ CX2 28''×23
サドル●セライタリア・SLR ゼロセッテ仕様
ハンドルバー●FSA・Kフォースライト NANO-K ゼロセッテ仕様
ステム●FSA・Kフォースライト ゼロセッテ仕様
シートポスト●GDR・シートポスト
サイズ●XS、S、M、L、XL
試乗車実測重量●6.16kg(サイズ:M、ペダルなし)
カラー●マットブラック
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