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進化したエアロダイナミクス CERVELO S5 TEAM

極限のエアロ効果を発揮するために開発された「S3」。その上を行くのがツール・ド・フランス2011に合わせて発表された「S5チーム」だ。見た目はTTバイクの「P4」とほぼ変わらないほどエアロダイナミクスが進化したニューマシンは、サーヴェロテイスト満載!
text●小林 徹夫 photo●岡 拓

S3からの変更点

1.ドロップダウンチューブ。フォークの長さを突き詰め、ダウンチューブを限界までフロントホイールに近づけることで前輪とフレームの間に発生する乱気流を抑えて空気抵抗を軽減する。ただし、その分ヘッドチューブは長くなっている。 2.ボトルケージ取り付け部を平らにして、ボトルが付いた状態での空気抵抗を少なくするためのデザイン。 3.フロント同様にシートチューブをリヤホイールに沿わせて隙間を減らし、乱気流を少なくしている。 4.シールディングステーで、シートステーとシートチューブの流れをスムーズにすると同時に、リヤブレーキ本体の前方をカバーすることでブレーキ部分の空気抵抗を減らしている。そしてR3、R5から採用されたBBライトをSシリーズにも採用し、BBまわりの剛性を強化している。 サーヴェロ社での風洞実験の結果、時速40kmの単独走でノーマルバイクとの差は20ワット強。もちろんスピードが上がればさらに大きな効果が期待できる。

S5 TEAMの特徴

1.ダウンチューブとフロントタイヤの隙間は10mm程度。ハイトの高いリムを使えば、リムからダウンチューブが一体となってエアロ効果を発揮しそうだ。荒れた路面や高速ダウンヒルでのハードブレーキングでは、タイヤがフレームに当たる可能性を心配したが、フォークの剛性は十分に高く、その心配はまったくなかった。 2.涙滴型断面のシートポストは精度がよさそうで異音がすることもない。固定用パーツもシンプルでサドル高の調整もラク。 3.2つの固定位置が選べるシートポストは、前の位置が73度、後ろが70度相当。身長が173cmのライダーの場合では、前の位置でサドルを引けば十分だ。ヘッドチューブの長さを考えると通常のフレームサイズより小さいものを選び、後の位置でサドルを固定するとポジションがより自然かもしれない。
4.ヘッドチューブは上下異径。サイズの変更はなくS3と同じだ。(下写真左) 5.BBライトのハンガー部は大ボリュームだが、脚にくるような硬さはなく、踏み出しは軽い。左右非対称。(下写真中) 6.チェーンステーは縦横方向ともにボリュームがある。剛性+エアロ効果を狙っているのか。(下写真右)
【小林 徹夫のインプレッション】 いきなり感じる印象は、その軽さ。持っても軽いが、走り出しの軽快感はいかにも走りそうな印象を与える。その印象どおり走って欠点を見いだすことはできなかった。すべての面で最高といってもいいだろう。とくに上りで踏んでいくときの加速感と速度の維持性が高く感じる。このレベルのバイクでは、振動がどうの、踏んだ感じがどうの、ねじれが・・・などというよりも、自分の走り方の好みに合うかどうかが問題になりそうだ。 ただしヘッドチューブの長さは私程度の身長(173cm)でも気になり、ハンドル位置はいちばん下げてもやや高めになる。サドル位置は大きく下げることが可能だ。またヘッドは立ち気味に感じるが、これはダンシングでも力が入れやすい。ハンガー部はしっかりしているので回しやすく、走りの軽さもあるし、ガツンと踏んだときの反応もいい。ステアリングは軽さもあって気持ちのいい走行フィールが味わえるし、シートアングルについてはほとんど最適なポジションを得ることができた。スピード変化の激しい乗り方よりも、ある程度一定ペースで走れる耐久などにより適したポジションと感じるが、これは微妙な空気抵抗の軽減がそう感じさせるのかもしれない。横風の影響は気にならなかった。
フレーム:カーボン(詳細非公開) フォーク:サーヴェロ・FK26SLフォーク コンポーネント:スラム・レッド ホイール:マヴィック・コスミックカーボンSR タイヤ:ヴィットリア・ルビノプロスリック 700×23C サドル:フィジーク・アリオネ ハンドルバー:3T・エルゴノヴァチーム ステム:3T・ARXチーム シートポスト:専用品 試乗車実測重量:7.15kg(54サイズ、ペダルなし) サイズ:48、51、54、56、58、61 発売価格:未定

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