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LEOPARD TREK始動!

チーム名に「トレック」と入った世界ランキング1位のプロチーム「レオパード・トレック」のトレーニングキャンプ。日本と世界のUCIレースをカバーする自転車ジャーナリスト、大前仁がレポートする。
text&photo●大前仁 取材協力●トレック・ジャパン

レオパード・トレックとは

ルクセンブルグの実業家、フラビオ・ベッカ氏が立ち上げた「ルクセンブルグ・プロサイクリングプロジェクト」は、サクソバンクの広報担当だったブライアン・ニガートをGMにに据え、ディレクタースポルティフだったキム・アンデルセンを引き抜いた。シュレク兄弟を筆頭に選手を集め、2010年11月にはUCIが発表した2011年プロチームに名を連ねた。この時点で所属選手によるランキング1位。12月にはついにファビアン・カンチェッラーラの移籍が発表され、1月になってチーム名が「レオパード・トレック」と発表された。 写真左からカンチェッラーラ、ゲルデマン、アンディ・シュレク

最強メンバーが最強の機材で臨む

新チームはスペイン・マヨルカ島でおよそ20日間の合宿を行なった。現地にはスポンサーとなるトレックのスタッフも滞在し、初お目見えとなるレオパード・トレックカラーのマドン6.9SSLやスピードコンセプト9.9がズラリと用意された。ライダーたちは共通言語としてほぼ英語でコミュニケートし、スタッフや選手同士の交流を深めつつ機材のセッティングやライディングを行なっていた。 トレックのバイクについての第一印象をフランク・シュレクは「ランスが7連覇したバイクなんだから、そりゃいい印象に決まっているよ」と話す。誰もがいいバイクだと手放しでほめるトレックのことを、だから「レベルが高いバイク」という印象を持っていたそうだ。チームで使用するバイクを決めるとき、他のブランドを選ぶこともできたはずだが、「自分たちの中では、バイクブランドは1つしか頭になかった。しっかりとは乗ったことはなかったけれど、周りからいろいろ情報は入ってくるし、トレックがベストブランドだというのはわかっていたから、ずっと前から自分たちのなかでは決定していた」とニヤリ。そして、昨年11月にはカンチェッラーラがマドンに乗り、パリ~ルーベに備えたデータを収集したそうだ。「乗ったら速いし、軽いし、BBまわりの剛性の高さはすごい。それでいてフロントまわりは乗り心地がいい。すごく気に入っている」

TREK MADONE 6.9 SSL

アンディ・シュレクは140mmという長さのボントレガー・レースXXXライトステムを使っていた。フレームが小さすぎるのではとトレックのベン・コーティスに尋ねると「ステムのスペーサーを見ろよ、低いハンドルポジションを優先して選んだフレームなんだ」。まだシーズン前なので、フレームサイズだけでなくプロトタイプのサドルやホイールなどもこれから煮詰められていくに違いない。 SPEC. フレーム:トレック・マドン6.9SSL フォーク:ボントレガー・レースXXXライト コンポーネント:シマノ・デュラエースDi2 ホイール:ボントレガー・プロトタイプ タイヤ:シュワルベ・アルトレモHT ハンドル:ボントレガーレースライトVRロード ステム:ボントレガー・レースXXXライト シートポスト:ボントレガー・シートマストキャップ サドル:ボントレガー・プロトタイプ ペダル:スピードプレイ・ゼロ 写真右・フレームのBB下に取り付けられたデュラエースDi2のバッテリーは左後ろに向けて斜めに固定されている。取り外すときに後輪に当たらないよう考慮された結果だとのこと。

TREK SPEED CONCEPT 9.9

レオパード・トレックはTTバイクとしてスピードコンセプトを使用する(写真はスキル・シマノから移籍したロバート・ワグナーのバイク)。シュレク兄弟らはサンディエゴに飛び、ウィンドトンネルでポジションの調整などを行なったという。「自分がいちばん苦手なパートがタイムトライアルだから、これを克服することは非常に重要なんだ。ポジションはmm単位じゃなくてcm単位で大きく変わったはずだ」とアンディ。

BONTRAGER ORACLE

前面中央の大きなベンチレーションが印象的なボントレガー・オラクルは、レオパード・トレックが今季使用する新型ヘルメットだ。27個のベンチレーションが開けられ、CFDデザインによって風がうまく通り抜けるよう設計される。カーボンコンポジットのフレームが入れられ、優れた防護性能を持つ点もグランツールでは重要なポイント。チームカラー以外のカラーバリエーションや販売価格、発売時期等は未定。340g。

新チームのサポート態勢は?

チームのスポンサーであるメルセデス・ベンツからは、Eクラス・ステーションワゴンがチームカーとして供給されていた。レオパードの欧文ロゴの「O」の文字がメインのマークとなっていて、つや消しブラックがかなりシブい。チームウエアに黒を採用するプロチームが増えているが、今年はこのつや消しベンツがヨーロッパ中で暴れまわるに違いない。 メカトラックも同じくメルセデスだ。ベンツ・アクトロスを改造したスペシャル仕様車。ヨーロッパには自転車チーム用にトラックを改造する専門の業者がおり、チームのオーダーに応じてカスタマイズしてくれる。プロコンチネンタルチームなど、予算によっては他チームの「お下がり」を入手することもある。もちろんレオパード・トレックのトラックはぴかぴかの新車で、入り口にガラスがあるため、寒くないらしい。 トラックの内部は、左がホイール、その手前が作業デスクで、右にフレームを固定してある。スピードコンセプトはまだチームカラーに塗られていないものもあったが、すべてデュラエースDi2仕様だった。シマノが今年プロチームへ供給するデュラエースは、なんと9割がDi2なのだという。「Di2のほうが圧倒的にトラブルが少なく、メカニックも楽」とシマノの原田孝雄氏。彼らもマヨルカに滞在し、各チームとセッションを続けていた。
当然のようにトラックの作業スペースにはDi2のバッテリーチャージャー。まとめて充電するコンセントは、今やプロチームの必需品だ。(写真上) さらにカセットスプロケットも歯数ごとに整理され、取り出しやすく収納されている。11-28もバッチリそろう。(写真中) ズラリと並んだホイールはボントレガーのカーボン製チューブラーホイールだ。アイオロスに代わるプロトタイプの様子。(写真下)
レオパード・トレック仕様のバイクが作れるトレックのカスタムプログラム「プロジェクトワン」。好みや予算に応じて自由自在!ベース車両価格:完成車43万5000円~、フレームセット36万円~

問い合わせ先

トレック・ジャパン PROJECT ONE
0570-064804(ナビダイヤル)
http://www.trekbikes.co.jp/projectone