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クラシックレース後半戦ハイライト

意外な伏兵が優勝したクラシックレース前半戦とは対照的に、後半戦は3レースすべてでジルベールが優勝。終わってみれば、今年の北のクラシックレースはベルギー勢が圧勝した…

ベルギーのジルベールが2連覇@アムステル

クラシック前半戦ではミラノ~サンレモ(イタリア)で3位、ロンド・バン・ブラーンデレン(ベルギー)で9位という結果に終わっていたフィリップ・ジルベール(オメガファルマ・ロット)。アムステル・ゴールド・レース(オランダ)は昨年初制覇していて、ディフェンディング・チャンピオンとしてレースに臨んだ。今大会には、前半戦のビッグレースで優勝できなかったファビアン・カンチェッラーラ(レオパード・トレック)も参戦したが、終盤でチームメートのフランク・シュレクと落車に巻き込まれ、結局何の活躍も見せられずに終わった。ゴールまで残り15kmで、アンディ・シュレク(レオパード・トレック)がアタック。ジルベールはチームメートとともに追走し、ゴールのカウベルフの坂の残り500メートルで彼を捕らえた。ここでホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)が先頭に立ったが、ジルベールは彼をぴったりとマーク。そしてゴール手前でロドリゲスを追い抜き、単独でゴールに飛び込んだ。アムステルの4日前に、セミ・クラシックレースのブラバンツペイルでも優勝していたジルベールの、快進撃の始まりだった。

誰にも止められないジルベールが初優勝@フレッシュ・ワロンヌ

舞台はアルデンヌの丘陵地帯へと移り、フレッシュ・ワロンヌ(ベルギー)には、より上りに強い選手たちも参加。例年通り、勝負は最後のウイの激坂で決した。逃げていた選手たちはすべて坂のふもとで捕らえられ、ふり出しに戻ったメイン集団の先頭から、残り300メートルのカーブでジルベールがアタック。トップを走っていたライダー・ヘシェダール(チームガーミン・サーベロ)を抜き去り、あっという間にライバルたちに差を付けると、大観衆の声援を楽しむゆとりまで見せてゴールに飛び込んだ。ベルギーのワロン地方(南部のフランス語圏)出身のジルベールが、まさしく地元のビッグレースで初優勝した瞬間だった。広告キャラバンが配った黄色地に赤いニワトリのワロン旗は、ジルベールの勝利を祝っていつまでも打ち振られていた。2位はロドリゲス、3位はサムエル・サンチェス(エウスカルテル・エウスカディ)。けっしてクライマーではないジルベールの優勝は本人も驚く結果だった。そして週末のリエージュ~バストーニュ~リエージュを前に、ベルギー国内の熱気はピークに達しつつあった。

ジルベールが悲願の初優勝!@リエージュ

絶好調のジルベールが3連勝して迎えたリエージュ~バストーニュ~リエージュ(ベルギー)は、今年も好天に恵まれた。ここまでUCIワールドツアーで1勝もしていないレオパート・トレックは、このレースの勝利を望み、積極的なレースをしていた。ゴールまで残り21km、ロッシュ・オー・フォコンの丘でA・シュレクがアタック。兄のF・シュレクとジルベールが反応し、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(BMCレーシング)も合流した。この決定的な逃げに不運なアクシデントで加われなかったのは、前年度優勝者のアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)だった。彼は後輪のスポークが折れるトラブルに見舞われ、チームメートのマキシム・イグリンスキーの自転車を借りてジルベールたちを追ったが、結局彼らに追いつくことはできなかった。先頭の4人からは、残り6kmのサン・ニコラの丘でジルベールが加速すると、まずバンアーヴェルマートが脱落。A・シュレクも付いていけずに遅れたが、下りでふたたび先頭に合流すると、ゴールへと向う坂では兄のために先頭を引き続けた。しかしそれは、ジルベールにとっては好都合な展開だった。ゴール手前300メートルのカーブを曲がったところで仕掛けたジルベールは、シュレク兄弟を難なくゴールスプリントで下し、子供の頃からの夢だったリエージュ初優勝を成し遂げた。

今年はベルギー勢が北のクラシックレースを支配!

ミラノ~サンレモ終了後、3月下旬に舞台が北に移った今春のクラシックレースは、終わってみればゲント~ベベルゲムからリエージュまでの1ヶ月間、すべての日曜日開催のレースをベルギー人が制している。北のクラシックで地元ベルギー勢が強いのは確かだが、これだけ圧勝した年もめずらしい。しかも、今年は北のクラシックには付きものの寒さと雨天もなかった。逆に今年は春が早く到来し、後半戦は1週間、初夏のような陽気になり、花粉の飛散が活性化。雨が降らなかったこともあって、空気中の花粉量が増え、ロドリゲスのような花粉アレルギー持ちには辛いレースになったようだ。

週末からはいよいよジロがスタート!

クラシックシーズンが終了し、いよいよステージレースの季節がやってくる。今週末はジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)が開幕。イタリア統一150周年を祝い、当時の首都だった北部のトリノが開幕地に選ばれ、5月7日の初日には19.3kmのチームタイムトライアルが行われる。トリノ郊外の古都、ベナーリア・レアーレの世界遺産に登録されている王宮をスタートし、リストランテやカフェが並ぶメインストリートを抜けたあと、トリノの中心街を目指す。そして歴史的建造物が立ち並ぶトリノの古い街並を走り抜けたあと、ポー川沿いにあるビットーリオ・ベネト広場でゴールする。近くにあるトリノのシンボルタワー『モーレ・アントネッリアーナ』はすでにバラ色のライトアップで、ジロの到着を待ちかねているようだ。ヨーロッパの大都市ではいつものことだが、トリノ中心街にもトラムが縦横無尽に走っていて、チームTTのコースにも線路が交錯しているのがレースにどう影響するかが気になるところだ。大都市トリノと対照的に、人口3万5千人の小さな古都であるベナーリア・レアーレでは、ジロの開幕を待ちわびるかのように、バラ色とイタリアン・トリコローレのおめかしに余念がない。すでにチームTTのスタートとなる王宮中庭のコルテ・ドノーレでは、広場中央の噴水をパネルで覆ってコースを作る作業が進められている。土曜日午後4時15分、ここから最初のチームが、統一150周年を祝うイタリア一周の旅を開始する。通常グランツールは最大22チームが参加できるが、今年のジロは特別に23チームがスタートする。そしてイタリアチャンピオンのジョヴァンニ・ヴィスコンティ(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットーリ)は、イタリア統一150周年を祝してゼッケン150を付ける予定だ。
【ジロ・デ・イタリア2011 全日程】 第1ステージ(5/7) ベナーリア・レアーレ~トリノ(チームTT)19.3km 第2ステージ(5/8) アルバ~パルマ 244km 第3ステージ(5/9) レッジョ・エミリア~ラパッロ 173km 第4ステージ(5/10) ジェノバ・クアトロ・デイ・ミッレ~リボルノ 216km 第5ステージ(5/11) ピオンビノ~オルビエート▲▲ 191km 第6ステージ(5/12) オルビエート~フィウッジ 216km 第7ステージ(5/13) マッダローニ~モンテベルジネ・ディ・メルコリアーノ▲▲▲▲ 110km 第8ステージ(5/14) サプリ~トロペア 217km 第9ステージ(5/15) メッシーナ~エトナ▲▲▲▲ 169km 休養日(5/16) 第10ステージ(5/17) テルモリ~テラーモ 159km 第11ステージ(5/18) トルトレート・リード~カステルフィダルド▲▲ 162km 第12ステージ(5/19) カステルフィダルド~ラベンナ 184km 第13ステージ(5/20) スピリンベルゴ~グロスグロックナー(オーストリア)▲▲▲▲ 167km 第14ステージ(5/21) リエンツ(オーストリア)~モンテ・ゾンコラン▲▲▲▲ 210km 第15ステージ(5/22) コネリアーノ~ガルデッチャ/バル・ディ・ファッサ▲▲▲▲ 229km 休養日(5/23) 第16ステージ(5/24) ベッルーノ~ネベガル(山岳個人TT)▲▲▲▲ 12.7km 第17ステージ(5/25) フェルトレ~ティラーノ▲▲ 230km 第18ステージ(5/26) モルベーニョ~サン・ペッレグリーノ・テルメ 151km 第19ステージ(5/27) ベルガモ~マクニャーガ▲▲▲▲ 209km 第20ステージ(5/28) ベルバニア~セストリエーレ▲▲▲▲ 242km 第21ステージ(5/29) ミラノ~ミラノ(個人TT) 31.5km [総距離:3524.5km]
[参加23チーム&予定選手] ●アックア&サポーネ(ゼッケン1~9)…ガルゼッリ、コドル、コリオーニ、ベタンクール、マルゾーリ、ミホリェビチ、ナポリターノ、サルミエント、タボッレ ●AG2R・ラモンディアル(ゼッケン11~19)…ノチェンティーニ、ベラール、シェレル、デセル、デュポン、ガドレ、ガスタウアー、クリフツォフ、モンタグティ ●アンドロニ・ジョカットリ(ゼッケン21~29)…セルパ、セッラ、ルハノ、デマルキ、エルメティ、フェラーリ、オチョア、ロドリゲス、ビシオソ ●BMCレーシングチーム(ゼッケン31~39)…バートン、ベイヤー、フランク、コーラー、クリストフ、バトラー、チョップ、ワイス、ツァーナー ●コルナゴ・CSFイノックス(ゼッケン41~49)…ポッゾビーボ、ベレッティ、モドロ、ピラッツィ、サビーニ、カヌティ、ストルトーニ、ブランビッラ、フラッポーニ ●エウスカルテル・エウスカディ(ゼッケン51~59)…アントン、セスマ、ミンゲス、イサシ、カゾー、アラメンディア、アサンサ、オロス、ニエベ ●ジェオックス・TMC(ゼッケン61~69)…メンショフ、サストレ、ワイス、ブランコ、ケウラ、コゾンチュク、ドゥアルテ、アルディラ、バルス ●HTC・ハイロード(ゼッケン71~79)…カベンディッシュ、ピノッティ、グレッチュ、ルイス、バク、ラボン、ラスムセン、レンショウ、シウツォウ ●カチューシャチーム(ゼッケン81~89)…ロドリゲス、ディルーカ、ブルット、カルーゾ、モレノ、ボルガーノフ、ロサダ、オラチ、クシンスキー ●ランプレ・ISD(ゼッケン91~99)…スカルポーニ、ペタッキ、マルツァーノ、ウリッシ、ホンド、ニエミエツ、スペツィアレッティ、リーギ、スピラク ●レオパード・トレック(ゼッケン101~109)…B・フェイユー、クレメ、ローレッゲル、スタムスナイデル、ピレス、ビガノ、ウェグマン、ウェイラント、ツァウグ ●リクィガス・キャノンデール(ゼッケン111~119)…ニーバリ、アニョーリ、カペッキ、、マランゴーニ、ダッラントーニア、サバティーニ、サレルノ、シュミド、バノッティ ●モビスターチーム(ゼッケン121~129)…アロヨ、キリエンカ、コノバロバス、オヤルスン、ラストラス、パルディーリャ、パサモンテス、サモイラウ、ベントソ ●オメガファルマ・ロット(ゼッケン131~139)…バークランツ、ブライス、ドフリーフ、ドクラルク、ドックス、カイゼン、ラング、ベイッカネン、ロードウェイク ●プロチームアスタナ(ゼッケン141~149)…クロイツィーゲル、ティラロンゴ、F・マシャレッリ、キーゼルロブスキー、グーロフ、ユフレ、ディアチェンコ、ペトロフ、スタンゲリ ●ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットーリ(ゼッケン150~158)…ヴィスコンティ、ファイッリ、ジョルダーニ、ガット、ラボッティーニ、マッザンティ、ファビッリ、ノエ、リッチ ●クイックステップサイクリングチーム(ゼッケン161~169)…キッキ、カタルド、ツィオレック、レダ、エンヘルス、マラカルネ、ピノー、シールドライエルス、バンドワル ●ラボバンクサイクリングチーム(ゼッケン171~179)…ブラウン、フレンス、クルイスウエイク、クレメント、スラフテル、タンキンク、ファンエムデン、ファンウィンデン、ウィーニンフ ●サクソバンク・サンガード(ゼッケン181~189)…コンタドール、ディディエ、グストフ、エルナンデス、クロスターゴール、ポート、ナバロ、トザット、モルコフ ●スカイプロサイクリング(ゼッケン191~199)…ロブクウィスト、バリー、カールストローム、チオーニ、ダウニング、アポッローニオ、ノルドハウ、パウエルス、ポッソーニ ●チームガーミン・サーベロ(ゼッケン201~209)…ファラー、ディーン、ボブリッジ、フィッシェル、ルメヴェル、C・メイヤー、ミラー、ステティナ、ウイルソン ●チームレディオシャック(ゼッケン211~219)…マシャド、ポポビッチ、マキュアン、別府、カルドソ、ダイグナン、ハンター、ロブヌイ、セランダー ●バカンソレイユ・DMCプロサイクリングチーム(ゼッケン221~229)…カッラーラ、ボズィッチ、ベルコフ、ゴラス、ホーヘルラント、ラグティン、オンガラート、セルバッジ、ブーヒェレン