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2011年の3大ツアー コース徹底比較
2011.01.31
今年はイタリア統一150周年を祝うジロ。開幕地には統一当時の首都だったトリノが選ばれ、初日は町の中心部で21.5kmのチームTTが行われる。個人TTは第16ステージの12.7kmの山岳TTと、最終日にミラノで行われる32.8kmのTTのみで、TTスペシャリストよりもクライマー向きのレイアウトになっている。中盤以降に集中する山岳ステージの目玉となるのは、シチリア島を舞台とする第9ステージ。メッシーナをスタートし、活火山として有名なエトナ山に2度挑むレイアウトだ。その後、舞台はイタリア北部へと移り、第13ステージはオーストリアに越境してグロスグロックナー峠でゴール。翌日の第14ステージはゾンコラン峠に挑み、第15ステージには標高2236mでチマ・コッピ(最高峰)のジャウ峠が登場する。この3日間が過酷な闘いになるのはまちがいないが、休養日をはさんで突入する最終週にも山岳ステージは続く。第16ステージは標高1043mのネベガル峠を登る山岳個人TT、そして最終日前日の第20ステージでは、標高2035mのセストリエール峠ゴールが待ち受けている。最終日はミラノにゴールし、有名なドゥオーモ前の広場が栄光の晴れ舞台になる。
大会数:94回
総距離:3498km
[区間内訳]
チームTT…1 (21.5km)
個人TT…1 (32.8km)
山岳個人TT…1 (12.7km)
平坦ステージ…4
中級山岳ステージ…6
山岳ステージ…8
*上りゴール…7
*最高峰…ジャウ峠(標高2236m)
グラン・デパール(開幕地)はフランス西部のヴァンデー地方で、落車が続出することで悪名高い干潟のパサージュ・ド・ゴワからスタートする。北西部のブルターニュ地方を走った後、反時計回りで南下。1週目の週末に中央山塊で最初の山岳ステージが行われる。休養日の後はピレネーを目指し、第12ステージからの3ステージがピレネーステージとなる。最終週にはアルプス山脈の厳しい山岳ステージが続く。今年はツールのコースにガリビエ峠が登場してからちょうど100年目ということで、この伝説の峠は2日間にわたって登場。第18ステージは標高2744mのアニェル峠、標高2360mのイゾアール峠を越えたあと、標高2654mのガリビエ峠セッレ・シュバリエにゴール。第19ステージはガリビエ峠の標高2556m地点を通過したあと、最後はラルプ・デュエズに挑む過酷なレイアウトだ。アルプス山岳決戦終了の翌日にグルノーブルで41kmの個人TTを競った後、パリのシャンゼリゼを目指す。今年のツールは序盤に山岳ステージがないように見えるが、第4ステージのゴール地ミュール・ド・ブルターニュは『ブルターニュのラルプ・デュエズ』と呼ばれるアップヒルで、ピュアなスプリンターよりフィリップ・ジルベールのような選手に向いているだろう。今年はチームTTが復活し、第2ステージで行われる。
大会数:98回
総距離:3471km
[区間内訳]
チームTT…1 (23km)
個人TT…1 (41km)
平坦ステージ…10
中級山岳ステージ…3
山岳ステージ…6
*上りゴール…4
*カテゴリー2級以上の山岳は23ヶ所
*最高峰…アニェル峠(標高2744m)
昨年よりも1週間早く開幕する今年のブエルタは、南部バレンシア州のベニドルムで開幕。初日には16kmのチームTTが行われる。21区間中、個人TTはサラマンカで行われる第10ステージ(40km)だけで、4日目から登場する山岳ステージはほぼ半数の10区間を占めるクライマー向けのレイアウトだ。しかも、上りゴールは6区もある。終盤には和平の証しとして、33年ぶりにバスク地方でステージが行われるが、第17ステージがかろうじて標高515mのペーニャ・カバルガ峠でゴールするだけで、今年の難関ステージは中盤に集中している。しかし、まずは標高2126mのシエラ・ネバダ峠にゴールする第4ステージが、総合争いを選別する最初の挑戦になるのはまちがいないだろう。第9ステージでは、標高1970mのラ・コバティリャ峠にゴール。翌日は個人TTを競い、休養日をはさんた第11ステージでは、標高1760mのエスタシオン・デ・モンタニャ・マンサネダにゴールする。しかし、何と言っても注目すべきは、世界でもっとも過酷だと評されるアングリル峠にゴールする第15ステージだ。その前日にも、標高1710mのラゴス・デ・ソミエド峠ゴールに挑まなければならない。伝説のアングリル峠にゴールしたときには、首都マドリードでリーダージャージを着る勝者は決まっているだろう。
大会数:66回
総距離:3295km
[区間内訳]
チームTT…1 (16km)
個人TT…1 (40km)
平坦ステージ…9
山岳ステージ…10
*上りゴール 6
*最高峰…シエラ・ネバダ峠(標高2126m)
2011年の3大ツアーを制するのは?
今年の3大ツアーは全体的に個人TTが減り、よりクライマー向けのレイアウトになっているのが特徴だ。昨年のジロを制したイバン・バッソ(リクィガス・キャノンデール)は、今年はツール優勝にすべてをかけ、ジロは昨年ブエルタを制したチームメートのビンチェンツォ・ニーバリが初優勝を目指す。UCIプロコンチネンタルチームのジェオックス・TMCは今年のツールに招待されなかったため、デニス・メンショフはジロとブエルタ制覇を目指す予定だ。昨年のツールのドーピング陽性の処分がまだ発表されていないアルベルト・コンタドール(サクソバンク・サンガード)が今年の3大ツアーに参加できるかどうかはまだわからないが、ツール総合2位のアンディ・シュレク(チームレオパード・トレック)が、今年のツールの最有力優勝候補になるのはまちがいないだろう。