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9070系デュラエースロングタームレポート第4弾!   Eチューブプロジェクトを試す!

注目の電動コンポーネント9070系デュラエース。興味がある人も多いであろうこのコンポーネントを半年に渡って使用し、その使用感をレポートする。第4回はパソコンと接続してセッティングを変更するためのソフト「Eチューブプロジェクト」の使用レポート。

 

text●ナカジ photo●吉田悠太

これぞDi2の醍醐味!

「Eチューブプロジェクト」というアプリケーションがある。これは、9070系デュラエースを始めとする、各ロードバイク用電動コンポーネント。フォックス・フロート iCDという電動のサスペンション制御システム。内装コンポーネントのシマノ・アルフィーネDi2といった、”電動”が関わるコンポーネントの、各ユニットのメンテナンスやカスタマイズ、故障診断を行なうアプリケーションだ。なお、OSはウィンドウズのみに対応している。

 

デュラエース7970系Di2では、フライトデッキを介して、無線でパソコンと接続することもできたが、9070系ではケーブルで直接接続する方式に変更された。パソコンと自転車との接続には「SM-BCR2」(写真上、価格/9606円)というユニットを使用する。これは、パソコンとの接続の他に、内装バッテリーを充電する際にも使用するものだ。

自転車とパソコンを接続!

自転車とパソコンを接続。たったこれだけの行為なのだが、すごく興奮する! 自転車の未来を体験しているんだなという高揚感があるのだ。パソコン側はUSBポートにSM-BCR2を接続し、バイク側はステム下に取り付けたジャンクションAに接続する。

 

 

 

 

Eチューブプロジェクトを起動し、自分のコンポーネントの種類を選び、認識させるパーツを選ぶ。ここでは、バッテリーが内装なのか外装なのか、サテライトスイッチの有無、などを選択。アプリケーションからの認識が完了すると、各機能が使用できるようになる。

多段変速設定をセッティング!

ロードバイクに関してセッティングできる項目は大きく3つ。シフトスイッチのレイアウト設定。フロントおよびリヤディレーラーの調整。多段変速の設定だ。ここでは多段変速設定について詳しく触れていく。

 

設定できる項目は3つ。多段変速設定の「オン・オフ」、「変速間隔時間」、「段数リミット」だ。変速間隔時間は「Very Slow」、「Slow」、「Normal」、「Fast」、「Very Fast」の5段階。段数リミットは「制限なし」、「2段」、「3段」の3段階から選択することができる。

 

自分は今まで、「Very Fast」の「制限なし」設定で走っていた。試しに「Very Slow」を選択してみると、びっくりするほど遅い! 「Very Slow」というくらいなので遅くて当たり前なのだが、自分としては「Normal」より速い設定が好みだ。この「遅い」という感想も、あくまでも自分個人の主観でしかないので、「Very Slow」がちょうどいいという人も、もちろんいるだろう。

 

続いて段数リミットは「2段」、「3段」を試してみた。自分が多段変速を用いるシーンは、ブレーキングしながらコーナーへ進入するときに、立ち上がりでの加速を考えてシフトダウンするとき。シフト操作については「ボタンを押しっぱなしにする」ということしか考えないので、ブレーキングに集中できるのが魅力だ。ただ、たまに押しっぱなしにしすぎて、かなり軽いギヤでコーナーを立ち上がることになった経験もある。ここで「2段」、「3段」で止まって欲しいと思うなら、設定を変更してみるといいだろう。また、スプリントを得意とする人なら、ゴール前に「自分は何段シフトアップする」という要望によって「2段」もしくは「3段」に設定しておくのもありだろう。

 

ツーリング派の人には、「制限なし」にしておくのが、個人的にはお勧め。あらゆるシチュエーションが考えられるので、それに対してフレキシブルに対応できる余裕を持たせておきたいからだ。

ちなみに自分は「Very Fast」の「3段」に変更した。

 

他にも、変速スイッチのシフトアップとシフトダウン機能を入れ替えたり、フロント&リヤディレーラーの調整を数値で見ることができる。後者の機能は、ホイールを入れ替えた時などに、こっちのホイールはこの設定という風に、ホイールによってディレーラーのセッティングを数値で管理することができるというメリットがある。作業ログが残るというのもおもしろい機能だ。

 

 

パーツを変更することなく、ソフトウエアのアップデートだけで機能を変更できるという、機械式では不可能なメリットを味わうことができた。今後は、6770系アルテグラが、ファームウエアのアップデートだけで多段変速に対応したように、新機能の追加方法も変わってくるのだろう。ますます、Di2の進化から目が離せない。