Daily アレ!アレ!ユキヤ!2013 第15~第21ステージ
7月14日 第100回ツール・ド・フランス 第15ステージ[ジボール~モン・バントゥ 242.5km]
今年のツールの区間最長距離、242.5kmもあるステージなのに序盤から延々とアタック合戦が止まない! モン・バントゥの上りを前に、タイム差をつけてから上り始めたい選手たちが逃げを形成しようとするが、なかなか全チームの思惑が一致しない。結局、10人の逃げができ、ユキヤのチームメイトであるマイヨ・アポワのピエール・ローランが後追いしなければならなくなった。
ローランは20秒差まで詰めたが追いつけず、ヨーロッパカーはチームを挙げて前を追うことを選択。7分差を3分差まで詰めることには成功するが、モン・バントゥの上りが始まると本命たちが動き、逃げのメンバーはやはり吸収。フルームが圧倒的な強さで区間勝利を飾り、総合優勝のアドバンテージをさらに伸ばした。
ユキヤは中盤までアシストをしっかりこなし、第2グルペットより前でモン・バントゥを上った。フィニッシュは142位だ。現在の総合は94位となっている。
内房レーシングに占拠されたラスト3km地点。ユキヤのお尻を触りたいがためにプッシュしたのは……小河原政男画伯じゃないですか!
パリまであと 849.5km
7月16日 第100回ツール・ド・フランス 第16ステージ[ヴェゾン・ラ・ロメーヌ~ギャップ 168km]
今日は168kmと短いステージだったが、まだ区間勝利のないチームの選手たちが逃げ切りを図って壮絶なアタック合戦を繰り広げた。できあがったかに見えた逃げが何度か追いつかれ、最終的に26人の逃げが成立したのは40kmを過ぎたあたりだ。
逃げに乗ることができなかったユキヤは「今日はみんな、行きたかった。仕方ない」と話す。ヨーロッパカーはトマ・ヴォクレールとセリル・ゴティエの2人を乗せ、喉から手が出るほど欲しい区間勝利の可能性に賭けた。この逃げは11分差で逃げ切り、最後の峠の手前でアタックしたルイ・コスタ(モビスター)が独走でギャップへフィニッシュした。
ユキヤは20分57秒遅れでフィニッシュ、114位となった。現在の総合は96位、明日のTTはと聞くと「明後日の方がキツイです!」と表情を引き締めた。
写真は、20分遅れの集団でフィニッシュしたユキヤ。待ち構えたマッサーから飲み物を受け取り、一気に飲み干す。
7月17日 第100回ツール・ド・フランス 第17ステージ[アンブラン~ショルジュ 32km]
チームTTを含めると3度目のタイムトライアルとなった今日の第17ステージ、これまでまったく雨に降られなかったツールだが、ついに雨雲が近づいてきた。 しかも32kmのなかにカテゴリー2級の峠を2つ含み、狭い道とブラインドコーナーが続く難しいコースだ。
ユキヤはノーマルバイクにノーマルヘルメット、ギヤも25と通常のステージとほぼ同じ仕様で走り、58分50秒でフィニッシュ。しかし実は、ラスト1km手前の右コーナーで小石に前輪を弾かれて落車! 擦過傷で済んだ様子ではあるが、不運なステージとなってしまった。
7時間にわたり177人が走ったTTは、後半で通り雨に見舞われたが、それでもマイヨジョーヌのクリストファー・フルームが51分33秒で走って総合首位を堅守した。ユキヤの総合は98位となっている。ケガが軽いことを祈りたい。
写真はコース序盤、上りを走るユキヤ。「上りで苦しんだ分、下りは楽しまなきゃと思ったけど、後ろから抜いていったデヘントに邪魔された」と苦笑していた
パリまであと 649.5km
7月18日 第100回ツール・ド・フランス 第18ステージ[ギャップ~ラルプ・デュエズ 172.5km]
ユキヤ、初のラルプデュエズは、ツール史上初の2度上り! 天気予報は今年のツールで初めて荒天を知らせていたが、アルプスに押しかけた大勢のファンの熱気が黒雲をきわどいところではじき返していた。
日本からの応援団が大挙して押し寄せた今日、「アラシロ!」の声が随所で聞かれ、おそらくはその声がユキヤを後押ししたはずだ。なんとラルプ1回目はマイヨジョーヌのフルームからほんのわずかに遅れただけ、そしてセレンヌ峠の下りも無事にこなし、わずかに雨が落ち始めた2回目のラルプもグルペットでなく単独でフィニッシュ、区間65位だ! 現在の総合は98位となっている。
写真はラルプ1周目、フルームからたった38秒差でセレンヌ峠の上りに入ったユキヤ。余裕の表情だ。
7月19日 第100回ツール・ド・フランス 第19ステージ[ブール・ドワザン~ル・グラン・ボルナン 204.5km]
今年のツールも残るは3ステージ、ユキヤ自身がツイッターに「残りわずかですね~。早過ぎる!」とコメントするほどになってきた。なのにまだ選手たちはアルプス山岳のまっただ中、今日はラルプ・デュエズのふもと、ブール・ドワザンからルグラン・ボルナンまでの204.5km、マドレーヌ峠とグランドン峠という超級山岳2つに1級が2つ、2級が1つという怖ろしいコースレイアウトのステージだ。日本からSOMAの新しい腕時計が運ばれてきたユキヤは、元気よくスタートしていった。
マドレーヌ峠ではマイヨ・ジョーヌグループで上ってきたユキヤだが、ゴールのルグランボルナンについたのは29分遅れ(フルームからは21分遅れ)、133番目。「ハンガーノックです」と厳しい表情のユキヤ。今日最後のクロワフライ峠で、嵐とハンガーノックに苦しんでいるときにシクロワイアードの綾野真編集長からウインドブレーカーを借り、ようやくフィニッシュラインに辿り着いたのだそうだ。無事でよかった!
現在の総合順位はちょうど100位となった。写真は、ハンガーノック状態でゴールし、ドクターのウベアから飲み物を受け取って飲み干したユキヤ。
パリまであと 258.5km
7月20日 第100回ツール・ド・フランス 第20ステージ[アヌシー~アヌシー・セムノズ 125km]
ハンガーノックから一夜明けた今日、ユキヤの表情は明るかった。「たぶん大丈夫だと思います」という微妙な答えでスタートしていったユキヤ。山岳賞をなんとか手に入れたいピエール・ローランがファーストアタックで勝負に出ると、ユキヤはメイン集団に待機して次のチャンスを待った。
カテゴリーは低いがアヌシー近郊の峠を続けざまに越え、1級の峠に向けてマイヨジョーヌグループがペースアップ! しかしユキヤはこのグループに残って笑顔で峠を越えていった。大丈夫だ! さすがに最後の山、超級のアヌシー・セムノズへの上りではペースを落とし、18分遅れの91位でのゴールとなったが、余裕を持ってアルプスを越えてくれたぜ!
写真は、カテゴリー1級のモン・ルバール、緩めのこう配を軽快に上ってきたユキヤ。笑顔だよ! スゴイ! 総合は現在、99位! 明日はリヨンから飛行機でパリに飛び、おお、シャンゼリゼだ!
パリまであと 133.5km
7月21日 第100回ツール・ド・フランス 第21ステージ[ベルサイユ~パリ・シャンゼリゼ 133.5km]
ついにユキヤ4回目のツールがファイナルステージに辿り着いた! ヴェルサイユ宮殿前からパリ・シャンゼリゼまでの第21ステージは、きれいな青空が迎えてくれた。オシャレなユキヤは上下白の日本チャンピオンジャージにスペシャの白/赤のシューズをまとい、スタートしていった。
パリまでの区間はユキヤの定位置である集団最後方で走行、そのためテレビ画面に映ることも多かった様子。そしてシャンゼリゼの周回に入ると前方に上がり、ヨーロッパカーの列車ができるシーンもあったが、ユキヤがゴールスプリントにからむシーンは見られなかった。「速い!」。ゴール後、ユキヤはひと言そう言った。
総合99位。ユキヤのツールが終わった。沿道からは「アラシロ!」の声が止まない。こんなにフランス人に人気のある日本人選手というのもスゴイ! 来年もきっと、ユキヤはここに戻ってくるのだろう。
3403km、ついにシャンゼリゼにフィニッシュ! 夜10時を過ぎ、もうかなり暗くなった大通りにユキヤの笑顔が輝く!
第100回 ツール・ド・フランス2013 公式プログラム、発売中
世界13カ国で翻訳出版されている「ツール・ド・フランス公式プログラム」の日本語版は、フランスのパリにあるツール・ド・フランスの主催者ASOの許諾、協力のもとにチクリッシモが特別編集。各チーム、選手、全ステージの詳細データ満載で「ツールのすべて」を知ることができる、日本で唯一の公認のガイドブックだ。
ツールを5回制したフランスのスーパースター、ベルナール・イノーによる、出場22チームの辛口戦力分析や、コース設定責任者ジャンフランソワ・ペシューによるプロローグ+20ステージのステージ解説など公式プログラムならではの内容に加え、日本語版独自の記事もフィーチャー。付録は2013ツールの全ルートが掲載されたフランス全土マップの大判ポスター!
■第100回 ツール・ド・フランス2013 公式プログラム
体 裁:A4ワイド判(225×297mm)、オールカラー196ページ
発売日:2013年6月18日(火)
定 価:付録とも1575円(税込み) 全国書店、amazon、J SPORTS onlineshopなどで好評発売中!
■6月28日(金)発売!ツール・ド・フランスを知るための100の入り口
チクリッシモでおなじみの自転車ジャーナリスト・Nacoが歴史、記録、選手、観戦の仕方、こぼれ話など100の視点から世界最大にして最高格式のサイクルロードレースを徹底ガイド!
定 価:1,680円(税込)全国書店、amazon、J SPORTS onlineshopなどで好評発売中!
■ツール・ド・フランス100回グレートヒストリー~祭りの日々~
著者は、レキップ社の記者として長年自転車レースの報道に携わってきたセルジュ・ラジェ。ツールの図版収集家としても知られる。1903年から2011年まで7つの時代に分けてツールの歴史を詳述。未発表を含む図版600点と500のエピソードを収録したツール史の決定版。第100回大会を記念して発行された、宮本あさか翻訳の日本語版となる。
定 価:3,675円(税込)全国書店、amazon、J SPORTS onlineshopなどで好評発売中!