井手川直樹2006年ぶりの優勝 女子は末政実緒が14連覇を果たす 全日本マウンテンバイク選手権 DHI
伊豆CSCにダウンヒルコース!?
7月21日(日)、前日のXCOに引き続き、静岡県伊豆市にある日本サイクルスポーツセンターで、第26回全日本マウンテンバイク選手権大会DHIが開催された。男子は、井出川直樹(ダビンチ・サンスピドットコム)が7年ぶりの全日本チャンピオンに輝き、女子は末政実緒は安定した走りで14連覇を果たした。
今回のコースは、距離は1.5km、標高差は150mほどしかない。大会前、標高差を稼げない地形の問題などで物議をかもした。DHIコースのない今会場において今年の春から新たに作り上げられたもの。そのようなコース状況から、フィジカルやテクニックと並んで、DHバイクを選ぶのか、オールマウンテンバイクなのか、はたまたフリーライドバイクなのか。バイクチョイスにも注目が集まった。
井手川、感涙にむせぶ
金曜日に行なわれたタイムドセッションでは、浅野義亮(ジャイアント/ホッットスピン)が2分3秒257というトップタイムをたたき出す。「勝つだけの準備はしてきましたから」と話す浅野が乗るのはDHバイク。
日曜日に行なわれた予選。2分ちょうどのタイムでトップに立ったのは、パワーコースの得意な安達靖(ダートフリーク/サラセン)。0.7秒差で、全日本2連覇中の清水一輝(アキファクトリーチーム)、その0.4秒差でケガ明けの井手川直樹が続く。
今年、現役復帰した安達が3年ぶりの優勝か、それとも清水が連覇を伸ばすか、2015年に世界チャンピオンになると公言する井手川か。
注目の決勝。メカトラやクラッシュが多発する厳しいコンディションのなか、1分57秒599のタイムをたたき出したのは長いストロークのフリーライドバイクを選んだ井手川。ゴール後、「ありがとうございます!」と大声で叫んだ井手川の目には涙が浮かんでいた。「色んな方に支えてもらいながら、応援してもらいながら、今日、(表彰台の)真ん中に立つことができてすごくうれしいです。全日本のチャンピオンからは遠ざかっていたので、2006年ぶりの優勝です。33歳ですが、まだまだ刺激を与えて行けるように頑張っていきたいと思います。」と話した。
2位に入ったのはタイムドセッションで1位だった浅野。3位には永田隼也(マーシュ/サンタクルス)が入った。ストローク120mmのXCバイクで出走した永田は「バイクチョイスが難しかった。ストロークが前後160mmあれば、結果は変わっていたかも」と悔やんだ。(写真:ゴール直前に待ち受ける川越えジャンプを飛ぶ永田隼也)
1位 井手川直樹(ダビンチ/サンスピドットコム) 1分57秒599
2位 浅野善亮(ジャイアント/ホットスピン) 1分58秒461
3位 永田隼也(マーシュ/サンタクルス) 1分58秒642
男子マスターズ
マスターズカテゴリーでは、このカテゴリー1年目の大野良平が、2位に僅差での優勝。絶対優勝するつもりだ、と噂されていた大野は、「疲れました。でも、うれしいです。」と言葉少なげではあるが、じっくりと優勝を噛み締めた、
1位 大野良平 2分6秒099
2位 黒川陽二郎 2分6秒669
3位 粟野宏一郎(KYBレーシング) 2分8秒797
男子ジュニア
ジュニアカテゴリーでは、加藤将来(トランジッションレーシング)が2位に1秒の差をつけて優勝。3週間前に右足のじん帯を負傷し、出場さえ危ぶまれた状況であったが、昨年のユースカテゴリーからの連覇となった。
1位 加藤将来(トランジッションレーシング) 2分7秒678
2位 五十嵐優樹(重力技研/ストームライダーズ) 2分8秒714
3位 林 佳亮(大同大学大同高等学校) 2分9秒109
末政実緒、14連覇を達成!
女子は末政実緒が、他とはスピード域の異なるさすがの走りで14連覇を達成。「昨日(のXCO )に引き続き、表彰台に立ててうれしいです。正直、XCOとDHI両方にエントリーするのは不安な部分もあったんですが、今日は負けられない闘いでもあったので、自分を信じて優勝することができてよかったです。若手も伸びてきているので、気を抜かずに連覇を伸ばしたいです」と語った。
1位 末政実緒(ダートフリーク/サラセン) 2分13秒338
2位 中川綾子(チームYRS) 2分19秒636
3位 中川弘佳 2分23秒141
レース2日後の火曜日から、井手川、永田、末政はアンドラ公国で行なわれるワールドカップのため、渡欧する。「日本人魂をぶつけてきます」と語る全日本チャンピオン、井手川らの挑戦から今後ますます目が離せない。
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