世界限定100台!レクサス・Fスポーツロードバイク
ツアラーに必要な性能を忠実に再現
当初はトヨタ自動車のスポーツカー「LFA」を製造し、カーボン技術を持つLFA工房での独自生産も考えた。しかし開発の難度と期間の問題から、一流ロードバイクブランドのOEMを行なうメーカーが設計・製造したフレームを採用した。とはいえ上下異径ヘッドや内蔵式ワイヤなど最新トレンドをしっかり搭載する。もちろんコンポはデュラエースDi2だ。
バイクのコンセプトはレクサスのターゲットユーザーを考慮して、ピュアレーサーというよりロングライド向けのツアラー的な性能を与えている。これはレクサスの新スポーツセダン「IS」にマッチするキャラクターといえる。そして注目すべきはそのクオリティの追求だ。OEM先で塗装まで行なわれたフレームはLFA工房に運ばれ、そこで同社の品質に見合うように修正する。とくに塗装は気泡やホコリ、塗り分け部分の段差などをなくすために熟練した工房の職人たちの手によって徹底的に磨き上げられる。実車を見るとその塗装は大手自転車メーカーの市販車と比べるとケタ違いの美しさだ。発売は世界限定で100台というプレミアムな存在となる。サイクリストにとっては異色の存在ではあるが、その希少性とクオリティなどは実に興味深い。
■写真下・左:下側に1-1/2インチサイズのベアリングを搭載したテーパードヘッドチューブを採用する。レクサスのエンブレム位置は美しさを求めて0.01mm単位のこだわりで装備される。
■写真下・中:前後方向にボリュームの大きなストレートタイプのフォークブレード。中間のセクションを内側に絞るデザインを採用して、乗り心地のよさとねじれ剛性をバランスしている。
■写真下・右:シートステーはねじれ剛性に強いトラディショナルな2本式を採用する。キャノンデールのアワーグラス形に近いベンド加工を施すことで路面からの振動吸収を積極的に行なう。
■ロードバイクになじみの薄いユーザーに配慮して、オーソドックスなシートポスト構造を採用したシートまわり。Di2のバッテリーはシートポストに内蔵されている。
■写真下・左:ハンガーシェルはトラブルの少ないオーソドックスなスレッド式。接合されるチューブはハンガーシェルのスタンス目一杯に広げられ、必要な剛性レベルを追求している。
■写真下・右:十分なボリューム感を持つダウンチューブ。電動コンポ専用に割り切ったことでワイヤの取り回しがなく、さらにバッテリーの存在もないのでクリーンなフォルムが演出される。
レクサス・Fスポーツロードバイク
シマノ・デュラエースDi2完成車価格 105万円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエースDi2
ホイール:シマノ・WH-9000-C50-CL
タイヤ:パナレーサー・レースタイプA エボ2
ハンドルバー:3T・エルゴノヴァ
ステム:3T・ARX
サドル:セライタリア・SLR-キット・カルボニオ
シートポスト:カーボン
試乗車実測重量:7kg(Mサイズ、ペダルなし)
サイズ:M、L、XL
カラー:ブラック、ホワイト
吉本 司の試乗インプレッション
手間を惜しまない塗装は、つややかで美しい。これこそ100万円の自転車にふさわしい塗装であり、さすがプレミアムなブランドをうたうだけはある。Fスポーツを前にすると、自転車メーカーは高級モデルの塗装の品質を本気で見直したほうがいいのでは?と考えさせられる。
さて本題の走行性能だが、そのパフォーマンスにど肝を抜かされるようなことはない。ロングライドに適したツアラー的な性能を目指したというが、その設計思想に忠実に合致する。したがって、フレーム剛性ははーどではない。走り出しの軽さはあるものの、高トルクをかければパワーラインがウイップを出す。それはネガティブなものというよりも、購入ユーザーとして想定した入門者でも扱いやすい剛性感と解釈すべき。ある程度のしなやかさを受け入れて走らせるバイクで、一定のリズムでペダルを踏み続けるような平地~緩斜面の巡航走行では滑らかにバイクが進む。剛性が過度ではないので脚への負担も少ない。さらに乗り心地も良好なのでロングライドはもちろん、エンデューロで乗っても疲れを抑えることができ、後半は思ったよりも踏めるだろう。
速度の上げ下げにはトップレベルのレースバイクほどの対応力はないが、軽めのギヤとペダルの回転力で対応すればいい。上りも軽めのギヤで一定ベースを保てば楽に走ることができる。価格はさておき、ツアラー系ロードバイクとしては十分にオススメできる性能を有した一台に仕上げられている。