ユニセックスに楽しめる、GARNEAU GENERATION
シマノ・ティアグラ搭載のエントリーモデル
シマノ・ティアグラのコンポを搭載することからもわかるとおり、このモデルのターゲットは入門者。しかもカーボンフレーム採用なので、購入後のパーツのアップグレードもアルテグラクラスまでなら受け入れてくれそうだ。ジオメトリーも極端な快適志向ではなく、ロングライドからロードレースまで対応できるように設計されている。いろいろな走りを体験したいビギナーにとって、ちょうどいいモデルといえる。
フレームの細部の作りはビギナーレベルをターゲットにするとあって、弓なりにした上下のバックステーなど、快適性を高めた設計が見てとれる。コンポ以外のパーツアッセンブルでは、コンパクトシャローシェイプのハンドルバーは女性だけでなく男性の初心者にも使いやすい仕様。サドルは薄型の比較的レーシーなモデルが装備される。そして、カラーリングもヌードカラーに白と水色を差し色にした、さわやかな雰囲気。このように分析してみると、メーカーが意図するとおり男女を問わずに乗れるユニセックスな1台であることがわかる。
■写真下・左:フォークブレードは路面からの突き上げを和らげつつ、ハンドリングのシャープさを失わないよう、わずかにベンドしたタイプ。コラム部分の素材は、安全性とコストを考えてアルミに。
■写真下・中:ヘッド部のベアリング径は、オーソドックスな上下1-1/8インチ仕様。それでもボックス状に仕上げて断面積を大きく確保し、ヘッド部の必要な剛性を追求する。そのレベルに不満はない。
■写真下・右:バックステーは細身に設計されたチェーンステーに加えて、シートステーにも弓なりのシェイプが与えられる。路面からの衝撃をしっかりと吸収して、乗り心地を高める設計だ。
■写真下・左:ハンドルまわりはガノーオリジナルのパーツが装備される。最近のエントリーモデル全般にいえることだが、こうしたパーツの質とルックスが向上することで、バイクの総合的な価値が高められている。
■写真下・右:2本タイプシートステーの接合部はシートチューブとトップチューブに一体化されるデザイン。この部分にボリュームを与えることで、よりシートステーの柔軟性を効果的に発揮できる。最近流行の構造だ。
■BBまわりはトラブルの少ないオーソドックスなスレッド式。ハンガーシェルの接合部の面積を大きく確保したダウンチューブには、補強が施され、この部分のねじれ剛性を高める。
ガノー・ジェネレーション
シマノ・ティアグラ完成車価格 17万3250円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・ティアグラ
ホイール:シマノ・WH-R501
タイヤ:マキシス・フューズ 700×23C
ハンドルバー:IDX・アロイDBレーシングバー
ステム:IDX・アロイA - ヘッドステム
サドル:IDX
シートポスト:IDX・アロイS/ポスト
試乗車実測重量:8.93kg(サイズ520、ペダルなし)
サイズ:460、490、520
カラー:ブラック×ブルー×ホワイト、ホワイト×レッド×ブラック、ホワイト×パープル×グレー
吉本 司の試乗インプレッション
10万円台でカーボンフレームの完成車に乗れる時代になってきた。しかも「とりあえずカーボン」ではなく、上位機種の形状をトップダウンしたり、それ専用のフレーム形状を用いたりと、その内容も充実してきたから恐れ入る。この「ジェネレーション」も、フレームを見ると異形断面チューブを多用するなど充分に凝った作り。眉をひそめたくなるような安っぽさはない。
さて肝心の走りのほうだ。さすがにホイール重量の重さゆえに、踏み出しは上位機種のような突き抜けた感覚はない。でも、数踏みすれば予想以上に軽く走れる。入門者にすればロードバイクが持つ爽快感を存分に楽しめるだけの走りの軽やかさを備えている。フレームの前三角までの部分は満足できる剛性感で、高速のコーナリングでも怖くなるようなフォークのねじれは少ない。ハンドリングも比較的おだやか。全体として安定感のある乗車感覚なので、入門者でも操作に不安を覚えることなく走りを楽しめるはずだ。
バックセクションは形状どおりコンフォートな設計。加速の鋭さよりも振動吸収性のよさに振っているので、乗り心地はかなり良好なレベルだ。その分、速度の上げ下げは少し犠牲にするが、ターゲットユーザーへの性能パッケージで考えれば、乗り心地重視のほうがライダーへの恩恵は大きいだろう。全体的に動的性能と快適性は手堅くまとめているが、それゆえに残念なのがサードパーティ製のブレーキ。レバーの引きの軽さと、制動力がもう少し高まるとより楽しく走れる。予算が許せば購入後ここからカスタムしたい。