究極のヒルクライムバイク、サーヴェロ RCA
非常識なまでの軽さ! フレーム667g!
軽いだけでなくエアロダイナミクスも向上した「RCA」。フレーム形状は「スクオーバル」という「丸みを帯びた正方形」の断面を持つチューブを「だ円の後ろ側を切り落とした形状」に進化させた。スクオーバルは、剛性は高かったがエアロ効果が低かった。その形状を、エアロ効果が高いだ円に近くし、チューブサイドの厚みを増やすことで剛性低下を抑えたのだ。また、トップチューブの剛性を3%アップ。BB周辺の剛性を3%低くすることで、フレーム全体のバランスが向上し、快適性を高めている。
もうひとつの技術が「パワーメタルナノヴェイト」という、同社が世界で初めて成功したテクノロジーだ。フォークコラムに使われている技術で、ナノニッケルをコラムに巻き付けることによって、芯となるカーボンを薄くし、かつ強度をアップしている。これら2つの独自技術が、この超軽量フレームを支えているのだ。価格はフレームセットで147万円。2011年モデル「R5ca」が134万4000円だったので、8gの軽量化に12万6000円。もちろん単に重さだけでは価格差を測ることはできないが、まさに究極の一台ということがよくわかる。
■ボリュームのあるチェーンステー。R5caと同様に反チェーン側のほうが太くなっている。四角形の断面とすることで、ねじれ剛性を向上させている。
■写真下・左:ヘッドのベアリングは、もちろん上下異径タイプを採用。トップ&ダウンチューブへのつながりも、非常になめらかな形状とすることで、空気抵抗を低減させている。
■写真下・中:もはやサーヴェロの代名詞ともいえる、極細のシートステー。RCAにももちろん採用されている。ブレーキアーチの上がR5caとは違ってモノステーになっている。
■写真下・右:RCAの特徴的技術のひとつ「スクオーバル3」。だ円の後ろ側をカットしたような断面形状は、シートチューブを見るともっともわかりやすい。空力性能と剛性を両立する。
■フォークは単体の重量が、わずか280g。コラム部分はナノニッケルという金属を巻き付けて、必要な強度を稼いでいる。そのぶん、芯となるカーボンを薄くすることができた。
■サーヴェロ独自の規格、BBライトを採用。チェーンリング側のフレームには、クランクタイプのパワーメーター用マグネットがあらかじめ内蔵されている。
サーヴェロ・RCA
フレーム価格 147万円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエースDi2
ホイール:ゼンティス・スクアード4.2
タイヤ:ヴィットリア・ルビノプロスリック 700×23C
ハンドルバー:イーストン・SLX 3 EC90
ステム:イーストン・EC90SL
サドル:トーケン・TK952 X-ウィング カーボン コンフォータブル
シートポスト:イーストン・EC90
試乗車実測重量:6.09kg
サイズ:48、51、54、56
カラー:ブラック
CYCLE SPORTS .jp編集長・ナカジの試乗レポート
見た目はそこまで強烈な重量のバイクだという感じはしないが、持ち上げたときに思わず「あっ」と声が出てしまう軽さ。乗ってみると、サーヴェロらしいハンドリング特性はしっかりと受け継がれている。回頭性の高さなどは、いかにもレースバイクといった味付けだ。上りでは、ペダルのひと踏み目から、その軽さを実感できる。車重はもちろん、これだけ軽いバイクに乗っているんだ!というプラシーボ効果も含まれていると思う。シッティングのままトルクをかけていくと、フレーム全体がムチのようにしなりながら、バイクがぐわんと加速していく。
ただダンシングでペダルに力を入れていくと、加速はしているが やや踏みごたえに欠ける。打てば響くような反応というよりは、じわりじわりとスピードが上がっていく。一定ペースで走るようなシチュエーションでは軽やかに走っていくが、スピードの上げ下げが激しいシーンではちょっと使いづらいのではないだろうか。
ホイールを外した状態で重量を計測すると3.75kg。写真のゼンティスのホイールよりも、もっと軽いホイールに交換すれば5kg台前半で仕上げることも十分可能だ。また、コンポーネントをスラムレッドに変更すれば4kg台。この軽さを生かして、究極のヒルクライム決戦バイクを仕立てたい!という人にお薦め。あとは財布と相談だ。