3万4000分の1の性能が走り出す。BMC チームマシーン SLR01
ダンシングで速く、シッティングで快適
軽さと強さを手に入れたカーボンバイクの強化。昨今は、成型技術の向上と繊維方向の工夫、そしてレイアップ(重ね具合)のノウハウ蓄積により、バーチカル・コンプライアンスが重視されるようになってきた。
すなわち、横方向の剛性をキープしたまま、縦方向の剛性だけを故意に落として、路面からの振動を効率的にいなす。強大なペダリングパワーを受け止めつつ、ロングライドでの快適性を確保する。かつては不可能だった硬さと柔らかさの両立が可能になったのだ。
各部のパイプ径やパイプをジョイントする角度やポイント、カーボン繊維の種類やレイアップ等を変えて計算、比較し、最適な形状とパターンを選ぶ。これはACE(アクセラレーテッド・コンポジット・エボリューション)テクノロジーと命名された。ひと言で表すなら「加速性」を発展的に追求したのだ。
54サイズのフレーム単体重量で790gという軽さ。2013モデル比で10%向上した縦方向の柔軟性。シマノのDi2をはじめとする電動コンポとのマッチング。トップライダーはもちろん、誰が乗ってもその加速性を感じ取れるのが新生「チームマシーン SLR01」だ。
BMC チームマシーン SLR01
フレーム価格 44万1000円
シマノ・デュラエース9070 Di2完成車 126万円
シマノ・デュラエース9000完成車 81万9000円
シマノ・アルテグラ6800完成車 52万5000円
スラム・レッド完成車 71万4000円
※2013年10月発売予定
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエース9000
ホイール:シマノ・WH-9000-C24-CL
タイヤ:コンチネンタル・グランプリ4000S 700×23C
ハンドルバー:3T・エルゴサムチーム
ステム:3T・ARX II チーム
サドル:フィジーク・アリオネ
シートポスト:オリジナルカーボンシートポスト
試乗車実測重量:6.39kg(56サイズ、ペダルなし)
サイズ:48、51、54、56、58
カラー:チームレッド(フレームセット販売、シマノ・デュラエースDi2完成車販売、シマノ・デュラエース完成車販売)、ステルス(シマノ・アルテグラ完成車販売)、ホワイト(スラム・レッド販売)
■フロントフォークはテーパードコラム+ストレートブレード。フォークを含め、フレーム、ヘッド、シートポストのトータル重量は1380gに収まる。
■チェーンステーは左右非対称。チェーンリング&クランクに対して十分なクリアランスと、適切な剛性を確保した結果だ。
■BMCのアイデンティティとなっているシートステーまわり。各パイプの断面形状と接合点が見直され、快適性が向上している。
■ヘッドチューブは幅が広くなった。ダウンチューブやトップチューブとの接合が最大化され、ヘッドまわりの剛性が格段に向上した。
■シートチューブは、空力と柔軟性を両立するため「D」字断面になった。シートポストにはシマノ・Di2用のバッテリーを格納できる。
■ケーブル類はフレームに内蔵されることになった。変速ケーブルは、電動用の小物も用意され、スマートに組み上げられる。
鏑木 裕の試乗インプレッション
ダンシングで速く、シッティングで快適。新型SLR01をわかりやすく表現するとこうなる。
機械式デュラエースの完成車重量はわずか6.39g。軽量化によってもたらされる登坂能力や加速性ももちろんあるのだが、同時にしっかりとしたヘッド&BBまわりがパワーを支えてくれる。
平地で時速30kmを超えてからの安心感の高さは、さらなるペダリングへの欲求が生まれ、たとえば50×19Tでケイデンス120rpm程度まで軽く上がってしまう。
快適性は必ずしも「振動を緩和する」というだけではない。ブレーキの制動具合や、路面コンディションの伝達性もまた、快適なライディングを得るための大切な要素である。
SLR01はそういった点も優れており、とりわけアスファルトの荒れがちでタイトコーナーが繰り返される郊外の裏道などでも、きちんとペダリングを継続できる。「快適だから速い」。SLR01は、もはやトップライダーのためだけのバイクではないのだ。