エウスカルテルの2人に淡路島で直撃取材! サンチェス、アントンインタビュー
下りの名手 サムエル・サンチェス
35歳。2011年ツール・ド・フランス山岳賞、北京五輪男子ロード金メダル。2012年バスク1周で総合優勝という輝かしい経歴の持ち主。また、下りの速さには定評がある。
●チームでもいちばんのベテランですが、今期を振り返ってどうでしたか?
特に印象的なのはジロだね。とてもきつかった。気温が経験したことがないほど低かったからね。人間の体が、いったいどこまで寒さに耐えられるか試されているようだった。いくらなんでも寒すぎたよね。
●下りを確実に速く走るコツは?
うーん、できるだけブレーキングを遅らせること!(笑) でも、昔から下りは得意だったんだ。
子供の頃から、それこそ自転車競技を始めるよりもまえにオートバイに乗っていたんだ。その時の経験が生きているよ。
その頃はプロのバイクレーサーを目指していたんだ。父がバイクのプロチームで働いていたしね。でも、そっちでプロになるにはお金が足りなかった。
●日本の印象はどうですか?
すばらしいところだよ!清潔だし、教育レベルも高い。他人に対してお互い敬意を持っているがわかるよ。感銘を受けた。家も車も、文字もスペインと何もかも違う。
空港から淡路島までしか見ていないけど、19時になったら街が静かなのは驚いた!すばらしいね。この時間、スペインではまだまだ通りに人があふれているよ。(大阪や、東京を見てないからだよと説明しておきました!)
とにかく、日本にくることができて、多くの日本人に会えたこの機会が嬉しい。オルベアのおかげだし、自転車選手じゃなかったらこんな経験はできなかった。
●来期の話を聞かせてください
もうぼくも35歳。選手としてはいい年齢だ。
知っていると思うけど、チームが存続できないことがわかってからどのチームともサインしてない。チームの消滅はかなりのショックだった。日本にいいチームはないかな?
まだプロとしてのキャリアを続けたいと思っている。まだまだ走れるからね。ただチームの存続が難しいということが判明するのが遅かった。
(通常、来期の事は3月~4月くらいに話がはじまり、8月くらいには来期の予定が決定する。春にはチームとの契約が残っていたので。移籍の話をしていなかったとのこと。)
軽やかなクライミングが魅力 イゴール・アントン
30歳。2010年のブエルタ・ア・エスパーニャで一時リーダジャージを獲得。2011年のジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャではステージ優勝を飾っている、上りを得意とする選手だ。
●上りの強さに定評があるけど、特別な練習をしているの?
イエスでありノーだよ。まず、昔から上りが好きなんだ。
それは自転車で峠を走るのはもちろんなんだけど、トレッキングとか山登り自体が好き。バスク地方の伝統として登山はすごく人気があるんだ。たくさんの山があるしね。
ヒマラヤに登頂した有名な登山家でもバスク出身の人がいるんだよ。
僕は山登りが好きということを表現する手段として、自転車を使っているだけという気持ちだね。本当に山が好きなのさ。
●日本ではヒルクライムレースといって、上りのみのレースの人気があります。20km平均勾配6.1%(全日本マウンテンサイクリングin乗鞍相当)のレースを走るとしたら、どんな対策を立てますか?
それはTT? あ、マスドレースなんだね。目標タイムは45分~50分くらいかな。プロならね。
自分がトレーニングするなら、上りで心拍の80%で30~40分のトレーニングをするね。
プロの目からみると。ひと月のトレーニングでいいと思う。それを週に3回。毎日トレーニングするのは理想的だけれど、毎日やるとリカバリーができないからね。
●来期はどうするのでしょうか?
プロツールチームにいつづけたいと思っているけれどまだ、どのチームにも決まっていない。僕としては、あと3~4年は選手として走りたいと思っている。少なくともね。
一番重要なのは、スペインのプロチームが状況がよくないこと、なくなっていくチームがある一方で、新しいチームができていないから。
スペイン人のワールドツアーレベルの選手は50人いるのに、スペインチームはひとつだけ。みんな海外のチームで走っている。5年前は選手も100人いた。
今年プロだったことがもう十分にラッキーだったんだけどね。でもまだ続けたいよ、プロ選手を、コンディションはいいからね。