コンフォート性能を強調した、BH クオーツ
基本コンセプトはエンデュランスロード
このモデルは多くのライダーを満足させる必要のあるミッドレンジゆえ、基本コンセプトはエンデュランスロードとなる。
長く設計されたヘッドチューブが上半身への負担を軽減し、アーチシェイプのトップチューブ&シートステー、そして27.2mmのシートポストによって乗り心地を高めている。
こうして快適性を求めつつも、「クオーツ」は攻撃的な走りを狙ったのが興味深い。
ジオメトリーを見ると、リヤセンターに405mmというレースモデルと同様の数値を与えるとともにハンガー部はBHがいち早く採用したBB386EVOを搭載するなどして、反応性に優れる加速性能を求めている。
さらにヘッドまわりにはG6で培った技術を反映し、ヘッドチューブとフォークの境目で起こる空気の乱流を低減する設計を展開。
ワイヤ類も伝導変速兼用のオール内蔵式にするなど、エロダイナミクスへの配慮も怠らない。
快適性は乗車姿勢や乗り心地にとらわれがちだが、加速や空力の向上もまたライダーに走りの余裕を与える。
「クオーツ」はそうした観点からトレンドの構造を生かして、エンデュランスロードの快適性とレースバイクの機動性とをうまく抽出した設計となっている。
BH クオーツ
フレームセット価格 19万9500円
シマノ・アルテグラ完成車価格 27万7223円~
シマノ・105完成車価格 28万5413円~
シマノ・アルテグラ6800完成車価格 30万9659円~
シマノ・デュラエース9000完成車価格 38万3276円~
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・105
ホイール:3T・アクセレロプロ40
タイヤ:クレメン・ストラーダLGG 700×23C
ハンドルバー:3T・エルゴサムプロ
ステム:3T・アークスプロ
サドル:プロロゴ・カッパエボ
シートポスト:3T・パラディオチーム
試乗車実測重量:8.04kg(Lサイズ、ペダルなし)
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:グロスブラック×シアン、マットブラック×レッド
※試乗車スペック仕様になります。
■横方向は弓状に、正面から見ると外側にベンド加工された複雑な形状を持つシートステー。細い外径と相まって、乗り心地を高める。
■ヘッド部はフィン状に成型される。空力に配慮しながら断面積を大きくすることで、ねじれ剛性を高め精度の高い操作性をもたらす。
■チェーンステーをそのまま延長した造型のカーボン製リヤエンド。コンパクトに設計しつつも、必要な断面積を確保し剛性を高める。
■BB386EVO規格のハンガーシェル。幅広なシェルをベースに、BBエリアは上下左右とも大きなボリュームにより剛性を追求する。
長めに設計されたヘッドチューブ、細く仕上げられたシートステーなどコンフォート性能を強調したクオーツは、単に乗りやすさだけを求めたモデルではないようだ。
ヘッドからリヤエンドにかけてパワーラインはしっかりした印象。
ボリューム感にあふれるハンガー部の作りは、瞬間的な大きなトルクを十分に受け止めるだけの剛性を備えるので、レース志向のライダーでも不満はないだろう。
さらにヘッドからフォークにかけての一体感のある剛性は、ハンドリングの正確さと高速でバイクを寝かしたときの安定感をもたらす。
そんなレースライクな加速性能を持つ「クオーツ」に、汎用的な性格を与えるのが乗り心地のよさだ。
とくにバックステーは石畳のような荒れた路面でも振動をしっかり和らげ、大きなギャップではフレームのアッパー側全体でショックを吸収してくれる。