気持ちいいイタリアンバイク、ペンナローラ RS-5
グランフォンドを楽しむため、乗り心地と走りの軽さを両立
チューブはコロンバス・スピリット。ニオビウムを添加して軽さと剛性を両立させた新しいスチールチューブなので、厳密に言えばクロモリではなくニオブ鋼フレームである。
組み合わされるのは、コロンバス製のカーボンシートステー。製造から塗装までイタリアで行なわれる純イタリア生産であることも特徴だ。
実車を見ると、トップチューブとダウンチューブが丸みを帯びた八角形になっているほかは、それほど特殊な加工は見られない。
ハンガーまわりもスチームフレームらしくシンプルな作り。コーラスとキシリウムSLで組んだ試乗車は7.41kg。ターゲットはグランフォンドということだから、快適性一辺倒ではなく、乗り心地を重視しつつ、走りの軽さとの両立を狙ったのだろう。
PENNAROLA RS-5
ペンナローラ RS-5
フレームセット価格 29万9250円
フレーム:クロモリ/カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:カンパニョーロ・コーラス
ホイール:マヴィック・イクシオン
タイヤ:マヴィック・K10 700×23C
ハンドルバー:3T・エルゴノヴァ・プロ
ステム:3T・アークスプロ
サドル:セライタリア・SLRゲルフロー
シートポスト:オリジナルカーボンシートポスト
試乗車実測重量:7.41kg(XSサイズ、ペダルなし)
サイズ:XS、S、M、L
カラー:ブラック×レッド
■写真下・左:近代フレームとの剛性差が大きくスチールフレームの弱点となりやすいヘッドだが、RS-5のインテグラルヘッドは安心感がある。
■写真下・右:先端で大きく湾曲するフォーク。フレームに合わせたのか、剛性は高くない。ただ、ハードブレーキングにはよく耐えてくれる。
■写真下・左:コロンバス製のカーボンバック。フレームとまったく同じ色でペイントされており、声高にカーボンを主張しないところが上品だ。
■写真下・右:角が丸められた八角形断面となるトップチューブとダウンチューブ。地味すぎず派手すぎず、の塗装もイタリアらしくていい。
■競技用スチールチューブであるコロンビア・スピリットを採用。最薄部が0.38mmという肉薄チューブだが、頼りなさは感じられない。
■TIG溶接で 組まれるRS-5。ハンガーまわりは大径カーボンの数分の一のボリュームだが、これが独特の奥深い走りを提供する。
安井行生の試乗インプレッション
ノスタルジーの演出に走るクラシックなクロモリ勢のなかには、確かに見た目はキレイだが走らせると駄馬というものも多いが、このRS-5は素材の持つ特性を適度なしなやかさへとうまく変換しながらよく進む。
快適性は非常に高いが、高弾性カーボンのように振動を一瞬で消してしまうのはなく、わずかに尾を引くスチールらしいもの。
もちろん、高負荷域での動力性能やヘッド剛性は最新鋭モデルには遠く及ばす、本格的なレースユースにはまったく向いてない。低~中負荷域の走りにまとめられているが、そこから逸脱すると一気に鈍くなるのだ。
その代わり、冷静に効率を追求する最近のバイクが失ってしまった「気持ちよさ」「奥深さ」では上を行く。今こそ、こういうフレームに注目すべきなのだと思う。
高価なフルコース料理ではなく、本当にうまい塩むすびのほうに価値を見い出す。そんな人に乗ってほしい、ぜいたくなフレームである。