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好バランスのミッドレンジ。センチュリオン・ギガドライブ4200

ドイツの総合スポーツバイクメーカー「センチュリオン」。堅実な作りと商品構成により、本国では多くのサイクリストに愛される大衆ブランドとして知られる。

そのセンチュリオンの旗艦機が「ギガドライブ4200」だ。

 

text:吉本 司 photo:小見哲彦

初・中級レベルのライダーにも乗りやすいレースバイク

 

昨年まで系列ブランドであるメリダのスクルトゥーラシリーズとフレームデザインを共用していたモデル「ギガドライブ4200」だが、今作では新たに独自設計が与えられた。

ジオメトリーを見るとレースバイクに軸足を置くことがわかるものの、そのフレームワークは初・中級レベルのライダーにも乗りやすいことがわかる。

 

乗り心地をはじめとする快適性については、横扁平にしてアーチシェイプ構造のアッパーラインを採用した定石となる設計だが、ボトムラインの作りが興味深い。

ハンガー部はプレスフィット構造だが、そこに接合されるチューブたちは必要以上に断面積を大きくしないことで、この部分の剛性が想定ユーザーに過多とならない設計がうかがえる。

 

くびれを持たせたヘッドチューブなども同様のコンセプト。「ギガドライブ4200」は剛性を重視した筋肉隆々の体というより、効率的な走りを重視した細マッチョなフレームワークといえる。

トレンドの内蔵式ワイヤに、使い勝手に優れるノーマルタイプのシート構造など購買層を見据えてうまくまとめた作りになっている。

 

CENTURION GIGADRIVE 4200

 

センチュリオン・ギガドライブ4200

シマノ・アルテグラ6800完成車価格  31万5000円

 

フレーム:カーボン

フォーク:カーボン

コンポーネント:シマノ・アルテグラ6800

ホイール:マヴィック・アクシウム

タイヤ:マヴィック・アクシオン 700×25C

ハンドルバー:プロクラフト・ロードコンパクトOS

ステム:プロクラフト・アルミOSプロ

サドル:センチュリオン・レース

シートポスト:プロクラフト・SP・369

試乗車実測重量:7.91kg(56サイズ、ペダルなし)

サイズ:47、50、53、56

カラー:カーボン(ホワイト×レーシングレッド)

 

 

■シートステーは柔軟性を発揮するために、横方向への扁平加工を強めている。2本式によってねじれ剛性を高め、駆動ロスを低減する。

 

 

■快適性を狙って横方向に薄く成型したアーチ状のトップチューブ。ねじれ剛性の必要なヘッド側は、断面の大きな長方形に仕上げる。

 

 

■一体成型のシートステーとチェーンステーにより、リヤエンドは大きな断面積を持つ。ホイール付近でウイップを抑える効果がある。

 

 

■ハンガー規格はプレスフィット86タイプ。このエリアの断面積は、最新モデルとしては控えめだ。過度な剛性を嫌っての設計だろう。

 

吉本 司の試乗レポート

 

流行を意識したステルス調のカラーにシンプルなラインのフレームワーク。その外観に強烈な個性はないものの、反面、飽きはこないだろう。

乗り味についてもまた、突出した個性よりもバランスを重視した性格が追求される。そして、そのレベルをじつに上手にまとめたのがギガドライブの美点だ。

 

ペダリングフィールは加速を確実に発生させる剛性の芯を持ちつつも、踏むだけのペダリングにならないわずかなしなやかさを持ちあわせている。

したがって加速の伸びをスポイルせず、巡航走行も継続しやすい走りが表現されている。

これはハンガー部自体とフレームのアッパーとロワー部分の巧みな剛性バランスによるものだ。

 

乗り心地はアッパー側が確実に仕事をして荒れた路面でもバタツキ感が少ない印象。また重心位置も的確で、安定性にも優れており、ハンドリングも比較的穏やかなのでターゲットユーザーには扱いやすいだろう。

基本性能は高く、とても素直な性格なのでホビーレースやロングライド、エンデューロなど幅ひろく楽しめる。

 

ロードでのネームバリューが少ないブランドだけに価格は少々割高に思えるかもしれないが、パーツをグレードアップしながら長く付き合える一台だ。

 

問い合わせ先

マルイ
078-451-2742
http://centurion-bikes.jp/