ディスクブレーキ対応、ピナレロ・ドグマ65.1 ハイドロ
ユーザーに有益なものを作りたいという開発コンセプト
まだUCIレースでの使用認可が下りていないモデルを発表することに疑問を持つ人もいるかもしれない。
その答えは、ユーザーにとって有益なものを作り出したいというピナレロの開発コンセプトに由来する。
リムブレーキに対してディスクブレーキ最大のメリットは、天候に対して制動性能の低下が少ないということだ。
ブルベ、グランフォンドを楽しむライダーにとっては、UCIの認可よりも確実にコントロールできるブレーキ性能のほうが大切。
事実、ロングライドが盛んな米国のディストリビューターには、すでに100台以上の受注が入っているという。
見た目はリムブレーキモデルのドグマ65.1とさして変わらないように見える。だが、その成り立ちはドグマ65.1をベースとしてディスクブレーキに対応できるよう部分的に改良したのではなく、フレーム全体として一から作り直されたものだ。
ホイールの固定には従来のクイックリリースではなく、スルーアクスルを使用。これはストーク・アエロナリオディスクと同じ規格。お互いに技術供与があるわけではないという。
ロードバイクにディスクブレーキを取り付ける方法として、ドイツとイタリアのビッグブランドが同じ答えに行き着いた。
PINARELLO DOGMA65.1 HYDRO
ピナレロ・ドグマ65.1 ハイドロ
フレームセット価格 53万9000円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:スラム・レッド
ホイール:ヴィジョン・メトロン55
タイヤ:チャレンジ・クリテリウム320 700×22-28C
ハンドルバー:モスト・イクシオンアルミニウム6061
ステム:モスト・タイガーウルトラ
サドル:フィジーク・アリオネR3 キウム
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:7.32kg(500サイズ、ペダルなし)
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5
カラー:ブラックレッドシャイニー
■シートステーにも有機的なカーブを描く、サイドにリブが設けられているがこの形状も左右で異なる。リヤホイールの固定は10mmのスルーアクスル。
■フロントブレーキのオイルラインもフォークブレードに内蔵される。ホイールの固定には通常のクイックリリースではなく、9mmのスルーアクスルを採用。
■ヘッドチューブは前作のドグマ2から剛性に加えて空力性能の 向上も考慮された設計となった。ディスクブレーキもオイルラインはシフトケーブルと同じ穴から内蔵する。
■チェーンステーも左右非対称であることがわかる。リヤのブレーキキャリパーはチェーンステーとシートステーの成す三角形の内側に収められる。
■フォーク、シート&チェーンステーに加えて、ダウンチューブの形状も左右非対称構造になっている。ダウンチューブの右側にだけリブが設けられている。
CYCLE SPORTS.jp ナカジの試乗レポート
リムブレーキモデルとディスクブレーキモデルを乗り比べてみると、別の乗り物に乗ったかのように「ハイドロ」はかっちりしている。
「ハイドロ」しか乗っていないときには、強烈に前後ともスパルタンな反応を返してくる。やる気十分なバイクだな!とライダーのテンションを上げる走りを見せてくれた。
下りでも速度の伸びも気持ちがいい。ブレーキはもちろん、コーナーでも不安定な感じがないのはさすがドグマの流れをくむだけのことはある。
その後、ノーマルドグマに試乗してみると、これまたいい。ハイドロほどガチガチのフレームではないが、やわな感じはまったくなく「ちょうどいい塩梅」に仕上げられている。さすがのバランスだ。
ブレーキ性能はさておき、元気なときも疲れたときも、体格を問わずに誰にでもいいと思えるバイクだ。
これは想像だが、自分よりも大柄な人のほうが、よりハイドロの恩恵を受けることができるのではないだろうか。走行状態での重量が増えれば、それだけ安定した制動力は魅力だ。
もし購入検討するなら、どう考えるか。天気にかかわらず走る人や、ブレーキレバーを握る力が足りなくなった経験がある人。またそれくらい疲労するような長距離を走る人ならハイドロをお勧めしたい。
コンポーネントやホイールなどパーツ類の選択肢がどれほど増えるのかにも注目したいところ。