CERVELO R5、軽量&高バランスの戦闘機
トップモデルのRCAをベースに開発した新・R5
重量は変わらず軽く、56サイズのフレーム単体で830g。
同社最上位も出るRCAで採用された特徴的な設計のひとつとして「スクオーバル3」がある。
サーヴェロが追い求めている軽く剛性もあり、かつエアロダイナミクスに優れているチューブ形状「スクオーバル」の第3世代だ。
「2」は丸みを帯びた形状だったが、「3」はフレームの断面形状がかまぼこのような形になっている。
翼断面チューブよりも剛性バランスに優れ、四角断面よりもエアロダイナミクスを向上させようとした結果、たどりついた形状だ。「R5」にも同じ形状を採用している。
重量面で不利になることなく空力性能を向上させたことで約7.4W空気抵抗を低減できる。
ただ、両者には決定的な価格差がある。RCAがフレームセットで140万円なのに大して、R5は56万円だ。
その差は製造工程に起因する。カーボンものコックフレームは、いくつものカーボンシートを金型に敷き詰めていく作業が必要になるのだが、RCAでは約500ピース、R5では約300ピースに及ぶという。
こう書くと「R5」がたいしたことないフレームのように思えるかもしれないが、さにあらず。
究極の手間と技術をかけた「RCA」の性能をできるだけ受け継ぐように考えられている。 ベースとなるバイクは同社の技術の粋を集めたものだ。
CERVELO R5
サーヴェロ R5
フレームセット価格 58万8000円
シマノ・デュラエース9000完成車 89万2500円
シマノ・デュラエース9000 Di2完成車 126万円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・デュラエース9000
ホイール:トーケン・T55
タイヤ:パナレーサー・レースCエボ2 700×23C
ハンドルバー:3T・エルゴノヴァチーム
ステム:3T・ARXチーム
サドル:フィジーク・アンタレス
シートポスト:FSA・Kフォース
試乗車実測重量:6.32kg(51サイズ、ペダルなし)
サイズ:48、51、54、56
カラー:カーボンブルー、カーボンレッド
■R5caから採用されている、反ドライブ側が太くなる左右比対称設計も継続。ペダリングパワーを効率よく推進力に変換する。四角断面のチューブはねじれ剛性を向上させる。
■サーヴェロのアイコンでもある極細のシートステーはこのモデルでも健在。リヤホイールからの突き上げを緩和することで快適性を保持している。
■ヘッドのベアリング径は下ワンに1-3/8インチという独自のサイズを採用している。ヘッドチューブ剛性も前作に比べて15%アップ。レースで求められるレスポンスを実現。
■BBにはサーヴェロ独自企画のBBライトを採用。ローターのクランクをはじめ、FSAなどBBライト対応のクランクが必要。剛性は従来のR5よりも9.5%アップされている。
■スクオーバル3形状をダウンチューブとシートチューブに取り入れている。ダウンチューブのセンター部分後ろ側が平らなホイールから流れてくる空気を整流する。
ナカジの試乗レポート
個人的にはサーヴェロのバイクには苦手意識があった。前作「R5」の印象といえば、軽さとフロントまわりのかっちりした剛性によって、非常にクイックなハンドリング性能を持っている。
走りの個性が強いバイクという印象がある。今回も試乗するにあたって、どう乗りこなしてやろうかと身構えていた。
ところが、いざ走り出してみると、それが取り越し苦労だということが判明。
意外にもあっさりと、というか驚くほどよく走ってくれた。
以前のR5より格段に扱いやすくなった印象だ。
今までのR5が持っていたシビアなハンドリング特性はなく、安定感が増したように思う。
ペダルに力をこめていっても、とてもスムーズにタイムラグなくバイクが加速していく。
それはフレーム剛性に任せた、硬いフレームという感覚ではない。
もちろんフレームがやわなんてことはないのだが、絶妙なしなりと反発のリズムに仕上げられ、自分が強くなったかのような錯覚さえ与えてくれる。
開発にあたっては、前作のR5を進化させるという考え方ではなく、トップモデルのRCAをベースにして開発しているので、走りについても前作R5と近い部分がないのは当然とのこと。
個人的にはRCAよりもR5のほうが扱いやすい。重量から見ればRCAに圧倒的優位があるわけだが、走らせてみると必ずしもイコールではない。
今までのサーヴェロの乗り味が好みだった人にとっては「らしさ」が失われていると感じるかもしれない。
だが、間違いなく高バランスのフレームへと進化している。