高い実用性が魅力!TNI PODIUM
TNIらしくクラスを超えた走りを実現
空力性能を追求しながらもロードレースでのオールラウンドな走りを目指したというこのモデルは、エアロ形状を取り入れつつも比較的軽量な885gのフレーム単体重量を実現。
そこにエアロフォルムが際立つ360gのフロントフォークがセットされる。
フロントフォークからヘッド、ダウン&シートチューブのフロントセクションには、翼断面形状の後端をカットした流行のエアロスタイルであるカムテールデザインを採用。
一方のバックセクションは、横扁平したシートステーの接合位置を下げるコンパクトな設計を施すことで、反応性を高めながらもステーの垂直方向の柔軟性によって乗り心地が高められている。
またエアロ形状を反映したモデルで問題が起こりやすいワイヤ類の挿入位置も無理のない設計で、固定位置の変更が利くダウンチューブの3つ穴仕様のボトル台座など実用的な細部の作りは数々のパーツリリースで得られたTNIのノウハウによるものだ。
さらにプレスフィットタイプのハンガーシェルには、TNIのセラミックBBも標準装備される(3つのシャフト規格から選択可)というから魅力的だ。
こうしたパッケージで18万9000円という価格は、ヤングライダーや実用性を重んじるサイクリストには気になる存在といえるだろう。
TNI PODIUM
ティエヌアイ・ポディウム
フレームセット価格 18万9000円
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
コンポーネント:シマノ・アルテグラ6800
ホイール:エンヴィ・1.25(クリスキングハブ仕様)
タイヤ:デュフォ・エリートジェット 160g 700×20C
ハンドルバー:エンヴィ・ロードバー
ステム:エンヴィ・ロードステム
サドル:TNI・フライト
シートポスト:オリジナル
試乗車実測重量:6.32kg(54サイズ、ペダルなし)
サイズ:48、51、54、56、58
カラー:ブラック
■乗り心地向上のため横扁平の断面を持つシートステーを採用。加速におけるバックステーのよれを防ぐために2本構造として、さらにシートチューブへの接合位置を下げている。
■カムテールデザインのボリューム感あふれるフォークブレードが印象的。コラム部からエンドに至るまでフルカーボンで作り、360gの重量は安心して身を任すことができる。
■空力を重視して横方向へ張り出しを抑え、後部をカムテール形状としたヘッドチューブだが、上下のベアリングは異径サイズをしっかり採用して十分なねじれ剛性を追求する。
■チェーンステーは角形のシェイプが与えられる。プレスフィット規格のハンガーシェルとワイドサイズのダウンチューブの相乗効果で、ハンガー部のねじれ剛性を最適化する。
■地面に近い面にアールを与え、ボトルケージを装備する面を平らに成型したカムテールデザインのダウンチューブ。大きな断面積が与えられ、不足ないパワーライン剛性を生む。
吉本 司の試乗レポート
直線的で無骨なフレームワークにカーボン地むき出しのグラフィック。製品版のグラフィックではないとはいえ、いかにも「機材」といった硬派な佇まいのボディウム。
その印象とは裏腹にそつのない走りを見せる。
空力を強く意識したフレームワークだがエアロロードに見られるような縦方向の硬さはなく、適切な重心位置によって安定性にも優れるため、乗ってすぐにライダーとの一定感を得やすい。
フレーム剛性はヘッドまわりに十分な硬さが与えられるものの、全体をがっちりと作る設計ではないようだ。フレームの中心から後ろの剛性をある程度抑えることで適度なしなりを生み出してバイクを滑らかに前進させる。
一気にパワーをかけると若干しなりを出しやすい面もあるがネガティブなほどではない。
瞬間的な出足のよさよりも加速の後半で速度を伸ばす特性といえば納得できるだろう。
そして脚へのストレスも少ない踏み心地で、緩斜面の上りや平坦路における一定トルクのハイスピード走行では無駄な脚力を使わずに進む感覚も強い。
しかも乗り心地はレーシングモデルとしては高レベルで、とくにリヤ側は突き上げ感が少なく路面追従性も高いので安心できる。
巡航性に優れる特性と合わせればロングライドにも対応できる走行性能といえるだろう。
最新の構造を取り入れつつも20万円を下まわる手ごろな価格を実現するポディウムだが、その走りはTNIらしくクラスを超えたレベルにあり、レースやフィットネスレベルの高いロングライドを目指すユーザーに思う存分乗り倒してほしい。